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悠久の盟約 ~地獄モードを生き抜いた最強ハイエルフは、魂の輝きで仲間を集め『みんなで帰る』クランを築く~  作者: いさな


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第33話 迷宮は、視ている②

真っ赤に燃える溶岩と岩肌が露出した大地。ここが現在のワータラの大迷宮の最深記録エリア『火山エリア』だ。


「素材は魅力的だけど、今回はスルーね~」


サラさんの先導で僕らはどんどん先に進む。僕らは皆僕お手製の体温調節魔道具をつけているから熱さは感じない。


「ギュルゥゥゥゥ!!」


そんな僕らの目の前に甲高い叫びと共に飛来してきたのはワイバーン。ドラゴンではなく翼が1対、足が2本の『ワイバーン』だ。


「よっ!」


リゼの正確無比な矢で翼膜に穴をあけられたワイバーンは地面に落ちる。地に落ちたワイバーンなんて浜に打ちあがった魚みたいなものだ。


「はぁっ!!」


イザベラさんの剣が一閃してワイバーンの首は胴と泣き別れになった。


「さすがにこの程度じゃ苦戦はしなくなってきたか~」


サラさんも満足気に2人のことを撫でてあげている。


「この先のボスがね、一応アタシたちの最深記録で、この迷宮の最深記録」


つまりはサラさんたち『大樹』がこのワータラの大迷宮の最前線ってことだ。


「こいつは強いよ~、アタシらが撤退するくらいだからね」


僕らの目の前にいるのは巨大な亀だ。甲羅はダイアモンドのようにキラキラした宝石でできていて光を眩く反射する。


「こいつ『クリスタルタートル』って言うんだけど、全然攻撃が通らなくってね......シオンならいける?」


「じゃあ、やってみますね。魔道具を作ります!」


「い、今から?!」


サラさんは僕が空間収納を漁り始めたのを見て驚いている。大丈夫だ。そんなに複雑なものじゃない。


魔石に最大級の爆炎の魔法を付与するだけ。これで魔導手榴弾の完成だ。中から攻撃すれば外側の硬さなんて関係ないはずだ。


「モナさん、これに魔力を通してからあいつの口に投げ込んで、起動したら離れてください」


「わかった」


モナさんに魔導手榴弾を手渡す。モナさんは道具の使い方が器用で釣りとかが上手なのだ。


「ほいっ」


クリスタルタートルの噛みつきを誘ってからモナさんは魔導手榴弾を起動して投げ込んだ。口が閉じたクリスタルタートルは確かに魔導手榴弾を飲み込んだはず。


どごぉぉぉぉぉぉぉん!


数秒後、お腹の中に響く地鳴りのような重苦しい音がクリスタルタートルの中から響いて、魔力の粒子になって消える。


「ほ、ホントに倒しちゃった!」


「シオンくんすごいです!、今の付与魔法は超高度な爆炎魔法!、並の付与魔導士なら再現できません!、しかも魔石そのものを使い捨てるという発想が柔軟で驚きました!、これは新たな魔道具発明の予感がします!」


