肚の中の遺物
戦況動き出す–––––––––
「え?永遠亭が…ない?」
魔理沙が聞き返した、てゐは頷いた。妹紅は動こうと踠いていた。魔理沙は少し考え込む。てゐも座り込んでしまっていた。
「他のう詐欺達は?」
魔理沙は尋ねた、てゐは首を振った。魔理沙は何をしたらいいか分からなくなった。表情は空虚であった。取り敢えず紅魔館へ戻ろうか、まあ、敵は私にこう思って欲しいんでしょうね。魔理沙はそう思い、妹紅に駆け寄り妹紅の首を真後ろに捻った。妹紅はそのまま動かなくなる。てゐは穴を掘る。次の瞬間後ろから爆音がした。男が妹紅に吹き飛ばされていた、そしてそのままてゐの穴に落ちる。男はもがく、だが妹紅が穴に炎を放った。穴は静かになった。そう藤原妹紅は不死だ…。
「魔理沙、てゐ。ありがとう」
妹紅は礼を言った。魔理沙は少し気まずかったが、すぐにそれは無くなった。何故なら男が起き上がったからである。三人は構える。男は時計を見ていた。
「閣下…、すまぬな小娘ども。悪いが招集だ。永遠亭は返してやる」
男はそう言い飛び上がる。妹紅たちは弾幕を放った。だが男はそれを器用に躱して、飛び去っていった。
「ほっほっほ。そろそろ任務を果たしますかね」
月の表面でウィズダムは笑う。だがウィズダムは走っていた。後ろから姫と月夜見が迫る。超想定外、マジで月夜見来るとは思ってなかった。本当に月夜見が出るなんて。月夜見は斬撃を放つ、ウィズダムは当たってしまう。ウィズダムが二つになる、だが一瞬で再生する。月夜見は距離をつめ蹴りを放つ。
「忍法、紫封じ!」
ウィズダムが忍者の真似をしてそう言い、月夜見の蹴りを躱す、その瞬間前転の速度が途轍もなく速くなった。音と同じくらいに。ウィズダムは月の崖から落ちた。そのまま地球へ飛び去っていった。その瞬間月に巨大な壁ができる。月は独立した。
「ん?」
家で紫は異変に気付いた、とてつなく眠い。それも冬眠のレベルじゃない、これはヤバい。紫は急いで藍を呼び寄せた。藍は一瞬で出現した。藍は困惑した様子であった、だが紫の表情を見てすぐに紫に駆け寄る。
「紫様、どうなさったので?」
藍は急いで紫に近づき、紫に尋ねた。紫の歩調はふらふらとしていた、藍は紫を支える。
「藍、幻想郷の戦力を集めて頂戴。知っての通り敵襲よ。私は無理そう…あとは… …頂戴」
紫の口調がゆっくりになりそして止まった。藍は焦って紫の首筋を触る。よかった死んでない…眠ってるだけね。そして藍は急いで博麗神社に向かった。まずは巫女ね…。
「紫…」
幽々子はそう呟く、妖夢は相変わらず素振りをしていた。幽々子の表情は険しくなる。幽々子は妖夢から竹刀を取り上げた。妖夢は不服そうな表情を見せる。
「ごめんね、妖夢。ちょっと来てもらうわよ」
幽々子はいつも通りの口調で言う、妖夢は断ろうと思った。が、
「ごめんね〜強制よ〜」
幽々子の表情はいつになく険しい、妖夢でさえ見たことのない表情と異常な殺気。この殺気は一体…妖夢は疑問に抱き、ついて行った。
「其方は弱い」
ヴァルキリーは聖にそう言う。聖は息を切らしていたが、ヴァルキリーは全く切らしていない。ダメージも全く食らっていない様子である。聖はそれでも向かっていく。ヴァルキリーは掌底を放つ、聖は躱してヴァルキリーを思い切り殴る、だが、ヴァルキリーは平然と立っている。ヴァルキリーは聖を蹴る。聖は目を瞑ってしまう。が、寸前で止める。聖は目を少し開ける。ヴァルキリーは居なかった。聖は悔しくなった、負けた事もだが眼を瞑ってしまったあの時の自分に。
「取り敢えず戦力を集めるわよ」
レミリアは口を開く、言い終わるが否や全員がそれに賛成した。現段階で何も出来なかったからだ。敵は今の所来ていない、魔理沙も帰ってこない。魔理沙抜きで話を進めるのは得策ではない。これは暗黙の了解であった。だが、レミリアは口を開いた。本来口を開くのは私のはずなのに…。霊夢は少し嫉妬した。パチュリーは本を閉じてレミリアを見る。二人の目が合う、そしてパチュリーは魔方陣を作る。魔方陣には幾つかの点があった。パチュリーはそれを眺める。
「取り敢えず何人か…幻想郷に味方が来てる。魔理沙は現在闘っているようね…妹紅、白兎も一緒ね」
パチュリーはそう言い、魔方陣を閉じた。顔は険しかった、そしてレミリアに言った。
「かなりの被害が出てる、単独行動は危険よ」
レミリアはコップを置いて、奥に行く。恐らくフランの元だろう。メイド達はついて行かなかった。
「お久しぶりね〜」
幽々子は暗闇に話しかける。暗闇は八雲亭の地下にあった。妖夢はいつもよりも幽々子の近くに居た。この暗闇は怖すぎる、まるで首に剣を突き付けられているような。いや、そんなものじゃないその程度の絶望ではない、もっと…こう…本能的な恐怖。動物が火を恐れるようなもの––––––––––––
幽々子様–––––––––こんな場所で一体何を?
だが暗闇からは何も帰ってこない。幽々子は顔に笑みを浮かべていた。何故笑えるのですか幽々子様…。しかも、人を煽る様な笑みではない。まるで旧い友人と話すかのような…。
「あらら〜貴女なら声くらい出せると思ってたんだけど…」
その瞬間妖夢に恐怖が襲いかかる。妖夢の視界を届ける光がLay on dark幽々子様無理です怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される
さヨなラ Ms.幽々子、ワらヒはもう駄目。
妖夢は倒れ込む。幽々子は妖夢の異変に気付いて、妖夢に駆け寄る。妖夢の口からは泡が吹き出している。身体も小刻みに震えていた。幽々子は妖夢を抱き抱える。震えは止まずむしろ増すばかりであった。幽々子は妖夢の前に立つ。
「私の大切な庭師をこんな風にしないで下さる?」
「まあ、いいか。貴女には妖夢をこんなにしたぶんもきっちりと働いてもらうわよ」
「返事くらいしなさいな、八雲紫」
幽々子はそう言い残し、暗闇から去って行った。
戦況はそろそろ動きますが、バトルが少なくなります。ここからは作戦フェイズ的なやつが始まります。