第1話 「はじめまして」
主人公がいよいよ登場です。
「初めまして、双つ葉中学出身、~~~~です。1年間によろしくお願いします。」
ここは光羽高校。僕が3年間通うところだ。国内でトップクラスの進学校で
生徒のほとんどが超難関大学、四津場大学に進学するという実績を持っている。
そのため、受験戦争も激しく、ここに入学するために死ぬほど勉強した。
僕が光羽高校を志望したのは進学率ではない。
この高校には世界でも有数の
「脱出ゲーム部」
があるからだ。
僕は脱出ゲームが大好きだ。小さい時から、自分の部屋から脱出をするのが好きだった。
「脱出ゲーム部」では、鍵のかかった部屋からヒントを頼りに脱出する速さを競うゲームだ。
そして、光羽は毎年、国内で最もよい記録を出している。
そんな高校に入れてとてもうきうきしている。
早く部活に行きたい。
3年間の青春を全て脱出ゲームに捧げてやる。
キーンコーンカーンコーン
学校の終わりの鐘がなった。
よし、入部届けはもう出してある。
部室の場所も確認済みだ。
どんな先輩がいるんだろう。
部室に来たはいいが、日本一の実績を持つ部活とは思えないほどボロボロの部室だ。
と、とにかく、入ってみよう。内装はきれいかもしれない。
中にいたのは、顧問と思われる1人のみ。
「やあ、初めまして。えっと・・・~~~~君だったけ?」
名前の部分が聞き取れなかった。
「ありがとう!君のおかげでこの部活を守れたよ。」
どういう意味か分からなかった。
「おっと失礼。私は脱出ゲーム部顧問の~~~~だ。」
やはり名前は聞き取れない。
「ここの部員はみんな引退してしまってね。部員は君だけなんだ。」
え・・・うそ・・・だろ
「朝よ~。起きなさい。」
母さんの声だ。ショックで幻聴が聞こえているのだろうか。
すると、はっと目を覚ました。
なんだ夢か。よかった。
ため息をついた次の瞬間、ここが家でないことに気が付いた。
上を見上げれば、青色の空に赤い太陽が浮かんでいる。
周りは黄色っぽい砂に囲まれている。
ここは・・・砂漠か?
どうしてこんなところに?
まだ物語は始まったばかりです。