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悠久の盟約 ~地獄モードを生き抜いた最強ハイエルフは、魂の輝きで仲間を集め『みんなで帰る』クランを築く~  作者: いさな


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第19話 絶対に帰ると決めたから

「す、すまない!、急に抱き着いて!」


倒れてたラベンダー色の髪の毛のお姉さんをニジハと治療した後、青髪のお姉さんにしばらく抱き着かれていた。


「いえ、治ってよかったです」


「ピッ!」


「君は聖男せいなん様か何かなのか......?」


「僕はただの冒険者ですよ」


僕がそう答えた瞬間、辺りの空気がシンとした。冗談じゃないって、わかってくれたみたい。


「僕らのテントがあるのでけが人を運びましょう」


「そ、そうだな!、ありがとう」


けが人を運んだら予備のベッドを出して寝かせてあげる。


「な、なんでベッドなんて持ち歩いてるんだ......?」


「う~ん、予備です」


「よ......び?」


「よかったら夜ご飯一緒にどうですか?」


ぐぎゅるるるるるる......


豪快なお腹の音をイエスと受け取って僕は野菜スープを作ってあげる。


「私はアネットだ。寝ているのがカミラ」


「わたくしはテレシアですわ」


「ボクはリーディア」


「私たちは『箱舟』というパーティだ」


僕ら3人も自己紹介をして、夜ご飯を一緒に食べる。


「う、うぅ......」


「「「カミラ!!」」」


寝ていたカミラさんがうめき声をあげて、『箱舟』のメンバーが急いで近寄っていく。


「ど、ドラゴンは......?」


「大丈夫だ!、ここにはもうあいつは居ない!、私たちは逃げられたんだ!」


「そっか......私あいつにやられて......痛くない......?」


「彼が治してくれたんだ」


「ピッ!」


「ふふ、そうだな。君もだ」


ニジハが『自分も仕事した!』って感じで鳴いてアネットさんに訂正させている。


「アネットさん......ドラゴンって......」


「あぁ、第3エリアで『はぐれ』に遭遇した......」


アネットさんの言葉が重く響く。聞き耳を立てていた他の冒険者も静まり返る。


カミラさんには一応流動食ぐらいまでとっろとろに煮込んだ野菜スープを食べさせてあげる。回復はしたけど体力までは回復しきらないからね。


ニジハの『傷を癒す力』、僕の前世の知識からくる『命を繋ぐ力』。どちらかでも欠けていたらカミラさんは助からなかった。


「じゃあ、僕らは中で休むので何かあったら呼んでください」


「あぁ、ありがとう。おやすみ」


僕らはテントの中。アネットさんたちは外でそれぞれ休む。


「シオンくんとニジハちゃんの回復魔法すごかった!、私も勉強しなきゃ!」


ユナちゃんはさっきの治療を見て感化されたらしく、やる気をみなぎらせている。ユナちゃんの回復魔法が協力になったらもっとパーティが安定するかも。


翌朝になったらまた優しめのご飯を作ってあげて、僕らは『箱舟』と共に地上を目指す。


「いいのかい?、わざわざついて来てもらって......?」


「患者をほったらかしにはできません!」


治して『はい、終わり』はさすがにひどいと思うから僕らも付いて行く。それにカミラさんほどではないにしろ、他の皆さんも結構消耗しているはずだ。


「ありがとう......ケホッ......」


「ワフ!」


「さ、エルに乗ってください」


「う、うん......わわっ!」


カミラさんを乗せたエルはゆっくり歩いて揺らさないように慎重に足音を殺して運んでくれているのがわかる。後でいっぱい褒めてあげなきゃね。


ボス部屋は帰りの時だけスキップできる不思議な構造になってるから無駄な戦闘は避けられる。まぁ戦闘になっても僕が一瞬でやっつけるけど。


地上に戻った僕たちは『箱舟』が取っている宿屋にカミラさんを送り届けて、自分たちも宿屋に戻った。


「それにしても3エリア目でドラゴンってめっちゃ運悪いよね......」


リゼの言う通り、ドラゴンなどの強大な魔物は魔力の濃い場所、迷宮では深層かボスエリアにしか現れない。そこから外れて出る魔物は『はぐれ』と呼ばれて冒険者から恐れられている。


