106 外交
◯ 106 外交
ガリェンツリー神界に戻って日本神界警察、冥界からの覚醒者の受け入れについて会議が始まった。
「共同の教育プログラムは組めないかな。アンデッドが多いからね、こっちは」
レイは直ぐに問題をあげた。
「確かに。だが、神界警察がダンジョン内で訓練しているし、そのサポートをすれば優遇は考えても良い」
マシュさんは多少の受け入れはありだと思っているみたいだ。
「調整は難しいですが、不可能ではないようですね」
浅井さんは難しげな顔で実現の方法を考えている。
「神樹の僕との差はどうする?」
マシュさんがレイに聞いた。
「その問題もあったね」
そのまま浅井さんに視線を移した。
「別ルートでの取引です。差があって当たり前かと。彼らには異界の文化の持ち込みは制限しているのですか?」
「彼らは若いので、それほどあちらの文化を持ち込むというのは無理です。ですから、制限は殆どしていません」
浅井さんからの質問にアイリージュデットさんが答えた。余り混乱が起きない様にお願いしたらしい。
「流行の洗脳の元凶を見たら、成り上がる為の色々な手口が書かれてて面白いわよ〜。ものすごっく偏ってるから〜」
マリーさんはネット小説を見て笑っていた。
「どんなのだ?」
マリーさんがあげたのは、ハーレム作りに商売でお金を稼いでの成り上がりや、内政チートとかいうものだった。
「後は魔物を使役するとか、宗教を興したり、奴隷商人になったりもあったかしら? 異世界の物を外の世界に売り出して儲けるとか言うのもあったかしらね……インターネットからの検索を持ち込んで物事の処理をやったりかしら?」
「随分都合が良いな……」
マシュさんが呆れている。
「その都合の良さが、外の世界への期待の大きさになっているってことかな?」
レイも苦笑いしている。
「面白いのはアンデッドや魔物になる人までいるの〜。貴族の令嬢に生まれ変わったり魔法少女になったりもあるかしら〜」
「へえ、魔物やアンデッドになりたがるなんて面白いね」
僕は首を傾げた。価値観は人それぞれか……。
「竜人やエルフ、獣人も人気ね〜」
「その問題もあったな。人族以外の調整か……」
「コウは『ステータス』が見えないんだ。生体端末が入ってないってことだよね?」
「それで竜人の縄張りから追い出されたのか?」
「そうみたい。奴隷を買って自分の弱点を補ってたみたいなんだ。守秘義務ってそれだと思う」
「こっちに馴染めなかった典型か。サポート無しの行く末が分かって良かったじゃないか」
マシュさんはおかしそうにくっくっと笑っている。
受け入れに関しての条件を決める事になった。浅井さんと僕が担当で、彼らの転生を管理する事になった。マリーさんの助言を元に、基本は記憶は曖昧にして、必要以上の知識が入り込むのを防ぐ事にした。転生前の名前やはっきりした名称が出ない感じだ。大事な出来事やその時の感情は受け継がれるので問題はない。
夢縁に縁がない人は、もう一度地球で生まれ変わって夢縁に入り、新しい人生をやり直してくれば、好きなスキルが一つ貰える権利が付き、既に夢縁での縁のある人には条件付きで記憶の処理は最低限にと暫定した。神界警察や、ガリェンツリー神界の手伝いなどをして、こちらでの条件である守秘義務と現地調査をやって貰えるなら、好きなスキルを二つ貰え、特典も付けるか? と、みんなで話し合いをした。
そして、条件によってはみかんの中間界でアルバイトが解禁される。そこには神界警察と日本冥界の出先がある。ガリェンツリー神界との間を取り持つ活動をやって貰わないとならない。みかんの中間界は色々と外の機関が入っていて面白いし、自分で繋をとってもいい。その際の契約は自分でやらないとダメだけど……。
覚醒者でも何の取り柄もないと引き取ってもらえない事は、自分の肌で感じれば良い。正直、董佳様の頼みだからガリェンツリーでも引き受けたと言ってもいい。




