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世界を繋ぐお仕事 〜縁切り結び編〜  作者: na-ho
たのしいきゃんぷ
32/203

30 鳥瞰

 ◯ 30 鳥瞰


 最終日は早朝に出発した後、集合場所に向かって各自で移動して、時刻までに到着をすることだ。そこで戦闘訓練のまとめをやり、最終説明となる。


「迷子になった時点で、降格処分が決定するから気をつけるように」


 ここまでの訓練の集大成だ。試験に合格しないと待遇にも影響する。『スフォラー』を扱える能力がないと判断される程落込んでいる評価の四人には後が無いのだ。ここで挽回しないとモニターからも落とされる。と、思っているのだろうけど、実際はもうとっくに落ちているも同然だ。


「皆、気を引き締めて、全員で合格しましょうね!」


 ウィルミナが優等生気質を発揮した。ここに来て初めて見たんじゃないだろうか……違和感ありまくりだけど、僕には。


「集合場所で会いましょうね」


 口々に言い合っているが、空々しく聞こえるのはどうしてだろうか……。僕の彼女達を見る目が固定されているせいかもしれない。こんな一面も持っているのだと、無理矢理思うことにした。


 彼女達のいい面を引き出すには、僕では無理だろう。イケメンかエリートでなくてはならないという条件が付いた鍵が必要だからだ。

 僕の存在が常に排除されている方に入っているのは、彼女達の防護かもしれないとふと思った。イケメンがもてるのと同時に、彼女達ももてるのだろう。美人ぞろいだし。

 邪なことを考えて近寄る者も多いのかもしれない。振り分けるには自ら取捨選択をその場で突きつけられる。その結果がああなのだとしたら、彼女達は被害者になる。

 まあだからと言って、鬱憤を晴らすかの様な僕への無礼の数々が許されるのかというと別問題だ。いや、別にさせてもらう!! 怒っているのだから。

 変な気を起こさせない為の過剰防護だと言うのなら、近寄らないのが正解だ。これを思うと、後を引く様な恨みを持たなくて済みそうだと思った。か弱い(?)女の盾だというなら、仕方ない。

 ただ、その選別する基準には疑問ありだと思うよ。全員がこんな風に気が付く訳じゃない。

 その内に、無下にしてきた人からの報復が来るだろう。いや、要領だけは良いからないかもしれない。選別の際に周りを貶めて敵を作っているから、社会的に成功していて蹴落とされない力を持つ者を相手に求めている。つまり、借り物の力を纏って身を守ることを望んでいる。

 力を求めないとならない程に、とんでもない悪業を背負っているのだ。一緒にいたら運を吸い出されてしまう。縁を切っておくのが正解だ。いや、切らなくても排除されているからこの訓練が終ったら、会うこともないはず。


 半透明のボードに出ている現在地と集合場所を確認して、遠くに見える山を見て方向を定め、僕は空を飛んだ。

 いやだって、二日も歩いたら足が痛いし、何度治療しても支給されたブーツは靴擦れするし、空を行くのが正解だよ。

 ゆったり空の旅は一時間で目的地に着いたのでテントを張った。そこでトランクルームに残っている食べ物を全て出してみた。少し余りそうだけど、殆ど食べ終えている。治療中にレイにボタン鍋擬きを、マシュさんには生姜擬き焼きを渡して試食してもらったので減っている。

 料理人を連れて行く旅行なら考えても良いかな、とか言っていたのを思い出し、皆でそんな旅行の便利グッズ作りも楽しいかもしれないと思いついた。文明に侵された人のお気軽キャンプ旅行セットを作るのだ。

 あ、楽しいかもしれない。やりすぎず、好いあんばいでの自然とのふれあいを提供出来るセットなら楽しいに決まっている。ノートにそんなアイデアを書き込んで時間を潰した。女性達は美容のセットはどうしているのだろうか。僕は乾燥防止用のクリームを自作したけど。交流がなかったせいで聞いてない。

 ヴァリーやホングに聞いてみよう。


「あ、ジェッド教官」


「一番乗りか……。空を行ったからそうだとは思ったが、歩いても良かったんだぞ? 訓練の為に」


「あー、まあそうですね。迷子になりにくいので空が良いかなと。天気も曇っているし、雨が降り出したら悲惨ですから」


「言ってる間に落ちてきたな」


 ぽつぽつという音と共に雨が降り出した。


「天候は雨でも変わりなく出発ですか?」


「自身で判断だ」


「了解です」


 教官はテントを素早く立てて、直ぐに中に入ってしまった。僕も自分のテントの中に入った。動物、虫、雨が入ってこない快適なテントだ。周囲二メートルは動物と虫はよってこないように結界が張られている。雨は普通に防水なだけだ。

 僕なら、快適な湿度と温度を付けるなと思いつつ、ガリェンツリーなら、魔物よけも必要だと思い出した。世界で使う物が変わってしまうから、旅行会社とのタイアップも面白いかもしれないと思った。レンタルにしてしまうのだ。

 ヴァリーのあの荷物の多さを思うと、コンパクトに出来て軽くて丈夫なのは基本として、魔法の出来る出来ないも考えないとならない。拠点のテントは自然に馴染む感じで快適な場所にして、テーブルと椅子のセットは必須だし、ロープ類は以外と役立つことが多いのも今回経験した。

 でも、物が多くなるのは良くないし、テントにリュックとナイフ一本と着替えに水筒のセットだけの、こんな訓練じみた旅行を好むのは僕の周りにはいない。

 いや、こんな最低限のことをやったからこそ、文明を何処まで持ち込むのかを考えねば!!


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