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悲劇の姫
渋い声は続けた。
「王があなたを必要としている」
いきなり腕を捕まれた。
よく見ると二人いた。顔も匂いも背の高さも違うけれど、声だけは同じだった。
「ずいぶん若いな」渋い声が言う。
「15才位か?」渋い声が言う。
「もうちょっと若いのでは」渋い声が言う。
もはやどっちが喋っているのかわからない。
すこし歩かされてひときわ汚くて臭くてぼろぼろの部屋についた。
「ここが王室だ。」渋い声が言う。
中は使った形跡のあるトイレットペーパーだらけだ。
そこには王は居ず、美女がいた。
お尻が汚れたドレスを洗っている、美女が。