17.暗号解読
※第16話を読んでいない方は、先に第16話をお読み下さい。
その後、明日翔達ははカードの数字をメモ帳に書き病院を後にした。カードの予備が無いからだ。
「それ、メモったけどさ。分かる人いるのか?」
「零愛さんとこころさんとか、分かっちゃうんじゃないですかね」
「うーん、コンピューターには強いけど……これ暗号だからなぁ」
家に着いた明日翔達は、六ノ瀬 希のこと、彼女が寝たきりになっていること、そして暗号のことを零愛達に話した。メモを見た零愛は、
「成る程…………分からん!」
「こころさんは……」
「無理。意味分からない」
「えぇ…………」
誰か分かる人がいないだろうか。何時間も考えたが全く答えに辿り着かなかった。諦めかけたその時、家のチャイムが鳴った。ドアを開けると、
「やあ、夜遅くに済まないね」
「こ、こんばんは……」
そこには、AAFのパトロール帰りの絵留と美果がいた。
「こんな時間にどうしたんですか? というか何で家の住所知ってるんですか!?」
「私、明日翔ちゃんの担任なんだから()住所は知ってて当然……でしょ。まあ、帰りに近くの有名なお店のケーキ買ってきたのよ。この前のお礼としてね」
絵留は白い立派な箱を明日翔に手渡した。それを見た零愛は、
「あっ! これ私が前から食べたかったやつ! パトロールでお疲れだと思いますし……どうぞ、上がっていって下さい!」
「あ、いいの? じゃあお言葉に甘えて……」
「お、お邪魔します……」
皆が椅子に座り、零愛がケーキをカットした。…………何故か8等分に。まあ切りにくいの分かるけど。
「どう?」
「超美味しいです!」
「そうか、良かった…………ん?」
絵留が足元から暗号の書いてあるメモを拾った。いつの間にか床に落ちていたようだ。
「何だ……これ」
「あ、それは……えーと…………」
大まかに希のことを説明した。
「で、これを解かなきゃいけないのか…………月谷、お前なら簡単だろ?」
「ちょっと見せて下さい………………あ、解けましたよ。以外と単純ですね」
「えっ!? 早っ!」
美果は持っていたノートパソコンを起動し、メモの内容を打ち込んだ。
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132514011305091914152615130918151121141519050906251521030114040503091608051820080919031504051612050119052114121503112008050609120519200805160119192315180409191325190919200518
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「この数字、1桁ずつ読もうとしてたら永遠に解けません。まずは『2桁ずつ』に区切ります」
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13,25,14,01,13,05,09,19,14,15,26,15,13,09,18,15,11,21,14,15,19,05,09,06,25,15,21,03,01,14,04,05,03,09,16,08,05,18,20,08,09,19,03,15,04,05,16,12,05,01,19,05,21,14,12,15,03,11,20,08,05,06,09,12,05,19,20,08,05,16,01,19,19,23,15,18,04,09,19,13,25,19,09,19,20,05,18
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「こうすると、浮かび上がってくる数字は『01~26』です。26文字といえば、何か思い付きませんか?」
「えーと、26文字だから…………アルファベット!」
「はい、正解です。全ての数字をアルファベットに変換すると……」
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MYNAMEISNOZOMIROKUNOSEIFYOUCANDECIPHERTHISCODEPLEASEUNLOCKTHEFILESTHEPASSWORDISMYSISTER
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「これを読めるようにすると多分……」
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My name is Nozomi Rokunose.
If you can decipher this code,please unlock the files.
The password is "MYSISTER".
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あの複雑な数列は英文だったようだ。
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私の名前は六ノ瀬 希です。
もし、あなたがこの暗号を解読できるなら、ファイルのロックを解除して下さい。
パスワードは「MYSISTER」です。
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美果が和訳してくれた。
「という訳で、パスワードは『MYSISTER』です。希さんという方、きっとお姉さんが大好きなんでしょうね」
「『MYSISTER』…………あ、月谷さん、ありがとうございます!」
「こんなの簡単に解いちゃうなんて流石、月谷。やっぱり高速処理は凄いな」
「高速処理…………?」
「あ、私のアビリティのことです。エレメントを消費して脳の演算処理の速度を上げられるんですよ。暗号解読は色々なパターンの当てはめが大事ですから。まあ、何か出せたりするわけじゃないんですけどね」
すると絵留が立ち上がり、
「それじゃ、私達そろそろ帰るね。お邪魔しましたー」
「お、お邪魔しました……」
美果のお陰でパスワードが分かった。それにしても高速処理、テストとか最強だろうなぁ…………そんなことを考えながら明日翔は、ついに希が起きてくれることを楽しみにしていた。