表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界を繋ぐお仕事 〜縁切り結び編〜  作者: na-ho
からさわぎもこいのうち
146/203

134 趣味

 ◯ 134 趣味


 加島さんが倒れたと聞いたので、向かったら既に日本に帰っていた。霊気酔いしたらしい。元々霊気が扱えないのだから無理をしたらダメだ。成田さんも気分が悪くなって一旦帰ったと聞く。そんな中、木尾先輩がアストリューに来た。


「なんだ。加島の奴、倒れたのか……ちょっと長くいすぎたんだな?」


 木尾先輩はそんな風に言った。


「張り切りすぎたって苦笑いしてたよ」


 成田さんも気分が悪くなった時にすぐに帰っているので、倒れるまでは至って無い。僕の忠告を素直に実行したおかげだ。


「意外と脱落者が多い。というか長期戦だって皆が言ってる。俺もそう思う。週末だけこっちに来るのが正解だ」


 木尾先輩が分析結果を上げた。


「千皓君は最初はどうしてたの?」


 沖野さんが聞いてきた。


「え、と、僕は霊気特化だから倒れるのは無かったよ」


「そうだったな。つまり、俺達に出来る瘴気を操るとかは出来ないだろ?」


 木尾先輩が沖野さんの、ずるいと言ってる顔を見て補足してくれた。


「そうだよ」


「そっか。そういうデメリットもあるんだ」


 沖野さんがハッとして答えに行き着いた。目でゴメンと謝ってきたので気にしてないと返した。


「それで木尾先輩は料理は覚えたんですか?」


「ふっ、俺に出来ない事など無い!」


「おおー。先輩! 頼もしいです!」


 成田さんが喜んだ。心の底からの嬉しそうな笑顔を見せている。が、その隣で妖気を漂わせている存在がいた。


「もうっ! わたしのサンドイッチもおいしいって言ったじゃない!!」


「買ってきた総菜を挟むだけだろ? いたっ!」


「優基のバカーっ!」


「うごっ、がぁぁ……」


 締め付けられているらしい成田さんの姿は、イケメンが台無しだ。


「最近、成田さんってマゾっ気があるんじゃないかと疑ってるんです。どう思います?」


 とばっちりが来ないように、少し離れるよう避難した僕と木尾先輩はこそっと話し合った。


「俺もそんな気がしてきた。いいか、その趣味はそっとしておいた方が良いと思うぞ」


「分かりました。突っ込みは止めときます」


 僕達は頷き合った。取り敢えず、木尾先輩にも大量のご飯をプレゼントしておいた。こっちの美味しいレシピも紹介したけど、作るかはまでは分からない。魔法が使えないと難しい物があるのだけど、木尾先輩は火の適性持ちだから頑張って欲しい。


「ねえ、千皓君! こないだすっごいイケメンと歩いてたでしょ〜? あの人、誰?」


「え?」


「キラキラオーラの甘そうなカラメル色? ほんのり赤みの入った金髪の人と歩いてたよね?」


「カラメル色……金色の目の人?」


「確かじゃないけど、すっごい王子様顔の甘ったるい視線の……」


「金の甘王子?」


「そんな感じ〜!」


 ぱあっと明るい笑顔には期待が籠っている。沖野さんのこの反応はどう見ても成田さんへの制裁な気がする。ま、まあ地雷の踏み過ぎは嫌われるからね。成田さん、睨んじゃダメだよ?


「そうだね、彼はとある世界にある、とある国の公爵様だよ。会っても粗相の無いようにしてね?」


「げっ、無理だ〜」


 頬を両手で覆って首を振った沖野さんは、本気で引いた。


「愛美には無理だなっ! 俺くらいで調度いいんだ」


 腕を組んで負け惜しみを言っている成田さんは、表面上は笑っている。


「むうっ。そんな事無いもん! 千皓君、他にはカッコいい人いる?」


「えーと」


 僕は期待の籠った沖野さんの目と、成田さんの嫉妬の詰まった睨みの目の間で悩んだ。


「何処かの世界の皇子とか?」


 しかし、あのレクタードさんの対抗馬というと、ヴァリーしか出てこなかった。


「もうっ、千皓君の意地悪!!」


 成田さんは良し、とガッツポーズした。沖野さんの不機嫌はしばらく続いたが、甘い物を奢ったら何とか不機嫌顔は引っ込んだ。温泉街の甘味どころで、しっかりと糖分を補給した僕達はまた会う約束をして別れた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