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たんさん!  作者: Win-CL
6/6

太陽電池様様

「あぁ、よく寝た……」


 新しく買い替えたニッケル水素電池も調子が良いようで――

 とても朗らかな表情をしていた。


「そりゃあ二十四時間も寝ればねぇ……」

「それはもう、充電できるのが私のウリですから」


「値段が張るから、何個も買えないのがネックだよなぁ」

「充電器でコンセントを占領してたら世話ないぜ」


 流石に家にある電池を全て充電池にするわけにもいかず。

 充電している間はといえば、アルカリ・マンガンに頼っている。


 使い勝手を考えると――

 やっぱりアルカリ・マンガンに軍配が上がりそうだ。


「値段もお手頃、静かに主人を支える……。

 今も昔も、マンガン電池(この私)で世界が回ってると言っても過言ではないです。

 ……タイトルも『まんがん!』に変更しませんか?」


「いや、それだと麻雀の何かに誤解されるだろ」


「『あるかり!』でもいいんじゃないか?」


「それだとパッとしない気が……」


「なんだよ! ただの難癖じゃねぇか!」


 …………


 ここらで、ニッスイも参戦するかと思っていたのだが――

 充電器に寄っ掛かってニコニコしているだけだった。


「最近寝心地がいいんですよねぇ。太陽の光に包まれてるというか――」


「あぁ、それは多分――この方のお陰だ」


 そう言って――

 窓際で寝転がっている太陽電池を指さす。


 陽だまりでスヤスヤと寝息を立てている太陽電池。


「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


 マンガンとアルカリからブーイングが飛んできた。


「太陽電池じゃねぇか!」

「様をつけろよ。デコ助野郎」


 エコなエネルギー生産で地球を救ってくださる救世主だぞ。


「さっき、『値段が張る』って言ってたのはなに!?」

「そいつだけで六千円ぐらいするだろ!!」


「しかも、それ蓄電池じゃなくて発電機の分類だし!」

「もう単三とかそんな次元じゃねぇぞ!」


「お、おう……」


 凄い勢いで噛みつかれる。


「しかもなに!? 毎日ひなたぼっこしてるだけで感謝されるってなに!?」

「そんな自堕落な生活送ってみてぇよ!!」


 ……間違いなく、それが本音だった。


「休みたいだけじゃねぇか、お前ら!」


 数分間の論争の末――


「いいよもう! ストライキだ!

 私もしばらくは日向ぼっこして生活するから!」


 そう言って、窓際の日当たりが強いところで大の字になるアルカリ。


「まぁまぁ、太陽光パワーMAXの私がいますから。

 また充電が必要な時期になれば、ほとぼりも覚めてますよ。きっと」


 上機嫌でそう言うニッスイ。


「……それはどうかしらね」


 不吉なことを呟くマンガンに――

 一抹の不安を覚えた。



 数日後――

 瀕死のアルカリが窓際で発見されることとなる。

 

「こ、これは一体……」


 深刻そうな声音でそう言うマンガンだったが――

 顔が微妙に笑っていた。


 遺体(?)は血の海ならぬ、液の海に沈んでおり。

 その周りはチョークか何かで白線で囲まれていた。


「本格的だな……」


 というか、無駄に汚さないでくれ。


「殺人事件!? 犯人はまさか――」


 アルカリのすぐ傍で寝ている太陽電池へと、視線を向けるニッスイ。

 こっちは半笑いだ。完全に遊んでいる。


「いや……」


 どう見ても液漏れだった。

 直射日光の当たるところで寝るからだ。


 どうやらテレビでミステリーものを見たらしい。

 ものの見事に、アルカリに自殺を仕向けた二人なのだった。


時間的にはここらへんで完結になりそうですね……。

突発で書いたわりには、六千字と。

それなり(?)の結果に終わりました。


この思いつきで書いた作品が、

誰かの暇つぶしになれば幸いです。


ここまで読んで頂き、ありがとうございました!


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