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人集めるは羅生の門

敵は離れて、瑞雲流れる。

「ごめんね〜大丈夫?妖夢」

幽々子は空で尋ねた。妖夢は風に揺られて、何も言わない。幽々子は速度を上げる、妖夢が呻き声を上げた。

「幽々子様…申し訳ございません」

妖夢は言う、幽々子は何も返さずに前を向いている。幽々子の表情に少し陰りが見える。妖夢は顔を少し動かす、ここは何処だろうか。下は人里だ。火の手が激しく地獄のようであった。かなり前に紅魔館の湖が見える。幽々子はそこを見ていた。

「とにかく…紅魔館に行くわよ〜」

幽々子はそう言い急降下する、妖夢は慣れたことなので何も言わない、言えば舌を噛んでしまう。風が自分の顔に当たる。何かよく分からないが不快な風であった。



「どうやって呼びかける?」

霊夢がレミリアに尋ねた。レミリアは腕を組む、幻想郷には強い人物がたくさんいるが散らばっていてとてもすぐには集められない。集まれば強いが集まらない。それが現状だ。

「ほとんどはこちらに来てるわ、ただ一部の人物が来ていない。まあ人数は多いし何とかなるでしょう」

パチュリーが魔方陣を見て言った。魔方陣を見ると幾つかの点がこちらの巨大な点に向かって来ていた。

「人が集まれば、全員で妖怪の山に向かうの?パチュリー?」

レミリアが尋ねる。パチュリーはくるりと後ろを向く。背中は少し小さく見えた。

「八雲紫は恐らく策を講じているはず。私達はあくまでその策の補佐。確かに山には向かうけれど…私達がするのは山の周りの敵を排除することよ」

パチュリーはそう言い、向き直る。そして立ち上がった。全員がパチュリーを見上げる。

「それじゃあ、私は準備をしてくる。咲夜、作っといたアレを使いなさい」

パチュリーはそう言い部屋から出て行く。咲夜も消える。後ろから走る音が聞こえていた。ドアが開いた、そこには幽々子と妖夢が居た。遅れて魔理沙と妹紅、てゐも入ってきた。



「そこを退いてくれるか」

マイルは前を見て言った。後ろの四天王は臨戦態勢になる。前には大天狗がいる、天狗は何も言わない。男が一人前に出る。男はライフルを撃つ–––––––––––––––––––



幻想郷の実力者たちは何故か紅魔館に向かわなければ

ならないような気がしていた。多くはそれに従う、だが此処に従わぬ者一人、風見幽香。幽香の前に、一人の男が居る。やけに筋肉質でずっとポーズを決めている、そのポージングに巻き込まれて花は散っていく。男が咆哮する。すると花は吹き飛んで行った。

幽香の顔に怒りが映った。恐らく紫が言ってた異変の原因であろう。幽香は男に話しかける。

「ねぇ」

男はギョッとした表情を見せ、すぐに幽香を殴る。だが幽香は躱し、男に傘で光線を放った。男は吹き飛んでいく。

「莫迦な!この私が」

男は叫びながら吹き飛ぶ。そして帰ってこなくなった。なんだあいつ、幽香は思った。



「総員集まったようだな」

マイルは山の頂上で言う、下には大勢の部下がいる。

全員が一斉に敬礼をする。後ろには無数の天狗の死体がある。部下はその上に立っている。死体は重みに耐え切れないのか血を出している。マイルは手を天に掲げて言う。

「これより、帝国へと帰還する!」

部下たちは一斉に敬礼を解き、手を同じように天に掲げる。すると雲の上から巨大な門が降りてきた、マイルたちは中に入っていった。部下が遅れて入っていく。そして誰も居なくなった。



「やるわね…」

諏訪子は座って口に出した、神奈子は空を見ていた。

その目線はとても鋭く、諏訪子は少し昔を思い出した。仲があまり良くなかったころのことだ。

「私達に感知させずに守谷神社を封じるなんて、並の生物ができることじゃない」

神奈子はそう言う、諏訪子は溜息をついた。神奈子も諏訪子もこの壁を壊す術が見当たらない。先程全力の攻撃を浴びせたが、傷一つついてはいなかった。

「まあ間一髪早苗を幻想郷に出せたし、いいんじゃないの」

諏訪子はそう言い神社に入っていった、神奈子は座ってただ星を見ていた。星は輝いていてとても美しかった。目線の鋭さは相変わらずだった。



レイは空を見上げていた。魔理沙もどきは斬った瞬間消えた。アリスは家の中で眠っている。レイは星を見る。星には天の川や数多の星が光を放っていた。脳が気を利かせて情景を写す。

「貴方そんなところで何をしているの?」

「何って…座ってるだけ。そう座ってるだけ」

「座ってるだけって…すごい雨よ」

「うん、そうだね」

「うん、そうだねって…風邪引くわよ」

レイはアリスと話し、まだ土砂降りの雨の中下に座っている。アリスは傘を持っている。レイは体育座りしたまま動かない、雨はレイを容赦なく叩く。アリスはレイの手を取る。

「え…」

「ほら、来なさい」

アリスはレイの手を引っ張り、走る。レイは引っ張られてアリスにふらふらついて行く。

「なんでこんなの持ってるのよ」

アリスは家で言う、上海人形がそれをまじまじと見つめる。それは刀だ。上海は刀の鞘をポコポコ叩いていた。気持ち良い音が帰ってくる。

「いや、分からない」

レイは答えた、そしてまた喋らなくなった。アリスはタオルをレイに投げる。それはレイの頭に当たった。「髪とか拭きなよ」

アリスはそう言い部屋の奥に消えていった。レイは動かない。レイは髪を拭いて、眠ってしまった。


しばらくたってレイは眼を覚ました、電気は付いたままだ。上海人形は椅子に座って前を見ていた。レイは立ち上がった。

「あの人は?」

レイは尋ねた、上海人形は何も言わない。レイは奥の扉を開けた。歩調は起きたばかりでふらふらしている。そこにはアリスが居た、だが先程の青い服は着ておらず代わりにバスタオルを体に巻いているだけであった。アリスの顔が赤くなっていくレイはぽかんとしている、だが横を見て事に気付いた。あ、ここ浴室だ。

「へ、変態!」

アリスはそう言い、レイを殴った。躱せなかった、速すぎる、この人と会う前に居た、金髪の幼い少女よりも強い。レイはふらふらする、視界が歪む…。さらに顔の側面にアリスの蹴りが飛んでくる。アリスは当然靴を履いておらず裸足のアリスの蹴りが飛ぶ。アリスの温かい脚が顔にあたり、レイは下に倒れこんだ。

上海人形のシネバイイノニという声が聞こえた気がした。

アリスって可愛いですよね

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