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たんさん!  作者: Win-CL
1/6

ミニカー

登場人物

主人公:社会人。一人暮らし。

マンガン:力は弱いけど、長持ち。全体的に黒い。

アルカリ:力が強くて体力もあるけど、頑張りすぎて息切れする。全体的に金色。


 商店街の福引で当たった(五等)ミニカー。

 本格的な作りなのか、結構重たい。


 このままだと埃を被らせてしまいそうなので、

 せめて一度くらいは遊ぼうと思ったのだが――


 このご時世に、未だに乾電池式らしい。


「あー……今、暇な奴いる?」


「はいはーい」


 テレビのリモコンの中で休んでいたマンガンが手を上げた。


「んじゃあ、ちょっとこの車に乗ってみてくれないか」


「仕方ないですねぇ。シュー〇ッハばりのドライビングテクを――」


 そう言いながら、乗り込むマンガン。

 いざ発信! とスイッチを入れたのはいいのだが――


 …………


 遅い。飛んでいる蝶にも劣る遅さだった。


「あー、だめだ。全然走らないよ、これ。壊れてるんじゃない?」


「新品だぞ!? んなわけあるか!」


「マンガンは非力だからなぁ」


 ヘッドフォンの中から、アルカリの声がした。


「ペース配分が上手いって言ってくれる?」


「アルカリ。お前も試しに乗ってみるか?」


「もちろん! ちょっと代わって」


 『我こそは』と、マンガンを押しのける。

 最初から様子を見ていたものの、出るタイミングを逃していたらしい。

 一刻も早く乗りたい雰囲気が全身からにじみ出ていた。


「あっ」


 乗り込むなりスイッチを入れるアルカリ。

 ミニカーがすごい勢いで走りだした。

 マンガンが乗っていたときよりも、はるかに早い。


「みてみて! すっごい早くない!?」


「あぁ、お前こそシュー〇ッハだ!」



 30分後。


 アルカリを乗せたミニカーは縦横無尽に部屋の中を駆け回っていた。


「私はいま――風になる!」


 華麗にドリフトを決めるアルカリ。

 フローリングに傷がつく。やめてくれ。


「あー……そこらへんにしといた方が……」


「なに? 自分が乗りこなせなかったからって嫉妬してるの?」


「もう! アルカリの事を心配して言ってるのに!」



 1時間後。


「か……枯れた……」


 精根尽き果て、崩れ落ちるアルカリ。

 どこからどう見ても電力切れだった。


「ア、アルカリー!!」


 あれだけ重たい車体を、一時間近く走らせ続けたのだ。

 当然と言えば当然の結果なのだろう。


「だから言ったのに……」


 ため息を吐くマンガン。


 結局――

 そのミニカーで遊んだのは、それっきりとなってしまった。


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