入学式はツライです。
保健室に逃げた私は胃が痛いと訴え早退しようと考えていたのですが、
入学式だけですぐ終わるので胃薬を飲んで教室に戻りなさいと保険医に言われました。
戻りたくないんです教室に、
確かに入学式だけだからすぐ終わるんと思うのですが、
あの空気の中に戻りたくないんです。
後生ですから保健医様、私を早退させてください。
私の願いは虚しくちり、教室に戻ることにしました。
教室に戻るとホームルームが始まっていました。
教室に入ると一斉に私を睨む無数の視線が……
うううう、胃薬を飲んだのにまだ胃が痛いです。
ふと、九条さんとも目があったのですが目線をそらされてしまいました。
なぜ?
担任の先生に、胃の調子が悪くなったので保健室に行っていたことを伝え
「そうか、出席順に席に座っているので、一条は右の一番前だ」
席に座ると、私が教室に入ってきたことで中断していた先生のお話が再開されました。
先生のお話は入学式の段取りでした。
一通り説明が終わり時間が来たので入学式がある講堂に移動しました。
入学式が始まり、色々な方の挨拶がありました。そして在校生代表で生徒会長様が答辞を述べるみたいですが、周りがざわざわしています。
「在校生代表、生徒会長、宝秀謙信君お願いします」
……『宝秀謙信』て
私の知らずにできた許嫁様(仮)じゃないですか。
「新入生諸君、入学おめでとう。君たちは晴れてこの学園の生徒になったことを誇りに思って欲しい…………」
私の許嫁様(仮)のお話が続いております。
私はまだ下を向いたままで、許嫁様(仮)の顔をみていません。
写真を用意してくださったみたいですがそれも見ていません。
なぜか見ると後悔しそうな気がして。
声は・・・・・低くていい声です。
私の好きなアニメの主人公の声に似ている気が……
顔見てみようかしら……
いやだめ、みちゃダメ。
「‥‥‥‥‥‥です。3年間後悔のない学院生活を送ってください」
パッチパチパチ
拍手がスゴイです。
何人かの女性がうっとりしてます。
答辞で数人の女性をうっとりさせるなんて、
宝秀謙信……恐ろしい人。
少し許嫁様(仮)がどれほどいい男なのか少し興味がわいてきましたので、
顔をあげて壇上を見ると、後ろ姿しか見れませんでした。
せっかく見ようと思ったのに残念です。
ぞくっ
急に寒気が……
周りを見ると私を見る女生徒がクラスだけでなく、他クラスの女生徒まで私を睨みつけている方がいらっしゃるんですが。
あああ、胃が痛いです。
早く終わってください。
入学式最後は学院長のあいさつです。
これが終わるとこの居心地の悪い空間から開放されるので早く終わってください!
しかし私の希望は虚しく30分もお話が続きました。
グスン。