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世界を繋ぐお仕事 〜縁切り結び編〜  作者: na-ho
あいどるたんじょう(仮)
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40 理想

 ◯ 40 理想


 僕はしばらくアストリューからは出ることが出来なくなっていた。妖精達の面倒を見ないとならないし、聖域の管理が忙しかった。

 精霊界が落ち着きを取り戻すまでは家の庭と聖域予定地を往復し、皆の様子を見てまわって足りない物やら不満を聞いたり遊び相手になったりと目まぐるしい忙しさを味わっていたのだ。

 聖域のステージでポースと一緒にステージまでこなし、精霊の歌やらダンスも楽しんだ。いや、忙しかったんだって、遊んでないから! いやまあ遊びは仕事だからね。

 ある意味理想的な仕事だと思う……。


「あ、マリーさん。ガリェンツリーはどうだった?」


 家の中で遊び疲れて寝ているセヌーとアロアを抱いて寝室に向かって移動していたら、マリーさんが転移装置から出てきた。


「みんな頑張ってるわよ〜」


 シィシィーとメロゥートとセレンを運んで貰うのを、マリーさんに任せて、階段を上って寝室に入った。


「そうなんだ。新しい体勢は馴染んできたの?」


「そうね〜、随分浸透してきたわ。人族達は変わらず王政と、新しく議会制ができたぐらいで、まとめて政治は行うみたいだし、住人の理解が追いつかないのよ〜」


 教育が必要ってことだ。王都、都市、街、町、村があって、都市部と地方との関係やら格差がありすぎるのも問題だ。一部地域では神界の直轄地を作り、役所を作って住民の管理や税金の徴収に職業紹介やら公共サービスをやることは決まった。道路工事なども馬車を多く使う商業組合の中の大商人が多く支払うなど、工夫がされている。

 まあ、大体は予算を組んで都市なら都市で集めた税金でやるとかは決まっている。村は多少の援助はあるけれど、そんなには税金は集めない。というか、格差がありすぎて集まらない。その内に村々の特産とかを作って発展させることが出来れば良いけど、まだそこまで回っていない。

 まずは基本の衣食住がちゃんとすることが大事だ。都市部ではその辺りは改善されつつある。


「族長会議はどうなってるの?」


 皆をキングベッドに寝かしつけて新しいぬいぐるみ達を周りに配置する。そっとドアを閉めて、後は紫月に任せた。というか紫月も眠る時間だ。


「そうね〜、人族とその他の会議は進まないわねぇ。差別意識が抜けない人が多くて。難航してるわね」


「竜人族とは連絡は取れないの?」


「無理ね。彼らは完全にあそこで一つの世界を作っているつもりだから、エルフ族より難しいわね」


 新しい神なんてそっちのけ状態ならしい。コウさんが里から出ているのが珍しいというか追い出されたらしい。何したんだろうか? マリーさんとの話はリビングのソファーで続けられた。


「エルフの族長はルルさん以外はまだ種族主義なんだ?」


 作りたてのカシガナの実入りの野菜ジュースを飲みながら、ガリェンツリーの様子を聞いた。


「カチコチの頭よ〜。話にならないわね。ルルちゃんがまだ革新的な方なのよ。ヴァンパイアとも交流をしていたんだし、好奇心が旺盛だったのよ〜。まともな精神を持ったアンデッドという種族を認めたのが、彼女達の里だけだったみたいなの。そこが瘴気にやられてしまったのは痛いわね。その考えを持った多くの同胞が、奴隷化でいないか、他の里で考えが固くなっているかなんですもの」


「……辛いね。シュウ達は?」


「元気よ〜。そうね、そろそろあの子のことが分かってきたみたいね。彼女が強制的に決めた仲間を縛る鎖に気が付いてきてるわ〜」


「……そっか。仲間の存在に縛り付けたんだから、道が違ってくるとそうなるよね」


「神僕でないけれど、放置は出来ないし外せない仲間なのよね、彼らにとっては。成長を許さずに縛り付けるものに変わったら終わりね」


「あの状態が続く限りは仲間で続くけど、あれ以上に進むなら、彼女のあの状態は前に進ませない為の呪いなんだね」


「そうね〜。でも、その鎖は外さなくても大丈夫かもしれないし。気が付いたくらいでその範囲を超えてはないわ」


 確かに、少し違う要素が入るくらいだし、壊れるまでは行ってない。大丈夫だと信じるしか無い。


「なら、大丈夫かな」


「一生、神僕でいても問題ないのだし〜」


「シュウと西本さんが結婚するし、ちょっと関係が変わるからね」


「それは、うやむやのままではいられないわねぇ。人をずっと面倒見るのって無理があるのよ。それも歪んだあの状態では破綻は必然なの。新しい関係を作るには結婚は良い機会ね」


 少し離れて暮らせば、関係が変わりそうだ。


「うん、倉沢さんも町の人との交流が増えれば、違った関係が築けるよね」


「彼女は誰か想い人はいないの〜?」


「サバイバル、戦闘訓練で一緒だった四人と同じ志向だよ」


「あら〜、ヴォレシタンとか?」


「……ううん、貴族に捕まった天使のことをしつこく聞かれたって祐志が言ってたよ」


「あ〜、そうなの〜?」


 マリーさんが呆れている。そうだね、何を思ったのかは語らずとも分かることだ。


「どのみち僕のことは見えないから対象にはならないよ」


「困った趣味も持ってるのね〜。この激動の時代にはちょっと見つけるのが難しい相手よ? 運と人を見る目が必要なのよ〜」


「難しいね」


 ここが落ち着いたら、シュウの結婚式には向かおうと思う。


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