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下着モデル潜入捜査官レイラの事件簿  作者: 茜見零
事件簿No.8 ネクリの休日
92/179

第92話 王の間の主



 真っ暗闇の中、閉じ込められた2人。


 どうすることもできない。


 すると。 


 物音がした。



 ピタピタ、ピタピタ、



 「な、何かいるよ」


 ネクリ、さっきは調子を取り戻していたのだが、またすっかり怯え切って、レイラにしがみついている。



 ピタピタ、ピタピタ、



 なんだろう、この音は。何かが動いている。それもかなり大きい。いや、大勢いるのか? そして、ゆっくりこっちに近づいてくる。


 匂いがした。


 海の匂いだ。


 海底洞窟だから、海の匂いがしても、おかしくはないんだけど、さっきの豪奢な広間では、妙な匂いは一切しなかった。


 なんだ?



 ピタピタ、ピタピタ、



 ヌルヌル、ピチャピチャ、ヌルヌル、ピチャピチャ、



 新しい音が加わった。


 なんだか、粘液にまとわれた物を絡み合わせ、こすり合わせているような。


 どちらにしても、あまりこういう場面で聞きたい音では、ない。

 

 近づいてくる。音も、匂いも。


 レイラは、手にした棒を構える。



 突如。


 ぼおっと、明かりがついた。



 「キャアアアアアーッ!」



 レイラとネクリ、同時に悲鳴をあげた。


 急に、部屋中が、赤い光に照らされた。はっきりと周りが見えたのだ。


 いや。


 部屋じゃない。ゴツゴツした岩壁に囲まれた、岩の空洞だ。空間(スペース)は、たっぷりある。さっきの宮殿の間よりも、広く、天井も高い。


 岩壁があちこち、ぼおっと赤く光り、照らしている。


 レイラとネクリの目の前に迫っているのは。


 巨大な怪物(モンスター)。 


 軟体生物。


 こんなの見たことない。



 ◇



 巨大な軟体生物。


 ヌメヌメした表面の全体が赤く、ぼおっと光っている。岩壁の赤い光と同時に、こちらも光り出したのだ。


 「な、なにこれ」


 ネクリ、口をあんぐり開けたまま。


 「なんだろう」


 と、レイラも。


 ぼおっと光る赤いヌルヌルの円盤状の巨体。エアバスほどの大きさがある。無数の足というか、触手というかが、蠢いている。足だか、触手だかを、ピタピタ、ヌルヌル動かして、這っているのだ。


 この見た目は。


 レイラは、自分の知っている軟体動物、海生生物を思い出す。


 タコ、イカ、クラゲ、ナマコ、えーと、それから何だったっけ。


 そういうのの要素を全部ごっちゃにして、バカでかくして、最大限に気味悪くした、そんな姿だ。


 これはきっと。


 人造生物。それは間違いない。


 生命工学、遺伝子工学の発展で、人間はありとあらゆる改造生物を生み出していた。


 こういう、ありがたくない見た目のやつは、大抵、観賞用とか、遊戯(レジャー)用で、特別に開発されたものだ。


 なんであれ。


 あまり出会ったり、近寄って欲しい生き物ではない。怪物(モンスター)。絶対にそうとしか見えない。


 まさかこれが、この地下宮殿の王? (あるじ)? そんな!



 ヌルヌルした巨大軟体生物は。


 巨体の中央にある大きな赤い眼球で、レイラとネクリをじっと見つめている。


 そして。


 スッ、と。


 幾本もの細長い触手を2人めがけて伸ばしてきた。



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