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下着モデル潜入捜査官レイラの事件簿  作者: 茜見零
事件簿No.8 ネクリの休日
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第96話 機械室の戦い



 人だ。


 人の気配。レイラは見逃さない。人影が見えたのだ。並んでいる機械(メカ)の向こうに


 この機械(マシン)(ルーム)に、人がいる。


 「ネクリ、隠れてて。動かないでね」


 小声で、言う。


 背の高い機械(メカ)がたくさん並んでいる。隠れるのは、わけなかった。


 ネクリの安全を確認したレイラ、そろそろと動き出す。


 立ち並ぶ機械(メカ)の間を縫うように、身を隠しながら進む。エリート刑事の本領発揮である。


 見つけた。


 機械(メカ)の影から、相手の姿を捉えた。


 こっちに背中を向けている。男だ。全くこっちに気づいていない。


 レイラは、目を凝らす。


 男の姿。赤のTシャツ。背中に大きな黒い髑髏のプリント。ぴっちりとしたデニムのスラックス。尻のポケットから、平たい小さなウイスキーの瓶が、飛び出している。そして腰からは、だらしなく光線銃(ブラスター)を下げていた。


 やっぱり宇宙海賊か?


 髑髏、ウイスキーの小瓶、光線銃(ブラスター)、まさに、海賊の基本そのまんまだ。


 ここは、どういう事情かわからないけど、宇宙海賊が(アジト)にしているの? そして、この油断しすぎの男は、その下っ端ってことか。


 レイラは、辺りの気配を伺う。大丈夫。機械(マシン)(ルーム)にいるのは、この男だけだ。


 よし。こいつをとっつかまえて、締め上げてやろう。ここがいったい何なのか、何が行われているのか、全部喋らせてやろう。もうわけのわからんものに襲われるのはうんざりだ。全てをはっきりさせるんだ。


 俄然、身体に力が漲ってくる。得体の知れない巨大軟体生物や、ゾンビが相手ではない。普通の人間が相手なのだ。しかも、相手は気づいていない。こっちが先手をとって襲うなのだ。


 「やってやるぞ」


 レイラの中でメラメラと炎が立ち上る。


 これまで散々な目にあった。理不尽な仕打ちの分を、今、全部返してやろうじゃないか。この、目の前にいる海賊の下っ端に。


 疲労も何も、全て吹っ飛んだ。決断するや、レイラは素早かった。


 豹のようにしなやかに、そして物音1つ立てずに、男の背後に迫る。あっという間に距離を詰める。レイラが、男に飛び掛ろうとした瞬間、男は振り向こうとした。

 

 「やるな」


 レイラは、内心ニヤリとする。レイラの背後からの襲撃に気づくとは。いい反応速度。なかなかの相手だ。でも、遅い。


 男が振り向くよりも早く、レイラは飛びかかり、両腕を男の首に回しクロスさせ締め、足をかけて、男を押し倒した。


 

 どう、



 と、男は、前へ倒れる


 「よし、確保」


 倒れた男の上になったレイラ。


 両腕はしっかりと、男の首に食い込んでいる。相手は声も出せない。


 両足で、ガッチリと男の下半身をロック。


 上から男の背後に張り付いたレイラ。


 これで相手は脱出不可能。そして、声を出すこともできない。警察学校で習った格闘術の勝利である。


 男の腰の光線銃(ブラスター)を奪いたかったが、相手の首に巻きつけた腕を解くのは、危険だ。このまま、すべき事はしよう。


 「おい、動くな。そして、こちらの指示したことだけを喋れ。いいか、勝手な真似をしたら、首をへし折るぞ。締めるんじゃなくて、へし折るからな。一息で、お前はお陀仏だ。そうなりたくなかったら、言うことを聞け」


 レイラは、低く、静かな声で言った。レイラを振り解こうと体を動かしてしていた男は、おとなしくなる。


 「よし、いい子だ。さあ、海賊君、貴様たちが、ここで何をしているのか、全部話してもらうからな」


 倒されて首をロックされた男、ふが、ふが、と息を吐く。


 やったぜ。


 レイラは、ようやく刑事の自分を取り戻した。


 やっぱり、相手が人間なら、なんでもないな。


 今度は、こっちの(ターン)だ。



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