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王様の放浪日記

雨雲のある景色

作者: 東雲 一鞠

 暑苦しい雲が空に噛みつく。青い空はか弱い悲鳴をあげて、太陽と共に息絶えてしまった。

 地鳴りのような、地面を叩きつける激しい雨音が、左耳のほうから近付いてくる。街が、滝に飲み込まれていく。ごろごろと、黒い雲が唸った。

 区切られたスペースに閉じこもり、ぼうっと、薄暗い景色を眺める。少しだけ湿気た煙草に火をつける。吐き出した煙が、目の前をたゆたっては昇っていった。


 鞭を打ったような音が空気を割る。どうやら雷まで鳴り始めたようだ。街が暗闇に沈む。自分だけがこの狭い空間に取り残されたような、そんな錯覚に陥った。

 雨足がまた強まる。雑音がシャットダウンされる。しばらくここから動けそうにない。

 水浸しの、音のない世界に、ライターの音が寂しく響いた。

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