プロローグ
「やっと終わる......」
口をついて出たのは安堵の言葉。約80年。ようやく地獄のような日々を、最後は何かを成し遂げて終えられた気がするのだ。
「誠にすみませんでしたぁぁぁぁぁぁ!!」
徐々に沈んでいく意識の中から声が聞こえたと思った瞬間。私は光り輝く空間にいた。
そして目の前には顔をしわくちゃにしながら泣きじゃくる美しい......はずであろう女の子。
「ど、どうしたんだい?」
「うぅっ......ズビッ......すびばじぇん......」
とりあえず泣きやむのを待ってから、話を聞いてみることにしよう。
「あなたの人生が『地獄モード』だったのは全部私のせいなんです!」
「『地獄モード』?」
「本当は大罪人に課すはずだった罰を間違えてあなたにかけてしまったのです......それであなたの人生が不幸だらけのものになってしまって......申し訳ありません!」
女の子は地面に頭を擦りつけながら謝っている。
あの地獄のような日々はただの間違い、人違いだったのか......なら......
「よかった......」
「うぇ?、怒らないんですか?」
女の子は顔を上げてようやく私の方を真っすぐ見てくれる。
「最後にあの子を救えたんだろう?、ならば報われているさ」
「報われたどころではありません!、あなたは運命を捻じ曲げたんです!」
「捻じ曲げた?」
「あの女の子は本来あそこで死ぬはずの運命!、それをあなたが変えたんです!、あの子はその後稀代の女社長になって世界中の難民を救ったんですよ!?」
「そ、そうですか......」
「こ、コホン!、そんなあなたにお詫びとご褒美を上げなくてはいけません!、あなたには記憶を持ったまま異世界に転生してもらいます!」
異世界に転生......友人の孫がそんなアニメや漫画が好きだと言っていたかな......
「また人生を......」
もう1度、やり直す......いいイメージは湧いてこない。私の人生は苦しみばかりだったからな......
「記憶も引き継いで、いろいろ加護も付けますから。ね?、今度は私が『幸せ』にしてみせます!」
「幸せ......」
「そうです!、あなたの魂なら幸せ確定です!、こんなにきれいでピッカピカなんですから!、眩しいですもん!」
女の子が見せてくれた鏡には私の体が半透明に透けて、魂が眩く輝いているのが見える。
「あっ、申し遅れました!、私は女神トゥルリナ。シオンさん、幸せな来世に一緒に行きませんか?」
「来世......」
「まだ私のことを信じられないかもしれませんが......」
「わかりました。転生します」
「はい!、では準備をしますね!」
トゥルリナ様が何やら呪文を唱えると、自分の体が光り輝いて目線が低くなり、手がつるつるモチモチになった。
「これで完成です!」
「耳が長い......」
私が......いやこの見た目なら『僕』かな。鏡に映る僕は金髪で耳が長い美少年になっていた。
「あぁ♡、何て愛らしい♡......じゃなくて!、とっても可愛くなれましたね!、これで転生の準備はOKです!」
「また女神様には会えますか?」
「はい♡、教会とかでお祈りしてくれたら会えますよ♡、それにその魂の美しさなら......確実に来来世は神様か最低でも天使ですね!♡、一緒に働きましょう♡」
「じゃあ、行ってきますトゥルリナ様」
「はい!♡、いってらっしゃいシオンさん♡」
トゥルリナ様に見送ってもらった僕は一瞬意識が途切れて、気が付いたら森の中に立っていた。どこも痛くないし、空気もおいしい。
ここから僕は『幸せ』になるんだ......
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