第98話 海賊の巣の顛末
モニターがチカチカと点滅する機械室で。
レイラはギルバンを放し、立ち上がる。隠れていたネクリも来た。
自分を取り囲む人たち。とりあえず危険な状況ではない。みんな妙な顔している。
ギルバンもやっと立ち上がり、ぜいぜいと息をする。
「まったく。あとちょっとで、本当に俺の首へし折るところだったぞ」
◇
スーツの男は身分証を出した。レイラは見る。超一流大手テーマパーク、運営会社の人間だ。間違いない。名をイワキ。肩書は、新規テーマパーク開発部長。
「どうやら、いろいろ行き違い、誤認があった模様です」
イワキが言った。事情を説明する。
それによると。
この地下施設は、開発中の、超大型海洋テーマパークだという。このシン・トーキョー星1番のリゾートにふさわしい、新たな観光の目玉になる予定だという。
開発は、サプライズのため秘密裏に行われていた。そろそろ完成に近づき、オープンも控え、正式な発表の時期も近づいていると言う。
今日は。
テーマパーク、完成を控え、最終段階の体験報告者が利用する試験開業の日であった。一般から公募した体験報告者が、実際にテーマパークを利用し、感想を上げるのである。
大型テーマパークオープンの前に、絶対に欠かせない課程であった。
ここの責任者である、開発部長のイワキは言った。
「お二人は、リゾートに遊びに来てたまたま施設の内部に入ってしまった、そういうことなんですね? 我々のほうは、お二人を正規の体験報告者だと、すっかり勘違いしてしまいました。もっと早く気づけばよかったのですが」
レイラとネクリ、目をぱちくりする。
体験報告者?
2人で体験した、あれこれ。
全部、これからオープンするテーマパークの遊戯装置だったっていうの?
それにしちゃ、危険過ぎたような気がしたけど。
まだ、全然頭がついていけてない。
どう受け止めればいいんだろう?
レイラは、ギルバンを見る。私立探偵の男は、やっとまともな呼吸をして、ぶすっとして立っている。
「で、あんたは、ここで何を? 私立探偵と、オープン間近のテーマパークに、何の関係があるの?」
「言っただろ。警備だって。こういうところは、警備も大事なんだよ。そのチェックとか。いろいろ仕事はある。オープン前だから、とにかく人手がいっぱいいるんだ。俺もちょこっと雇われた、ただそれだけだよ。施設内の監視してたら、機械室に勝手に入り込んだ体験報告者がいた。それで、様子を見に来たんだ。それが警備の仕事ってこと」
「なんだ、そうだったんだ」
と、レイラ。
「締め上げてごめんね。私、てっきり宇宙海賊の巣だと思っちゃったから」
「お前以外、そんなこと思う奴いないぜ」
ギルバンは、眉を寄せる。
「それに、締めるんじゃなくて、首をへし折ろうとしてたぞ、お前。ほんとに気を付けろよ。でも」
ギルバン、じっと、レイラのメロン級の胸を注視。
「お前、すごい胸してるんだな。なんだか……ボリューム感が、強烈だったぞ」
「あ」
レイラは、気づいた。
そうだ。大胆露出のビキニ姿だったんだ。それで、ギルバンを組み伏せ、ガッチリとロックして締め上げてーー
レイラの胸は、当然、ギルバンの背中に、ぎゅうぎゅうと押し付けることになっていた。
みるみる赤くなるレイラ。
もう何が何だか。どうしていいかわからなくて。
「てめえ、人の胸、ジロジロ見てるんじゃねえっ!」
ギルバンに、拳をぶちこむ。
「おっと」
ギルバンは、紙一重でかわした。
さすがに、レイラの本気の鉄拳を、まともに受けるわけにはいかなかったのだ。
レイラの胸に目を奪われながらも、パンチをかわす。ギルバンもまた、ただ者ではなかったのである。




