九条麗羅さんはイイ人でした。
「ごめんなさい」
いきなり謝る九条さんに私は飲んでいたお茶を吹き出しそうになりました。
「え、どうしてですか」
「教室で謙信様と許嫁のことを言ったことでなんだか一条さんに迷惑をかけたみたいで」
はい、迷惑でした。その言葉で私はほとんどの女子を敵にした気がします。
でも最初の段階で庶民だの言われていたな~
「謙信様と許嫁とわかったら庶民だの言われなくなると思ったのですが」
あれ、九条さんはもしかして私を助けるために言ってくれたのかな。
「私、謙信様とは幼馴染でいろいろお世話になったんです。先日謙信様より自分の許嫁が私と同じクラスになるので力になってあげて欲しいと言われまして」
私の許嫁(仮)イイ人なのかも。
そして九条さんもイイ人だ。
見た目は少女漫画に出てくるライバルキャラなんだけど、中身はぜんぜん違うみたい。
「だから本当にごめんなさい」
頭を下げる九条さん。
「そんな、こちらこそ気を使ってくださってありがとうございます」
私も頭を下げると
ゴン
私のオデコがテーブルに激突しました。
いい音がしましたが私は痛いです。
「まあ、大丈夫ですか一条さん」
私を心配してくれる九条さん。
「いたたた、大丈夫です」
私と九条さんは目が合い
「あはははは」
「ふふふ……」
お互い笑いました。
「九条さんよければお友達になってくれませんか」
「はい、私でよければ」
この学院で初めての友達ができました。