表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
たんさん!  作者: Win-CL
4/6

花粉症

 ――くしゅんっ。


「あ゛ー……鼻水が……」


 仕事から帰ったあたりから止まらない。


 心なしかヒリヒリするので、鏡で確認してみると――

 かみすぎで真っ赤になっていた。


「風邪とかじゃないと思うんだけどなぁ……」


 そういうタイプの鼻水ではないし。

 熱っぽくもないし。

 咳はない。くしゃみが凄い。


 というか、薄々感づいていた。


 鼻水が出る。くしゃみが出る。

 目が痒くて涙が出る。


 ……間違いない。花粉症だ。


「去年まではそんなに酷くなかったんだが――」


 暖かくなったのは良いが、今度は花粉ときた。

 スギ、ヒノキ、シラカバ。


 この国は――

 何かにつけて、人類に猛威を振るわないと気が済まないらしい。


 丸めたティッシュを、ゴミ箱に向けて放り投げたところで――


 ――くしゅんっ!


 自分のものではないくしゃみが聞こえてきた。


 マンガンとアルカリが机の上に出てくる。

 くしゃみをしていたのは――アルカリだろう。


 今も鼻をすすっているので、一目瞭然だった。


 ……電池がくしゃみってなんだ?


 鼻があるのは見れば分かるが――

 鼻として機能している(?)ことに驚きだ。


「おー、アルカリ。お前も体調が悪そうだな」


「なんとかは風邪をひかないって聞いた事があるけど――」


 そもそも、乾電池は冷暗所で保管推奨だろ。

 温度が低いとパワーが落ちるとは聞くけども。


「失礼なことを――くしゅんっ!」


 しかし、それとは様子が異なるようだった。

 鼻水やら涙やら、自分以上に凄いことになっている。


「んん。なんだか気分悪い……くしゅんっ!」


 くしゃみをする衝撃で、いろいろ飛び散っている。


「お、おい……。本当に大丈夫か?」


「あーあー。いろんな汁が……」


 汁とか粉とか――


 ……って!


「お前! それ液漏れ起こしてんだろ!」


 水酸化カリウム。強塩基。

 放置してるとヤバい――!


 急遽――

 家中の電子機器を引っ張り出すことになった。


――――


 押入れの中で眠っていた、乾電池式のデジカメ。

 その中に入っていたうちの一本が、液漏れを起こしていた。


 何年前に買ったのか分からないが――

 きっとすぐに飽きてしまったのだろう。


 なにかの行事がある時には、持って行った記憶もあるけど――


「最近はそういうこともめっきり少なくなったからな……」


 何はともあれ、早期発見できたのはアルカリのお手柄だった。


 たまには褒めてやろうと思ったが――


「アルカリって、お漏らし癖あるものねー」


「ちょっと!? その言い方やめてくれる!?」


 マンガンにからかわれて、それどころでは無いようだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