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世界を繋ぐお仕事 〜縁切り結び編〜  作者: na-ho
へんかくのよあけ
7/203

6 発破

 ◯ 6 発破


「ポース、大丈夫?」


 周りの安全が確認出来たので僕の亜空間のベールは閉まって、体力温存に努めている。バッタ部隊に紀夜媛も司令室である闇の空間から一旦ポースの中に入ってもらって、休憩中だ。


「ああ。俺は大丈夫だぜ、ヒッコリーからも変な動きは無いって連絡が来てる」


 ビアラマ隊の隊長のヒッコリーから連絡が来たみたいだ。


「良かった」


「問題ないぜ、あのすばしっこさなら悪神にだって捕まりにくい」


「そうだね」


「アキの教えた風の魔法での探査も直ぐ覚えたしな」


「タキの使ってたソナー技術の魔法版だよ。振動を追って感知出来る魔法陣を魔結晶に繋げたからね。ビアラマ隊の装備に魔法陣で拾ったものが映るようにしたから、危なかったら直ぐに戻って来れるよ」


 小さな振動だから魔力も最小にしか必要ない。魔法だってバレるには向こうもかなり鋭くないと難しいし、分かっても後を追うのも難しいと思う。意外に知能が高くて、こうやって見張りをやってくれる。

 ソーマ隊も動けるようになったし、そろそろ西の方も動きがあるはずだ。拠点を見つけたので、罠を張り巡らし誘き出して罠にはめている頃だと思う。発破装置をあちこち仕掛けて追い詰めるから嫌なんだよと、ギダ隊長がガドン隊のことを苦笑いで言っていたのを思い出していたら、遠くからドドォーン、とかいう音と共に振動が来た。空を見たら砂煙が西の空に大きく上がっている。


「あいつら、派手にやらかしやがって!」


 デリさんが煙の方向を見ている横で、ギダ隊長が苦笑いしている。


「こっちもそろそろ動くぞ」


「了解」


 僕達も見つけていた拠点に攻撃を開始するべく移動を始めた。途中でビアラマ隊を拾ってポースの司令室に入れて、影を進んだ。移動の間も小さな爆発音が時折聞こえてきた。

 北の守りの近くに着いた。ここの仕官の屋敷の中に悪神達の簡易拠点があるのが分かっている。僕とマリーさんは屋敷の門の外で待機だ。中庭の中間点での見張りにベノンさんとレンさんが残り、他の八人が建物内に突撃した。

 中には思ったよりも多い悪神、邪神が固まっていたようで、直ぐに外の見張りは僕=スフォラとマリーさんに変わって、ベノンさんとレンさんは中に応援に向かった。僕達はその間に屋敷の外に結界を張り巡らせて行く。

 何故かガドン隊の一員がいるとギダ隊長がぼやいている。悪神達は転移装置を持っていたみたいだ。それで爆発を避けて逃げた邪神を追い掛けてきたガドン隊と鉢合わせになったらしい。中で、マントが無いのでどうたら言っている。転移装置を通ってきたなら、マントの持ち主の死神が来ないとそうなる。

 ここの悪神、邪神達が多かった理由が分かった。逃げてきたんだ。発破から追い詰められてここに集められたようだ。


「マリーさん、ここはビアラマ隊と一緒に見張りをするよ」


「そうね〜、結界もあるし御願いするわ。スフォラちゃん、無茶はダメよ?」


 スフォラは頷いた。ギダ隊長にマリーさんの参戦を伝えると、マント無しのガドン隊のメンバーの怪我人を運んでくれと返ってきた。向こうは死神の足をやられて余り動けないのでこんな状態になったみたいだ。状況は拮抗している雰囲気だ。

 中での戦闘が派手になっているので、ビアラマ隊と一緒に一ブロック後ろに下がることにした。ギダ隊長にその旨を伝えつつ、周りの安全を確認しつつ下がった。

 建物の壁が崩れて中からものすごい勢いで何かが壁ごと道路に飛んできた。見ればレンさんだった。さっきの衝撃で闇のベールが破けているので分かった。ギダ隊長にレンさんの手当に入ると連絡した。

