それから二週間
ボクシングに通えない日が続き。それは、まだいい。
問題はデザインの専門学校の方だ。
チラッと以前、名を出した毒蛇。見た目は清楚な女の子のことで問題が一つ起きた。
事の始まりは、四月。仲良くなりたてのころ、バイトさきが自分に合わないからやめると話してきた
毒蛇は。制服を忘れたとバイト先に嘘をつき。バックれた。
元々二人で帰る中だった俺と毒蛇は。その日も二人で帰ることになった。
バイトをバックれて帰ってきたというと。親に怒られると踏んだ毒蛇は。毒蛇の親だ、毒親だ。
バイトが終わる時刻まで、街中に残ることを選んだ。
せっかくだから二人で遊んで帰ろうと。
毒蛇の誕生日が近かったことに気づき、アニメが好きなのを知っていたから。
アニメイトに連れて行き、誕生日プレゼントを購入し。帰りにコーヒーショップで時間を潰した。
夜遅いこともあり、家まで送って。その日は帰ってきた。
後日、毒親の方が学校に乗り込み。
うちの娘がストーカー扱いを受けている。
バイトが終わるまでオレが待っていて、家まで送ってきた。
そう証言したらしい。
毒親が講師にそう発言するってことは、毒蛇が毒親にそう情報を促したってことだ
理由は推理すれば簡単だった。
何らかのふしにオレが送ってきたのを毒親が目撃したのだろう。家の近くまで送りに行ったんだ。
その事について毒蛇を問いただした。
立場のなくなった毒蛇は。
わたしがバイト終わるまで、勝手に待っていた。
帰りも断ったのに勝手についてきた。とでも証言したはずだ。
ともなれば、ストーカー扱いを受けていると学校に連絡するのも無理はない。
あげくオレはストーカー扱いを受けてしまったというわけだ。
ちなみに、これが四月にぶち当たった壁。
普通専門学校なら勉強で壁にぶつかるはずだが、あろうことか俺は人間関係だった。
講師に呼び出され、家までは送りすぎだと。注意を受けたオレは、自分で言うのもなんだがどこまでも優しい人間だった。
事の真実を正直に述べれば事態が混沌とし、毒蛇の立場もただでは済まない。
そう踏んだオレは事の経過を黙って飲み込み、やりすぎでした。申し訳ない事をした。と黙って受け入れ
親の方にも一言謝罪をした。
それで今後は毒蛇と一切関わるなと提示を受け、飲み込んだ。
しかし、会話しない日が続き。あまりの気まずさに。学校内での会話を許してもらうよう申し込んだ。
それが、つぎに起こる問題の始まりだったのだが。
ラインを交換し、もう一度仲のいい関係に戻ったオレたちは。
二人で帰ることもしばしばあった。
そうして、ラインで会話を続けていくうちに。
その会話が毒親に見つかり。
以前にも学校に警告を出したと
あんまり大人を舐めるなと
必要であれば、あなたの処分も考えると。
毒蛇をこれ以上傷つけるなと
ラインで毒親から脅迫まがいの文章が送られ、心身ともに疲れ切ったオレは。これ以上関わるつもりはありません。このたびは身勝手な行為をしてすいませんでしたと、謝罪をたのだが。
毒蛇と毒親のダブル毒牙にかかり、このまま何も手を打たなければ。毒親が暴走した時に手を付けられなくなる。そう計算し。
これ以上毒蛇との人間関係が崩れようと良いと判断を下し、学校に。事の経過を真実に沿ってメールで送ったのと、もう疲れました。相当な精神的苦痛を受けましたと、こちらも被害者だと事を進め、毒親が暴走しないよう一週間、学校に休暇をもらった。
それで、今日が休暇二日目だ。
ちなみに気が付いていないのだ。毒親が毒蛇を傷つけているということに。
オレが傷つけていると責任転換するために。あのようなメールを送ってきたが
誰だって、そうだろ。プライベートな会話にいきなり親が介入したとなれば、しかも。そのようなメールが送られてきたとなれば、誰だってこっちが恥ずかしくなる。
だからこそ、毒蛇の立場を考え一人にだけ恥をかかせないよう、真実を織り込んだ文章を先生に送った、ようはこっちもチクった。
そうすれば、毒蛇の精神状態は。先生に簡単に秘密をばらし、一週間来なくなった情けない奴と俺を認定し、自分の恥をなかったことにできる。
ほんとうに、どこまでもオレは優しい人間だ