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世界を繋ぐお仕事 〜縁切り結び編〜  作者: na-ho
さかぐらのぬし
134/203

124 神舞

今日は、三話投稿です。

 ◯ 124 神舞


 月の神殿の様子も見せたし、やる事は分かっている。後は実行だ!! という訳で、神官であるレクタードさんを自宅に連れてきて、紫月に面通しをし、妖精達を紹介しておく。言い忘れていた聖域の管理者である事も言っておく。勿論他言無用を言い渡した。そして、既に洞窟にて作業が始まっているのを聞いたので僕達も向かう。


「乗せてくれるの? ありがとう」


 今回は大きな鳥さんに乗って行く。僕の畑は空から向かうと比較的迷わない。自分の神域で迷子になるなんて僕くらいかもしれない。


「畑の材料は足りてるの?」


「うん。足りてるよ。魔結晶がまた減ったよ?」


「昨日作ったのが無くなったの?」


「うん。あれは綺麗に無くなったよ」


 それは不味い。作り直しだ。後ろを見ると、乗り馴れない大きな鳥に振り落とされそうなレクタードさんが視界に入ったが、悲鳴も聞こえないし大丈夫だと思う。

 今日は乱気流に乗って、空中サーカス的な状態を続けている。かなり楽しいので、紫月ともう一巡りしたいくらいだ。


「やっと来たか! 遅いぞ!!」


 地上に降りたら、マシュさんが声を張り上げている。早く仕事をしろとうるさい。


「状態はどう?」


 樽の前でマリーさんが真剣に確かめている。


「玄然の力は炎とか爆発的な感じよ〜。それを安定させるのは力を削ぐ事。でも、落とさずに持続させる力に出来るのはマシュね」


「三人の力を入れてるんだ」


「アキの力でもう少し整えれたら、使えるはずだ」


「仕上げをすれば良いんだ?」


「で、あそこで吐いてるのは〜?」


 マリーさんが眉間に皺をよせて見ている先には、やっと地上に降りたレクタードさんが地面に踞っていた。


「衛生上よくないからすぐに消せ!」


 マシュさんの顔が強張っている。


「レイの弟子だよ」


「人員の派遣は有り難い。こき使って良いな?」


 早速マシュさんはこき使う気満々だ。ポケットのチャーリーも人化して早速お手伝いに入った。


「レイは皆がお酒を待ってるって言ってたしね」


「良しっ!!」


 即座にマシュさんはレクタードさんに指示を飛ばしだし、マリーさんは吐瀉物を綺麗に消して、レクタードさんを消毒しまくっている。

 そこに玄然神が空を悠々と飛んで来て地上に降りると同時に人化した。レクタードさんは腰を抜かしている。おかしいな? ちゃんと龍神のお酒造りだって教えたのに。

 取り敢えず、三人の力を馴染ませる役を僕がする事になった。


 月の下で集中しながら力を注ぐと、反発し分解しそうだった三人の力がそれぞれ上手く収まる感じがした。

 レクタードさんは洞窟の壁にもたれたまま、気絶してそうなくらいに動かない。寝ている訳ではないみたいだ。瞑想でもしてるのかな。彼はお酒の種類ごとに、樽だの壷だの容器を仕分けして移動させ、温度調節等の細々した事をずっとマシュさんに怒られながらやっていた。


「どうかな?」


 玄然神に最後の樽を見せて、様子を見て貰う。


「うむ、これが一番良さげだ。後はこのままここの月に任せよう」


「はい」


 今晩はこのままここに泊まり込みだ。もう少し、神力が材料に染み込んだら、もう一度同じ行程を繰り返しつけ込む。時間を進めて良い感じに変化したら、後は味の確かめが待っている。試飲は大事だ。


 そんな感じで数日間の玄然神のお酒造りは進んで、後は手伝いも要らなくなったので、僕は自分の神力を乗せるお酒も造り始めた。

 妖精達と材料を採取して作り方をもう一度、考え直す。折角僕のオリジナルのお酒でもあるのだ。ここはあの最初のお酒以上の物も開発するべきだと思う。神殿に卸す分はちゃんと仕込みが終って出来上りを待つだけなので、早速作り始める。まあ神龍のお酒造りに感化されてるのは分かっている。


「後は……踊ってみようかな?」


 確かポースがそろそろ帰ってくる頃合いだ。紫月に頼んでポースが来たら来て貰えるようにする。扇子も用意して気分を上げる為に衣装も変えた。

 お酒の入れ物を円状に並べてみる。精霊に妖精達にも参加してもらっての『妙旋風』のステージだ。たまには自分の神域でのライブも良いと思う。一石二鳥だし、上手くいけばお酒にも力が入ると思う。


「お、アッキやる気じゃねぇか」


「へへ、楽しいのをお願いするよ?」


「おう、良いぜ? 観客も揃ってるし盛り上げてやろうぜ!」


「紫月、メロゥートの衣装が歪んでるから直してあげて?」


「良いよ。アキも髪飾りが落ちそうだよ?」


「本当? どうなってる?」


 そんな感じで準備が整って、ポースの歌が始まると皆で歌い踊った。神域全体が揺れて大地、大気から癒しの力が溢れて僕の思う通りに動いた。玄然神がそれに乗って、自身の神域を広げ始めたので少し手伝った。角は綺麗に治ったみたいだし、良い感じで出来てるみたいだ。

 癒しの力が高まり、神域の全ての生命力も徐々に高まりを見せてきた。光と闇の両方を感じながら神域を覆い、練り上げて行けば隅々まで力を送れた。ゆっくりと循環させて行く。

 キヒロ鳥が空を舞い、参加してくれている。殻を破って進化する力を貰った気がする。運気上昇を司り、喜運までに変える力にする。

 神力の籠った草が花を咲かせて七色の真珠の輝きを放つ。ふわふわと真珠の珠の力が周りに広がってゆっくりと皆の中に消えて行く。ああ、これって皆の力がちゃんと混ざったって事なんだ。まだちゃんと使える力に昇華出来てなかったんだと気が付いた。

 ポースもこの現象には興奮していて、声が最高に活き活きしている。紫月もカシガナの妖精達と手をつないで飛び回って歌っている。

 最後の仕上げに、ゆっくりと皆に力を還して静寂に包まれる夜の深い樹海へと戻した。夜が明け目覚めの時間まで皆と一緒に夢の中に潜る事にする。その間にきっと新しい力は馴染んでちゃんと僕達の物になる。


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