「ドラゴンか......我らは勝てるだろうか......?」


「遭遇しないことを祈るしかないよね......」


カミラさんたちの護衛が終った後のみんなはちょっとしんみりした雰囲気。あんなに強そうで優しい人たちが傷だらけだったんだから。


「大丈夫、僕がみんなのこと守るから」


「「「......!♡」」」


「ち、違うもん♡、あたしがシオンのこと守るもん♡」


「わ、私だって魔法を極めてドラゴンなんて1撃だもん!♡」


「我もドラゴンなぞ叩き切ってみせる!♡」


みんな元気を取り戻してくれたみたいでよかった。


「ワフ!」 「ピッ!」


「2人も頑張ってくれるんだね?」


「ワフ!」 「ピッ!」


エルとニジハは神獣だからその辺のドラゴンより断然強いけどね。


宿でゆっくり休んだら翌日はギルドに顔を出してみる。アネットさんたちのドラゴンの報告がどうなったか聞きたいしね。


「おい......あれが『翡翠の竜鱗』じゃねぇか?」


「マジだ!、レインボーフェニックスとフェンリルだ!」


なんかこそこそ話されているけど、悪口では......ないんだよね?


「シオンさん!、こちらに来てください!」


僕が呼ばれたのはカウンターではなく奥のお部屋だった。


「シオンだけにはできないでしょ!」


「私も!」


「我も行こう」


「クゥン......」


部屋の大きさ的にエルは入れないかな......扉壊れちゃうかも。


「ピッ!」


ニジハがエルの頭の上で『自分が付いてるから大丈夫!』って言ってるみたいに見える。


僕らは冒険者ギルドのギルドマスターの部屋に通された。中には書類が山積みになった机に向かうきりっとした女の人がいる。


「来たかシオン。『箱舟』を救った聖男よ」


「せ、聖男じゃないです......」


「なら賢者かな?、まぁいい......シオン。お前に折り入って頼みがある」


「僕にですか?」


「あぁ。冒険者でありながら神獣を従えるお前にドラゴンの討伐を任せたい」


「ドラゴン......『箱舟』が出会ったっていうやつですか?」


「そうだ。通常よりも強大なドラゴンだ。今すぐ連絡の付く冒険者で頼めるのはお前しかいないんだ」


部屋には重い空気が流れた。相手はドラゴン。普通Cランクの冒険者が相手をする魔物じゃない。


でも......


「......放っておけません」


「......礼と言っては何だがこの任務が終ったらお前はBランクに昇格を約束する」


CランクからBランクっていうのはかなり大きな壁だ。それこそ数日前に僕らに絡んできた冒険者とかがそこで止まってるんだと思う。


「あたしらは着いてってもいいの?」


「それはお前らが決めるんだな。だが言っておくが『箱舟』はAランクのパーティだ。そのパーティが負けて帰って来たってことを忘れるな」


「「「......」」」


ギルドマスターの言葉に3人は悔しそうに拳を握り締める。遠回しに『危ないからやめておけ』って言われてるんだもんね。


宿屋に戻った僕たちは迷宮に一緒に行くか話し合うことにした。


「悔しいけど、今の私たちじゃ足手纏いだよ......」


「そうだね......」


「あぁ......」


ユナちゃん潤んだ言葉に2人とも頷くことしかできない。


「いつか一緒にドラゴン退治に行こう?、今回は急だっただけで......その......」


前世ではあんまり人と関われなかったから、うまく励ましの言葉が出てこない。


「こんなんでしょげてちゃダメだね!♡、シオンのこと信じて送り出さなくちゃ!♡」


「そうだね♡、シオンくんなら絶対無傷で帰って来るもん♡」


「シオン殿のために今は少しでも強くならなければ!♡」


3人とも涙でウルウルの目で僕を抱きしめてくれる。


「絶対帰って来る。みんなとの日常が大切だから......絶対、絶対生きて帰ってくるから」


皆に宣言してから抱きしめ合った後、僕らはカミラさんのお見舞いをしに『箱舟』が泊まる宿屋に向かった。

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