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悠久の盟約 ~地獄モードを生き抜いた最強ハイエルフは、魂の輝きで仲間を集め『みんなで帰る』クランを築く~  作者: いさな


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第22話 神気の夜会

冒険から帰ってきて数日。


アンゼリカ様とクリスティーン様が危惧していた通り......いや、もっと面倒なことが起きた。聖王国も来る夜会に招待されてしまったのだ。しかも僕だけじゃなく『翡翠の竜鱗』名義で。


まぁ、僕の身分は冒険者だから、パーティメンバーがいるなら一緒に呼ばないと体裁が悪いんだろう。要はけち臭くないアピールってことだ。


「さぁシオン様♡、どちらの布地にいたしますの?♡」


「う~ん......」


「どの布地も最高峰の魔力が籠った一級品にございます」


「う~ん?」


僕の前には王都最高峰の仕立て屋さんが来ている。わざわざ夜会に向けてドレス作るんだってさ。しかも僕の礼服も。


でも最高峰の魔力ねぇ......?


僕にはまだまだ進化の余地がありそうな感じがするけど。


「ちょっと触ってもいいですか?」


「もちろんでございます」


布の端切れを触ってみると、確かにつるつるすべすべで上質な感じがするけど......


試しに少しだけ魔力をこめて見たら眩く光を反射して、さらにさらすべな布地へと変身した。


「な、ななななな!、魔法省で見たサンプルよりも魔力濃度が濃いぃぃぃ!!」


仕立て屋さんは泡を吹きそうな勢いで驚いている。魔物の素材っていうのは同じ種族のものでも魔力の濃度で価値が変わる。


僕が強制的に魔力をこめたことでさらにいい素材になったってことだね。


「ご、後生です!、いくらでも払います!、今日持ってきたすべての布地に魔力を!」


仕立て屋さんが土下座までして僕に魔力の注入をお願いしてきた。


「じゃあ、今回の僕のお姫様たちのお洋服はタダでいいですか?」


「もちろんです!」


僕としては珍しく強気に交渉したけど、交渉成立してよかった。


「「「「『僕の』お姫様......♡」」」」


今日は採寸までした僕らは後日ドレスが仕上がるのを待つ。夜会まではそう時間はないから急ピッチで作業してもらう。


「みんな綺麗です」


「「「「えへへ......♡」」」」


ドレスや礼服を試着してみんなで見せ合う。みんなドレスを着ると大人っぽくなって綺麗で、ドキドキする。


イザベラさんだけは帯剣するからパンツスタイルだけどそれもまたいい。


「後はこれを」


僕のドラゴン退治のお金で買ったアクセサリーをみんなに着けてあげる。華やかなドレスに負けないくらいのやつを頑張って買った。


「これはいつものマジックシールドと体温調節と、あと空間収納が使えるようになる魔道具です」


アンゼリカ様、クリスティーン様、ユナちゃんは自分でできるけど、リゼとイザベラさんはできないからね。


「ねぇシオン♡、誰が一番似合ってる?♡、誰のが好き?♡」


「え、えぇっと......みんな似合ってますよ?」


弱ったな......こんな質問ドラゴンを倒す方が簡単だよ......


のらりくらりと追及を躱して、いよいよ夜会に出発する時間になった。


この世界だと馬車に乗るときにエスコートするのも女性の仕事だからかっこよく着飾ったイザベラさんに手を引いてもらう。


「かっこいいよ、イザベラさん」


「そ、そうであろうか......貴殿を守る騎士になれているか?」


タキシード風の礼服に身を包んだイザベラさんに手を引かれて、馬車に入ると中は花園のように綺麗なドレスで満ちている。


「シオン様、今晩は聖王国の枢機卿がいらっしゃるのです、絶対に靡いてはいけませんよ?」


アンゼリカ様は僕の腕にお胸を絡みつけて独占欲を見せつけて来る。


「枢機卿だけではありませんわ。シオン様を狙う悪い虫もたくさんいますの!」


クリスティーン様も負けじと僕の腕を絡み取って僕のお耳に囁いてくれる。


夜会の会場に着いたら、貴族たちがザワザワしていたのが急に静まり返った。え?、な、何か問題でも?


「あれが『翡翠の竜鱗』......」


「なんとい美しいドレスだ......」


「この魔力濃度......なんという生地だ......?」


「あの少年がドラゴンを倒したというのか......」


僕が魔力をこめた布地で作ったドレスだからね。美しいでしょう!


ちなみに陛下にも最高級ドレスを献上させてもらったから、陛下もとてもお美しい。


「シオン様......」


僕の名前を呼ぶのはクリスティーン様でもアンゼリカ様でもない知らない女の人だ。


「わたくしは懺悔しなくてはなりません......あなた様を......あなた様を祭り上げるためのモノのように扱おうと......」


「え、えぇ?」


急に涙を流しながら膝をついて、長年の毒素を吐き出すように僕に向かって懺悔し始めた。しかも後ろにいる他の使節団の人もだ。


「私は教会の資金を着服して......」


「私は聖女様が羨ましくて悪口を......」


急に聖王国の使節団による懺悔大会が始まって、一時夜会の会場は騒然となった。


「わたくし達は本国に戻り、私欲を捨て、もう1度1からやり直して参ります!、いつか......いつかあなたに会うにふさわしい人間になるまで己を磨き続けます!」


「えっと、が、頑張ってください......」


「「「「失礼いたします!!」」」」


聖王国の使節団の皆さんは涙を拭って大扉から出ていってしまった。ほ、ホントに帰っちゃうの?


夜会の主賓の使節団さんたちがいなくなってしまったけど、今更中止にするわけも行かずにパーティは開催されることになった。


「ふふ♡、シオン様の溢れる神気が聖王国の皆様を浄化してしまいましたわね♡」


「し、神気だなんて......」


クリスティーン様はからかう様に僕に耳打ちして来る。そんなつもりなかったんだけどな......


「ですがこれで邪魔者は居なくなりましたわ♡、わたくしと踊ってくださいまし♡」


「アンジーズルいわ!、わたくしも踊りたいですわシオン様!」


「あたしたちも!」


僕は音楽に合わせて、煌びやかなドレスに身を包んだみんなとたくさん踊った。ドレスがシャンデリアの光を反射するたびに見ている貴族たちから声が漏れる。


「そなたが我が国いてくれることを余は誇りに思うぞ、シオン殿。まさかシャラン聖王国の使節団に懺悔させるとはな。かの国の重鎮は神聖な魔力を視ることができる故に貴殿の神気に浄化されたんだろう」


それで急に僕のこと見て懺悔し始めたんだね。


「そしてそれだけの力を持ちながらも清い心を失わないそなたが何よりも尊いと、余は思う」


陛下からお褒めの言葉を賜った後は、クリスティーン様とリゼたちと一緒に公爵邸に戻った。


ここが僕の居場所だからね。

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