第83話 熱帯の海に行こう!
「キャー、綺麗! 海だ! 海だ!」
はしゃぐネクリ。
目の前にはキラキラする青い海が広がっていた。強い陽射し。
「ね、レイラ、来てよかったでしょ?」
ネクリは、くるっと可愛くモデルのターンをして振り返り、得意満面。
「うん。誘ってくれて、ありがとう」
レイラも、にっこり。
ちょうど仕事の休みが、ネクリと重なった。ネクリに海に行こう行こうと誘われて、星都から超高速バスで熱帯区域のビーチへと飛んできたのだった。
「来てよかったな」
輝く海を見ながら、レイラは、思いっきり伸びをする。
レイラは本来の仕事である刑事の方は休暇中で、私的に潜入捜査をしている身である。失踪したナミエの操作は行き詰まっている。手がかりが全く見つからない。焦る気持ちもあったが、
「あんまりくよくよして、煮詰まりすぎてもいけないや」
と思い、ネクリの誘いに乗って、熱帯の海に来たのだった。
今日はあれこれ忘れて、思いっきりはしゃごう。
カオリも誘ったのだが、
「私は今、数列の難題を抱えているのです。申し訳ありません。お二人で楽しんできてください」
と、断られた。数列の難題ってどんなのか、レイラには見当もつかないが。
◇
レイラとネクリ。
今日は下着、ではなく水着である。
レイラは黒のビキニ。シャープなデザインである。白い肌が陽に輝く。
ネクリは、パレオに、胸や肩、あちこちにいっぱいフリルのついたピンクの水着。
「ネクリ、可愛いよ。ビーチでも、おもちゃ箱のお人形だね」
レイラが、声をかける。おもちゃ箱のお人形というのは、ネクリの下着モデルとしてのコンセプトである。
「そう?」
ネクリはちょっと首をかしげる。
「私だっていつもお人形じゃなくて、レイラみたいに大人っぽくしたいな。レイラは、うらやましい。何も飾らなくてもしっかりプロポーション見せれば、それで最高に綺麗なんだから」
「そ、そうでもないよ」
レイラ、頬を赤らめる。
◇
「レイラーっ! 見て! 魚がいるよ! 熱帯魚だよ! 水族館みたい!」
ネクリは海に入ってパシャパシャはしゃいでいる。レイラも泳いだり潜ったり、ひとしきり熱帯の海で遊ぶ。
少し疲れた2人は、ビーチに寝そべる。
ここは有名な熱帯リゾートのビーチである。
人で賑わっている。カラフルな水着でいっぱい。主恒星の陽をいっぱいに浴びながら、レイラはまどろむ。
「あれ?」
なんだか。聞いたことのある声がする。
刑事を習性である。レイラは素早くビーチにうつぶせとなり、周囲を見回す。
「あっ!」
少し離れたところにいる華やかな女子の一団。ひときわ賑やかだ。みんな大声でキャッキャしている。
「ニーナさん!」
レイラの上司バリル警視の秘書ニーナだ。今日はいつもしているかわいいメガネは当然していない。なかなか大胆な露出の水着で、はしゃぎまくっている。他にも見知った顔があった。
警察女子ご一行様だ。
みんなも休暇で、熱帯の海に繰り出してきたんだ。
「まずいな」
レイラも警察は休暇中だから、それは問題ないんだけれど。下着モデル同僚のネクリと一緒にいる。顔を合わせた時、話を合わせるのが厄介だ。
「ね、ネクリ」
レイラは警察女子の一団に背を向け、ネクリを引っ張る。
「あっちへ行ってみない? ここは人がちょっと多すぎるね。静かな所へ行って、思いっきりのんびり楽しもう」
「そう? みんなに見てもらうのも、私結構好きなんだけど」
「仕事でいっぱい見てもらってるよ。たまには静かにするのもいいんじゃない。さ、行こ」
レイラは、ネクリを引っ張っていく。




