第6話 お誕生日パーティー
季節は巡って、今は秋。今日はアンゼリカ様のお誕生日パーティーの日だ。領地に色んな人を招待してパーティーを開催する。もちろんその中にはクリスティーン様もいる。
「シオン様♡、いかがですの?♡」
「美しいです。アンゼリカ様。もう少し独り占めしたいです」
アンゼリカ様が嬉しそうにドレスを着た姿を見せてくれる。紫の髪にあう薄紫の綺麗なドレスで真っ白で綺麗な肩も背中も出ている。
「も、もう♡、シオン様が仰るならいつでも着ますのに♡」
会場に入ったらお客さんが挨拶をしにアンゼリカ様の所に集まっていくから、僕は邪魔にならないように壁の方でひっそりしておく。
「シオン様♡、わたくしもドレスですわ♡」
「綺麗です、クリスティーン様」
壁の方で目立たないようにしているのにクリスティーン様に話しかけられてしまって、若干目立ってしまう。でもドレス姿を見れたのは素直に嬉しい。クリスティーンも綺麗なドレスだ。でもホストより目立たないような落ち着いた感じ。
パーティ―が始まって、みんなでお料理を食べる。今日は特別メニューでビーフシチューとかローストビーフとかが出ている。
ご飯を食べてダンスの時間になったら僕もアンゼリカ様やクリスティーン様、その他にも僕なんかを誘ってくれたお客さんと一緒に踊る。今日のパーティーのためにたくさん練習したからね。
誘ってくれた人は皆頬をぽってり染めて喜んでくれた。へたくそって思われてないようで何よりだ。
パーティーがつつがなく終わってお客さんが帰った後で、僕としては本番が始まる。
「シオン様♡、おめでとうございます!♡」
「「「「おめでとうございます!!」」」」
「ありがとうございます!」
実は記憶がないから誕生日っていう概念がなかったんだけど、アンゼリカ様が『同じ日にしましょう!』って言うからそうさせてもらったのだ。
「アンジーはズルいわ!、自分と同じ日にするなんて!」
クリスティーン様はぷりぷり怒ってるけどしっかり僕のことをお祝いしてくれて、プレゼントに魔法が使いやすくなる指輪をもらった。
魔法の杖の代わりになるアイテムで『魔力伝導』という魔力の伝わりやすさが高い素材で作られている。
「わたくしからはこちらですわ♡」
アンゼリカ様からは綺麗な宝石のネックレスを頂いた。しかもなんだか魔力を感じる。
「シオン様がお好きに付与魔法ができるように魔宝石をあしらったネックレスですの♡」
魔宝石っていうの魔力で変異した宝石のことで、魔物や魔獣から獲れる魔石のように魔力電池的な使い方ができる綺麗な宝石だ。同じようなものに魔金属というのもあってそれもかなり貴重だ。
「ありがとうございます、大切にしますね」
「はい♡」
「じゃあ、僕からもプレゼントです!」
僕からアンゼリカ様の誕生日プレゼントにはブレスレットだ。これには魔法が付与されていて、魔力を流せば魔法の障壁『マジックシールド』が発動する。それと暑くなったら涼しく、寒くなったら暖かくなるように体の周りの気温を調節する機能まで着いている。
「僕の代わりにはなりませんけど、アンゼリカ様をいつでも守れるようにと思って」
「まぁ♡、嬉しいですわ♡」
シンプルすぎて華やかなドレスにはさすがにあわないけれど、アンゼリカは気に入ってくれたみたい。
「シオン様♡、もう一度踊りましょう♡」
「わたくしともお願いしますわ♡」
アンゼリカ様とクリスティーン様ともう1度踊ってこの世界で初めての誕生日の思い出を彩っていく。
僕とアンゼリカ様のお誕生日パーティーが終ったら今日はクリスティーン様がまた公爵邸にお泊りしてくれる。時々来てはお泊りをしていく仲だ。
今晩も僕の部屋のソファに3人でくっついて腰かけながらおしゃべりをする。
「夏はシオン様と一緒に川に涼みに行きましたわね♡」
「ズルいわ!、アンジーばっかり!」
「でゅふふ♡、シオン様の濡れた御髪が......じゅるっ♡」
アンゼリカ様から聞こえちゃいけない音がした気がしたけど聞こえなかったことにしておく。
「わたくしもシオン様と一緒に......」
「クリスティーン様とももうじき一緒に過ごせるようになります」
「そ、そうですわね♡、王都の近くには美しい湖がありますから、そこに行きましょう♡」
もう秋も深まっている頃だからこの冬を越えたら試験を受けて、うまくいけば3人そろってSクラスに入学だ。
学校にはいろんな人が集まってくるんだろうな。その中には僕と同じエルフもいたりして。まぁ厳密に言うと僕はハイエルフだけどさ。
僕は魔法科っていう科に入る予定で、クリスティーン様とアンゼリカ様は政治科だ。科が違うから授業も違うんだけどホームルームは科がごちゃ混ぜの入試の成績順なのだ。イメージは大学と高校のミックスって感じかな。
「ふふ♡、このために来ていると言っても過言ではありませんわ♡、この時間がわたくしの癒しですの♡」
翌朝僕はクリスティーン様とアンゼリカ様の髪の毛を綺麗に梳いてあげる。これもお泊りの時には毎回してあげている。
「ではまた♡、ごきげんようシオン様♡」
王都に戻るクリスティーン様をお見送りしたらまたいつもの日常が帰って来る。勉強したり冒険者したり、お茶したりの毎日だ。
「シオン様のブレスレットがあればこの冬も乗り越えられますわ♡」
「気に入っていただけて良かったです」
ブレスレットの体温調節機能は少し肌寒いこの秋でも大活躍。僕も同じの持ってるから風邪をひいたことはない。
「シオン様にいつも守られていると感じれてわたくし心まで温まりますのよ?♡」
「僕もアンゼリカ様のネックレスをつけながらアンゼリカ様のことを考えますね」
「ふふ♡、2人で想いあうだなんて素敵ですわね♡、わたくし達♡」
僕らはお互いのアクセサリーを通じて繋がりあって、想いあっている。そんな関係がずっと続けばいいななんて願ってしまう。
「さて♡、今日は領内の視察に参りますの♡、シオン様も付いて来てくださいますね?♡」
「もちろんです。何があってもお守りします」
「もう♡、お守りするのは女の役目なのに♡、シオン様ってばすぐにそんなことを言ってしまうんですから♡」
まだまだ男女比が歪んだこの世界には慣れていないけれど、アンゼリカ様が喜んでくれてるならいいのかなって思ってしまう。
今日の視察は農園の様子を見に行く感じで、秋になって収穫量が決まったからそれをチェックするのだ。
「ではシオン様♡、参りましょうか♡」
「はい」
僕らは向かった先でまさかの出来事に遭遇するだなんて思いもせずに馬車に乗り込んで視察に向かった。
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