フローラ様が大興奮で僕のことを褒めてくれる。すっごく早口で何言ってるか半分くらい聞こえなかったけどね。


「こ、この前のグランドドラゴン戦でリゼがドラゴンの口の中に矢を放ったのを思い出して......」


「あたしかぁ♡、よく見てるんだからもぅ♡」


リゼはそれだけでも照れてくねくねしてくれる。リゼもモナさんタイプで道具の使い方が上手いのだ。日頃から僕の魔道具慣れしているからね。


「かぁ~、体内からの攻撃か~、それは思いつかなんだわな~」


サラさんも僕のことをなでなでしていっぱい褒めてくれる。


ドロップ素材には魔宝石がゴロゴロたくさん落ちている。売ったらいくらなんだろうかと思いながら僕らは前人未踏のセーフエリアに入る。


「誰もいな~い!」


リゼは誰もいないからって『やっほ~!』とか叫んでいる。


「さて、これからは完全にアタシたちも初見だよ。やばかったら『みんなで帰る』。いい?」


皆でサラさんの言葉に頷いてテントで休憩する。明日からは未知のエリアだから長めに休憩をとってリセットだ。


今日は僕らのほかに誰もいないところだから普段見張りをしてくれるエルとニジハも中に入って一緒に眠る。


「ワフ!」「ピッ!」


「ふふ、くすぐったいよ」


2人してもふもふをくっつけてきて、こしょこしょくすぐったい。


大きなベッドだからエルも入れてあったかい。ニジハは寝返りしたときに潰しちゃいそうだからちゃんと可愛らしいミニチュアベッドを用意してある。1人で寂しそうだけどね。


しっかり休んだ僕らは下層に繋がる階段を下りていく。


「綺麗~♡」


リゼは幻想的な洞窟の景色に心を踊らせている。壁の中にも魔力反応があるってことは魔宝石や魔金属も期待できるね。


「クリスタさん、何書いてるんですか?」


「これは攻略ノートです。後でギルドに売りつけるとお金になりますし、自分の知識にもつながります」


「私もお手伝いします!」


「私も!」


フローラ様とユナちゃんはクリスタさんの攻略ノート作りを手伝い始めた。こうやって迷宮への感度を上げていくんだね。


ちょっとだけサンプルとして魔宝石や魔金属を採集して、僕らは深層に向けて進んでいく。


「止まってください」


僕の合図にみんな足を止めて警戒姿勢をとる。


「あの岩肌、怪しいわね」


「はい。あれ魔物です」


僕の魔力探知には魔物だって言う反応が引っかかる。岩に擬態するタイプの魔物だろう。


「グゴォォォォォ!!」


「またドラゴンか!」


僕らの前には宝石を身にまとったドラゴン、『クリスタルドラゴン』が姿を現した。


「このサイズなら氷漬けにしましょう!、魔法が使える人は僕に魔力を集めてください!」


前衛に引き付けるのを任せた僕は魔導士数人の魔力を自分に集めさせる。


クリスタルドラゴンはどうやらブレスとかの遠距離技を持たないみたい。あったとしても岩を飛ばす程度だ。


「退いてください!、魔導収斂・ブリザードコフィン!」


僕の限界を超えた出力の魔法で一気にクリスタルドラゴンを氷漬けにする。バキバキと乾いた音が鳴り響いて、大量の魔宝石と大きな魔石が中から出てきた。


「シオンちゃん、あんないっぱいの魔力の制御お疲れ様♡」


ヒルダさんに僕の魔法制御を褒めてもらえて嬉しい。ブリザードコフィンはスタンピードを止めた時みたいに広範囲も攻撃できる技。それを1点に集中したのだから結構神経を使う。


「全く、シオンがドラゴンほいほいだというギルドマスターの言葉は冗談では済まなそうだ」


エリス様も軽く冗談を言って僕を撫でてくれる。


でもなんだろう......この深層のドラゴンにしては弱い気がする。


洞窟エリアを下層に向かって進んでいくと、ボス部屋が現れた。一体どこまで続くのだろうか。


「ブモォォォォォォ!」


ボスはまたオークジェネラル......いや、『オークキング』というべきかな?、魔力も体格も大きい。


クリスタルドラゴンを倒した後に出てきたのは運が悪かったかもね。オークキングじゃあ僕たちを止めることはできない。


「リンダ!、奴の剣を弾き返せ!、リゼ!、武器を奪うんだ、攻撃を封じる!、ユナは全力の魔法だ!」


「「「はい!」」」


エリス様の指揮は綺麗だ。全員の出来ること、出来ないことを理解した上で戦術を組み立てる。


「はぁっ!」


リンダ様がオークキングの大剣をはじき返す。自分の身長以上の剣が向かってくるのに、あんなにおとなしい方なのに一切怖気づいてない。


「そこっ!」


リゼの矢が弾かれたオークキングの手を正確無比に射抜き、武器を奪う。


「たぁっ!!」


エリス様がリンダ様の後ろから出たと思ったら、もう片方の腕も切り裂く。


「行きます!、後退してください!、サンダーボルト!!」


地を穿つ雷撃がオークキングを貫き、魔力の粒子になって消えていく。


「なんて言うか......拍子抜け?」


サラさんの言いたいことはわかるかも。クリスタルタートルやクリスタルドラゴンを越えた先にいる『ボス』がオークキングなのは順番が逆じゃないかって思う。


素材を回収したら僕たちは次のセーフエリアに向かう扉を押す。


「開かないっ......!!」


イザベラさんとリンダさんが推しても扉はびくともしない。


「こんな話聞いたこともありません......」


クリスタさんの知識にもないみたいで困惑している。


「僕がやってみます」


僕が扉に近づくとなんの音もたてず、ゆっくりと扉は空いた。


「やっぱり......シオンを呼んでる......?」


僕の胸の奥と迷宮が繋がった......そんな気がしたのだった。

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