 直ぐにベールの修復をしてビアラマ隊に追撃が無いかを調べてもらいながら、レンさんに近寄った。安全を確認しながら怪我の様子を見た。あばらが数本折れて重症だ。

 アストリューの特製薬を飲ませて治療を掛けつつ、ギダ隊のキャンプ用の収納スペースにスフォラが運んでくれた。レンさんの状態を隊長に伝えると戦線離脱となった。

 ヒッコリーが外でギダ隊長の指示のあった場所迄下がって待機してくれている。魔法で骨の再生を早め、なんとか少しだけくっ付ける。回復の薬を更に飲ませて、しばらく安静にして貰う為に眠らせた。半日ぐらいでギブスをすればなんとか動けるはず……驚異的な体力があってのことだ。

 僕は外に出た。次の患者がマリーさんに寄って運ばれてきた。ガドン隊の三人が一緒に来ている。マリーさんは僕の顔を見て、後はよろしくね〜、と言って直ぐに屋敷に張ってある悪神を逃がさない為の結界の中に戻って行った。

 三人をキャンプ用の収納スペースに入れて診ると一人は腕を折っていて、一人は頭に怪我をしていて気を失っていた。一人は大した怪我はしていなかった。怪我を余りしてないソテスさんには回復の薬を渡して闇のベールを渡した。レンさんの分だ。テソスさんは不敵な笑顔でベールを受け取って直ぐに参戦しに戻った。


「あいつ、治療無しで……」


「僕の闇のベールは治療、回復効果付きですよ」


「そういう事か……」


「先にこっちの人を見ますね?」


「ああ。頼む」


 頭を怪我している人は脳震盪を起こしているのもあって、慎重に調べてから治療薬を飲ませ、魔法を掛けていった。傷薬を塗ってから十分程で気が付いて、飯は? とか寝ぼけたことを言っていたが、大丈夫だろう。

 腕が折れてる人も治療を始めた。防護傷だから綺麗に折れている。不意打ちされてとっさに守った感じだろうか。二人の会話からそんなことが窺えた。


「えーと、ありました」


 頭を守るヘルメット的なものが、ギダ隊のキャンプ用の収納スペースに置いてあったのでそれを渡した。


「やっぱりな。こいつを付けてもう一度戻るぜ」


 ついでにギダ隊長に頼まれた物資も届けて貰う。武器が破損したらしい。カジオイドはまだギダ隊の分迄は作られていないので、『強化型スフォラー』のままだ。


「ああ、気をつけろよ?」


「そっちもな。怪我してるんだ無茶するな?」


「それはそっちだろう」


「直ぐに戻れるだけましだ。行ってくる」


 僕は闇のベールをもう一枚出した。一枚多くなるけど、仕方ない。


 二時間半が過ぎてソーマ隊が帰ってきている。死神の回復を今はやっているので、ソーマ隊は外でマント無しでベリィヌーヴと一緒に見張りをしてくれている。ビアラマ隊は休憩だ。


「今回はこのキャンプベースが無ければ無理だった」


「そうですね」


「回復役の存在も大きい。こんな最前線に来れるのはもっと簡易な治療しか出来ない者が多いからな……」


「両方を極めるのは難しいですよ。僕は戦闘もベールの強化も他人任せだからここにいられるだけですし」


「良い仲間が揃っている。ギダ隊の評価が高い理由が分かる」


「ところで、回復を早めるのに眠ってみませんか?」


「どう言う意味だ?」


「あー、影の精神治療です」


 気持ち良さそうに寝ている腕を折った人と、レンさんを指さした。


「……成る程。良いだろう」


「三時間後に起こしますね」


「分かった」


 すやすやお休み頂いている皆にたっぷりと癒しをかけつつ状況を聞いていた。どうやらやっと悪神達との拮抗が崩れてギダ隊が押し始めたみたいだ。でも、後二時間半しかベールは持たない。

 しかし、西にいたガドン隊の三人と、足を負傷したという死神がこっちに合流を果たしたので、死神の治療に入った。随分酷く捻ったみたいで腫れていたが、アストリューの特製薬とシップ薬を着けて治療したら、なんとか腫れは引いてくれた。後を引くと大変だけど、彼にも一時間程眠ってもらうことにした。

 ガドン隊長もどうせなら自分達も体力回復に良いからと、言って眠らせろと言ってきた。了解です。


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