第11話 男子一人の入学式
今日はトチーヌ王国王都高等学院の入学試験の日。学校に受験生が大量に集まって一斉に試験を受ける。
筆記は算術と文章読解だけど、前世で大学まで進学した僕からすれば簡単だ。5回くらい見直す時間があった。
筆記試験を受けた後は、学校の演習場で実技試験。僕もアンゼリカ様も魔法で実技を受けるから同じ会場だ。従魔術も実技の対象だからエルやニジハを連れて来てもよかったけど、威力が調整できなそうで怖かったから自分で頑張る。
「402番前へ」
的に向かって魔法を放つっていうのが試験。冒険者ギルドでもやったね。
「ファイアス」
「ストーップ!!、君、今なんの魔法を放とうとしたかね?」
「え?」
「1番『火力』が見てわかりやすい火魔法にしようと思って......あとちょっとだけ風魔法を混ぜることで威力がアップさせようかなと......」
「コホン!、申し訳ないが君の魔法では学校が持たない可能性もある。もし的以外に被害が出れば、それは『魔力制御』の観点から減点とさせていただく」
「そ、そんなぁ!」
全力で魔法を撃つことしか能がないから難しいな......的だけ......的だけ......
「ファイアストーム!!」
僕は真っ赤な炎の勢いを上へ上へと伸ばして、熱気を観客の前で霧散させる。結果、的がまた粉々になってしまったけど、的以外は無傷だもん。雲が割れたくらいで減点されないよね?
僕の魔法で街が大騒ぎになって騎士団まで出張ることになったらしいけど、僕悪くないもん。
ただ『魔法を使っただけ』と言うだけの聴取が終わったらようやく公爵邸に帰れて、僕はアンゼリカ様とゆっくりお茶をする。
「わたくし達はきっとSクラスで間違いないですわ♡」
「僕も自信あります」
「ふふ♡、むふふ♡、シオン様の制服姿♡」
「アンゼリカ様の制服姿も楽しみですよ」
「やぁん♡、シオン様ったら♡」
学校にはかっこいい・可愛いブレザー制服があるから、それもトチーヌ王国王都高等学院が人気の理由の1つになっている。
後日僕らの元には学校から特待生・Sクラスでの入学を許可する報せが届いた。しかも僕は主席だってさ。入学式でみんなの前で挨拶しなきゃいけないみたい。
他の新入生よりも一足早く学校に入った僕は先生と一緒に入学式の挨拶のスピーチを考える。学校は春休みだから全然生徒がいなくて寂しい感じだった。
「新入生代表、シオン」
「はい!」
遂に入学式の日になって僕は壇上に立つ。回復魔法の応用で体をリラックスさせながらスピーチを読み上げる。
「......素敵♡」
「かっこいい......♡」
「結婚したい......♡」
なんだか席がザワザワしているけど、気にせずにスピーチを読み上げよう。
「今日歴史あるトチーヌ王国王都高等学院に入学できたことを新入生を代表して深く感謝申しあげます。僕はこの学園でたくさんの学びたいことがあります。魔導の深淵。魔道具による豊かな生活の作り方。従魔との付き合い方......」
みんなかぼちゃ、じゃがいもだ。落ち着け僕......
「ここに来るまでの多くの助けや期待に応えるべく、僕はすべての力を捧げるとここに誓います。新入生代表シオン」
よし......よし!、これで大丈夫!、うまくいったはずだよね!
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side一般生徒&教師陣
(なんて......なんて尊いお方なの......♡)
(無理♡、こんな生徒導くなんて無理ィ♡、私が教え子になりたいくらい♡)
(守る♡、私が守ってみせる♡)
(これはすさまじい生徒が現れたな......何か波乱の予感がする......)
シオンの眩い魂の輝きにあてられた一般生徒と教師陣は頬を紅潮させ、足をガクガクと震わせながら必死に心の声を抑えて、割れんばかりの拍手をシオンに送っていた。ただその中でも数人、シオンの神気を食らってむしろ警戒を強めるまた強い魂の持ち主がいた。
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入学式が終ったら教室に移動する。男女比1:5だけど、男性って基本囲われて大事に大事にされるものだからわざわざ勉強して学校に来る男の人なんていないから僕しか男は居ない。教室がいい匂いする......
「シオン様♡、とっても素晴らしい演説でしたわ♡、わたくし感動いたしました♡」
「あ、ありがとうございます」
「ワフ!」
「ピッ!」
クリスティーン様もいっぱい褒めてくれる。エルとニジハもね。
「皆さん席について」
先生が教室に入ってきて一気にみんな静かになる。先生は綺麗な女の人で眼鏡を掛けている。頭がよさそう。
「私は今年皆さんのクラスを担当するカティ・フォン・ワテンです。よろしくお願いしますね。早速自己紹介としましょう。シオンくんからお願いします」
「はい!、魔法科のシオンです!、男なので色々ご迷惑をかけるかもしれませんが、よろしくお願いします!、この子たちはエルシアとニジハです!、いい子なので撫でても大丈夫ですよ!」
「ワフ!」
「ピッ!」
僕の自己紹介が終ったら次はアンゼリカ様とクリスティーン様の番だ。
「わたくしは政治科のアンゼリカ・フォン・キバラですの。皆様と共に過ごす日々を『シオン様と』心待ちにしていましたわ♡、よろしくお願いしますわね♡」
「わたくしは同じく政治科のクリスティーン・フォン・トチーヌですわ♡、この子は私の従魔のライですの♡」
「ミーッ!」
ライも元気に自己紹介をしてみんなほっこりしている。可愛いよね。
「私はヨハンナ・フォン・ヤガタ。殿下の護衛だ。よろしく頼む」
ヨハンナ様はいつもの通りちょっと不愛想。でも優しい人ではあるからね。
「あたしはソメリ村っていうエルフの村から来た冒険者科のリゼ・カルディダです!、得意は弓と短剣!、よろしく!♡」
リゼさんはエルフの美少女。ショートボブで元気な感じ。というか初めて同じエルフ見たかも。まぁ僕はハイエルフだけどさ。あとなぜか僕に向かってぱっちりウインクして来るけどやめて欲しい。ドキッとするから。
「私はリゼちゃんと同じソメリ村から来た魔法科のユナ・ハイトワレです!」
ユナさんも同じくエルフ。三つ編みにした髪の毛を前に垂らしている。あと......その......比べるようで悪いけどリゼさんよりおっきい。たゆんたゆんだ。何がとはあえて言わないけどさ。
「私は魔道具科のソニア・ペッシーナです。コラート工房というところでお世話になってます。あ、ドワーフです!」
今度はオレンジの髪を1つに結んだドワーフの女の子だ。確かにちょっとがっちりしてるかも?、あと魔道具科ってことは付与魔法が使えるのかな?
「我は騎士科のイザベラ・ワーグナー。ドラゴニュートだ。騎士を目指している。剣を使う者は是非手合わせを頼みたい」
イザベラさんは銀髪のすらっと背の高い女の子。あと尻尾と角も生えている。僕も刀使うし、手合わせお願いしようかな?
十数人の自己紹介が終ったら学校内の施設を見て回る。学食とか演習場とか実験室とかね。あとは先生の研究室とかもある。ここは研究機関でもあるからね。
転生してから、アンゼリカと出会ってから1年経って僕の学園生活がこのトチーヌ王国王都高等学院でスタートした。男子一人だけどこれからうまくやっていけるのかな?
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