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世界を繋ぐお仕事 〜縁切り結び編〜  作者: na-ho
へんかくのよあけ
8/203

7 輸送

 ◯ 7 輸送


 一時間半後に、ガドン隊の人達には起きてもらい、目覚ましのコーヒーを飲ませた。二十分かけて体をほぐして、回復した死神と一緒に四人で向かった。ビアラマ隊とソーマ隊が交代した。ガドン隊が戦線に入って入れ替わりでマリーさんとナッツさん、デリさんが戻って来た。

 すぐに三人分の闇のベールを消して様子を診たら、随分打撲と擦り傷が多かった。三人の手当をしてから傷薬を塗り付けて腫れの酷いところはたっぷりと療しの力を掛けていった。


「向こうでガドン隊の二人と合流したからベールとマントを交換したみたい」


「アキちゃんの負担が減ったわね〜」


「そうだね。治療をしてたら維持が難しいよ」


 だからこそ、薬を使っての治療に頼るしかない。それに、薬の効果が高いのに体に負担が掛かりにくいのはさすがだと思うし、使わない手は無い。


「そんな感じは無かったぞ?」


 デリさんが聞いてきた。


「ポースが頑張ってくれてるからね」


「そうか。随分無理をしてるんじゃないのか?」


 ナッツさんが心配をしてくれている。が、このくらいは想定内だ。さすがに今回以上の酷い怪我は僕には治せる自信が無い。それこそ薬頼りだ。


「フルにやってるから、休憩をたっぷり取らないと無理かな」


「分かったわ〜。でももう随分追い詰めてるから大丈夫よ〜」


 マリーさんが中の様子を少し教えてくれた。悪神の半分は魂の回収が終っているみたいだ。


「本当? 良かった」


「レンの様子は?」


 デリさんがレンさんの顔をのぞいている。


「少し、肺に骨が刺さってたから眠らせてるよ。六時間たっぷり睡眠コースだから」


「成る程な。で、この横に並んでるのも回復狙いか?」


 腕の折れた人はまだ眠っていて、その隣にはソーマ隊の死神が眠っている。


「はい。ガドン隊長迄眠ったから、かなり良くなってると思いますよ?」


 今頃は暴れまくってると思う。


「成る程な。妙に元気だと思った」


 ナッツさんが呆れた顔をこっちに向けた。


「そろそろ約束の三時間だから起こさないと……あ」


「闇のベールが消えたな」


「はい。六人で大丈夫ですか?」


「いけるだろ」


「とにかくそいつを起こして準備だ」


「了解」


 ソーマ隊は既に体をほぐし始めている。死神は十分で用意させられていたが、一人で結界の外での待機の間に体を更にほぐしていた。ソーマ隊の死神のマントは一キロ圏内有効だった。数は六枚だけで時間も短い。だけど、広範囲をカバー出来るのはかなり良い。

 ギダ隊がソーマ隊の入れ替わりで戻って来た。皆はあちこち怪我をしていて、治療に忙しかった。


「みかんの中間界だと悪神達も力を削がれるせいで討伐も簡単だが、ここはちょっと難しいな」


「ああ。地獄の影響を受けているせいだろう。何処かに地獄の門が隠されてる可能性もあるぞ」


「あり得ますね。向こうの力が妙に強い」


「神界に報告をしておこう。何か隠しているなら、不利な条件だからな……危険度が上がる」


「そうね〜。こんなギリギリの戦いは一番避けたいわね」


「……アキは分からないか?」


「瘴気は感じないよ?」


「上手く隠しているかもしれないな……。後で軽く繋いで見てくれ」


「分かりました。僕は休憩しますね?」


 スフォラと一緒に一眠りした。四時間程で起こされたので周りをみると。レンさんが起きていて、ギブスの代わりに軽量の鎧の様な物を着けていた。

 悪神達は全員冥界に送ることが出来たらしい。北と西の戦闘は終ったみたいだ。他の拠点を手伝いに行くことになったが、その前に、一番気になっている地獄との繋がりだ。そっと外に出て自身の魔力を通じて魔力素に繋いで追う。それで都市を探査したけど、今一分からない。

 意識を上げて世界に繋げてみる。ゆっくりと馴染ませてみれば気の歪みが分かる。中心を避けて周りを調べると大きさが分かった。まあ、都市のど真ん中にあれば僕にだって分かる。


「何か大きな歪みはあるけど、激しさは無いよ……」


 地獄特有の荒々しさを感じない。けど、とても大きな歪みに隠されているだけかもしれない。マリーさんが、続きを促したので続ける。


「中までは良く分からないけど、都市の中心の左はずれに大きな歪みを感じるよ」


「そう。良いわ〜、それだけでも分かれば。一旦、調査隊を組んで調べた方が良いわね〜」


「そうだな。メラードノストのように囮かもしれないしな」


「地獄の気に似た何かを溜め込んでる可能性だってあるものね〜」


「あり得るな。ここ迄都市の守りを狙うには何かあるんだろう。調査隊を神界に頼んだ。到着する迄我々は、北と西の維持に努める」


 交代で都市を見回り、二日が過ぎた。原因となっていた歪みは悪神達の仕業だった。新しい術が施された謎オブジェが結界内に見つかった。邪気を溜め込んだ禍々しい物で結界と悪神達を繋ぐ魔術が掛けられていたことが判明した。刻印の入った背中に直接邪気を送り、それで強くなっていたみたいだ。

 この情報は直ぐに他の襲撃を受けていた世界にも送られて、結界と邪気を送りつける魔術を解除する為に調査された。


「アキちゃんお手柄よ〜」


「本当?」


「あたし達の評価も上がったわ〜」


「さすが俺様が付いてるだけあるな」


 チームでの貢献が良かったみたいで、三隊とも評価が上がったみたいだ。戦闘開始から四日目の朝、そんな報告をマリーさんから受けた。ポースは自分の事の様に喜んでくれている。


「良かった」


「ここの制圧も、あの刻印と邪気を送る魔術を取り払ってからはうまくいって、悪神達も大半が捕まえることが出来た。最初にここの人達の生命を守る為の都市に掛ける結界が張れなかったのは残念だが、他の地域でも戦況が良くなっているのを聞いている。あれを見つけたのがやはり大きい」


「でも、何かあるって気が付いたのは隊長だし、それで調べたら出てきたんだからギダ隊長の手柄ですよ?」


「当然その分は報告しているが、実際にあれを見つけれる者はそうはいない。繊細に詳細な気を読むことの出来るアキだからだな。魔力では探れないように偽装されているし、あれに気が付くには専門でないと難しいと調査員も言っていたからな」


 帰り際にギダ隊長に褒められた。褒められすぎて背中がもぞもぞしたけど、嬉しかった。回復が出来るのも評価が高かった。ポースも今回は殆ど出ずっぱりで、大変だったと思う。でも大活躍していたし、満足して今は眠っている。ビアラマ隊を始め、ポースの中にいる皆も大活躍だった。帰ったら皆で温泉にゆっくり浸かって疲れを癒そうと思う。


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