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波音制覇 ☆伝説(?)の日々 3

明日は 神僕の悩み 2 と、作者のまとめ 6 を投稿予定です。神僕の悩み2は一万文字もあるので5分割してあります。

 ☆ 3


 アッキがまた死んだ。今回は魂に傷が付いてかなり大事になったが、レイの奴が付いているから心配はいらねぇ。割とでかい組織も簡単に動かせる権力覇者だ。こういうアミーゴを持ってるアッキには生半可な相手じゃかなわねぇ。

 暫くして幽霊に戻ったアッキは、長いものに巻かれている効果でしっかりと助かってやがった。さすがは俺様の相棒だ。既にけろりとしてやがる。


「また死んだのか?」


 宙翔の所に上がり込んで話をしたら、ここの主人が呆れてやがる。宙翔の親父だ。


「まあ、いつもの様に直ぐ復活してるぜ?」


「年行事になっていないか?」


 全く心配してない様子の親父さんは分かってるな。剪定ばさみを片手に縁側で盆栽の手入れ中だ。これは鉢内小宇宙の覇者としての大事な管理の仕事だ。手を出しちゃ行けねぇ。


「そうなのか? 知らねぇな」


「そんなイベントは最後にしてくれないとな」


 イベントなら盛り上げた方が良いのか?


「三度目みたいな事を言ってたが、お祝いなのか?」


「……祝いじゃないだろう。何になるのかは分からんが、神官の修行も大変だな」


 覇者の死んだ後は祭りをする所もあるが、あれとは違うのか。人間のやる事は今一分からねぇ。


「色々と邪魔が入るが、征服地の管理は立派にやってるぜ? これが出来ないと覇者としては失格だってレイが言ってたからな」


 ファンサービスをやるのと同じだ。時々見回りにライブをやらないとお互いに忘れちまうからな。


「まだ、その修行は続くのか?」


 鉢の覇者たる雄大が、満足そうに鉢を手に持って所定の位置に飾り、道具の手入れに入った。質問の答えは俺様も昨日レイの奴に聞いたばかりだ。


「いや、生まれ変わるって言ってたぞ」


「……そうか。記憶は持ち越しとか聞いてるのか?」


 これには顔を上げて聞いてきた。


「アッキは魂の管理者だ。生まれ変わりなんて何処でも出来るって言ってたぞ」


「そうか、既に選べる身分か。俺も選べるが、管理者ではないな」


「黒いマントの連中と一緒だ。アッキはベールを持っているからな」


「おお、死神か。そりゃ死とは縁が切れないな」


「おうよ。だが、やられてばっかりじゃねぇぜ? 俺様達の活躍は広がってるからな」


 宙翔の親父は髭をピクピク動かして何か考えている。が、心配は要らねぇ。紀夜媛とベリィヌーヴの故郷でも征服は順調だし、みかんの町ではファンが集まってきていて俺様達に活動資金を自ら上納してくる。


「世界は俺様を待っている!!」


「そうか、良かったな」


 今一乗りの悪い言い方だ。だが、仕方ねぇ。ここの家の皆はアストリューからは出ないからな。移動する奴らとはちょっと違う。定住者とかいうあれだ。メレディーナがそんな事を言っていた。紫月も定住者だが、時々旅行には出る。アッキは俺様と同じで外でも活躍するタイプだ。

 定住者である大猫族にはアッキの生まれ変わりは伝えても問題は少ねぇが、外の連中は危ない。アッキみたいに命を落とすかもしれねぇ。危ない奴らに会う確率が上がる。ゾンやデザージも弱い奴を見つけては支配下に置くのは、常にやってたからな。


 女将がお茶を入れて縁側に来た。最近は美寿とその友人が宿を手伝っているのを見かける。神殿での仕事と宿の仕事も似ているからだとか。だが、そういうのは分からねぇぞ。

 取り敢えずはしばらく姿が見えなくても心配はないと伝えたし、帰ると声を掛けた。


「そうだ、ポース。生まれ変わりをしても『妙旋風』はそのままあるんだな?」


 宙に浮かんで帰ろうとしたら、思い出した様に親父さんが聞いてきた。確かにファンに取っちゃ一番大事な情報だな。俺様とした事が、言い忘れてたか。


「解散とは聞いてねぇぜ。だがしばらくはアッキの出番はねぇ」


「そうか……」


 ちょっと残念そうだな。親父さんはアッキのファンでもあったのか。……酒飲みは大体そうだ。


「あら、何のお話?」


「ああ、実はな……」


 説明を始めたから、俺様は今度こそ月下猫宴の日本庭園を後にした。そして向かったのはマリーの配下のグレンネスの所だ。運良く店の外に出てきたのを捕まえれた。


「お、グレンネス。調度良かったぞ」


「ポースか。また出歩いてるのか……」


 難色を示すのはその昔、俺様とやり合った事があるからだな。死神と協力している俺様にめちゃくちゃ驚いてやがったし、話をしたらがっかりしたとかぬかした。そこは俺様のすごさに跪くところだろっ!! 全くもって分かってねぇ奴だ。


「アッキはしばらく酒を造れねぇ。その分、他で埋めてくれ。マシュからの伝言だ」


「……豆の神力酒はカクテルに必須だ」


 睨んできてもだせねぇもんは、だせねぇ。


「今、ストックを作ってるが生まれ変わるからな」


「そうか。力が変わらないなら良いが」


 ストックがあると聞けば、気を鎮めて仕方ねぇと素直に諦めてる。確かに在庫とか言うのは大事らしいからな。俺様の予備の魔結晶と同じくらい大事なもんだって話だ。


「神域があるからそれは心配ねぇってさ」


「そうだったな。良いだろう。新メニューで量の調節をしておく……次の訓練は参加するとギダに伝えてある」


 酒に関しては安心したらしい。それでか、挑戦的な視線を投げてきやがった。やる気は充分と受け取った。


「いいだろう。吠え面かくんじゃねぇぜっ!」


「そっちこそ。勝負だ!」


 勝負の約束はした。俺様は店を後にした。アッキはこういう負けん気を発揮するのは苦手みたいだが、俺様はそんなくらいは付き合える。大物だからな!! アッキが万全の準備が整うまでは俺様は修行だ。


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