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06.十環女子高等学校(トワジョ)

 今日は藍華市中の全ての学校の始業式及び入学式が開かれる。明日翔は昨日買った新品の制服を纏い、下の階に駆け降りた。


「そういえば、零愛さんとこころさんはどこの学校なんですか?」


 明日翔が質問した。ミイさんが同じ学校であることしか知らなかったからだ。


「私達はR.E.L.(レル)付属高等学校。あ、R.E.L.っていうのは『Ranka Element Laboratory』の略ね」


 流石、研究者。という感じだ。


「あなた達は勿論一緒に通うのよね?」


 零愛が明日翔に聞き返す。


「えーと……ミイ先輩が良いなら……」


 皆が視線をミイに向けた。忘れていたが、制服姿のミイは中々可愛い。


「え、私? むしろ大歓迎よ。普段は一人で通学してるし……」


「それって、ネトゲ三昧で友達が一人もいないせいで、毎朝独りぼっち極めてるからでしょ?」


 零愛がミイに釘を指すと


「ち、違うって! べ、別にそんな訳じゃないんだからね!」


「(ヤバい、ミイ超可愛いんだけど)」



●●●●●●●



「それじゃ、私達こっちだから。バイバイ」


「うん、気を付けてねー」


 そう言って私達は2人と別れた。明日翔はミイさんと二人きり…………話の種が何一つ無い。こんなところで零愛の存在がいかに大事かを知った。するとミイから、


「明日翔ちゃんはさ……トワジョ(十環女子高等学校の略)に通う覚悟、できてるの?」


「覚悟……ですか?」


「うん。だってこの学校、能力者ばかりなのよ? 皆が強くなりたいって高みを目指すような場所なの」


 そんな話を聞いて、華やかでお洒落なイメージが吹き飛んでしまった。そんな場所から生きて帰ってこれるか心配してしまう程だ。


「まあ、建物は綺麗なんだけどね」


 正直、それが唯一の救いと言っていい程かもしれない。噂によれば学校が始まってからたった2週間程でアビリティチェックを行い、いきなり順番をつけるんだとか……。


 私達はモノレールに乗って高校のある第8区に向かった。藍華市は5×5、つすなわち25個のマスのように区切られ、中央を第1区とし、時計回りの渦のように25区に分けている。ちなみにシェアハウスここのぎやINDIGO-BLUEは第9区、R.E.L.は第2区にある。


 最寄りの駅で降りてすぐに学校が見えた。何と言っても、細かい細工の施された純白の壁に、日光で美しさを増す藍色の屋根…………写真でしか見たことがなかった物をいざ目の当たりにした気持ちは、感動そのものだった。


 校門を抜け、中央の大広間に出た。ここでミイとはお別れだ。


「そうだ、言い忘れてたことが……」


「何ですか?」


「明日翔ちゃんのアビリティは物を浮かせるものでしょ? 絶対に、エレメントが足りない時に使っちゃダメよ。途中で意図しない場所に落ちたりしたら大変だからね」


「はい! 分かりました!」


 元気に返事をした後、明日翔はミイと別れ、1年生の教室の方へ向かった。


 ・

 ・

 ・


 意を決して教室に入ると、もう何人かの生徒が着席していた。モニターに写し出された座席表を確認し、定められた席に座る。すると隣の席の女の子が声をかけてきた。


「あの、えっと……三延みつのべ 栞凛しおりといいます。これからよろしくお願いします……」


「私は花束 明日翔。こちらこそよろしくね」


 そんなやり取りをしているうちに生徒達は全員着席していた。皆、自分たちのアビリティを早速披露していた。炎や音を出したり、物を浮かせたり…………ってカオス過ぎませんか!?

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