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下着モデル潜入捜査官レイラの事件簿  作者: 茜見零
事件簿No.7 瀕死の下着モデル
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第80話 探偵の仕事



 「ところで、なあ」


 ギルバンが言った。


  「そろそろ名前を教えてくれてもいいだろう?」


 「あ」


 レイラも気づく。


 まだ名乗ってなかった。助けてもらったんだし。名前くらい言わなきゃ。


 「レイラ。カオリの友達よ」


 忙しく頭をめぐらせる。それ以上の情報は必要ないだろう。


 「レイラ」


 ギルバンは、噛みしめるように言うと、


 「俺はどうしようか考えたんだ。カオリは高熱で出動できない。依頼主の数列家協会は、待機しろと言う。一応、レスタードの家の下見をしようと思った。それで高速エアバイクを飛ばして、ここに来たんだ。身を隠して、家の様子を伺っていると、お前が現れた」


 なるほど。


 レイラはこの家に入る時、誰かに()られているのを感じた。


 高速エアバイクで先に到着していたギルバンだったんだ。


 「お前は家に入った。どういうことだろうと、俺は考えたよ。相手は危険な男のはずだ。お前が1人で会いに行って、大丈夫なのか、少し心配になってね」


 ギルバンは、レスタードの窓の外に張り付いた。窓には内側からしっかりとカーテンがしてあり、中は見えない。しかし、


 「しばらくしたら、お前の悲鳴が聞こえた。助けてってね。こりゃいかんぜと、強化ナイフで窓を破って、飛び込んだってわけさ」


 ギルバンはニヤリとする。


 「姫が無事でよかったよ。仕事もとっとと片付いたし」


 「……そうなんだ」


 レイラは言った。


 そうだ。レスタードが革棍棒を振り上げた時、思わず必死に叫んだのだった。


 悲鳴をあげたら誰かが助けに来るなんて、なかなかあることではない。


 でも、今回の絶体絶命の危機には、助けが来た。


 やっぱり、悲鳴をあげてみるものなんだな。


 「で、結局」


 ギルバンは言う。


 「お前はなんでここに来た? どうしてふん縛られちまうことになったんだ?」


 「え、その」


 レイラ、また顔を赤らめる。宇宙警察のエリート刑事たるものが、民間の探偵なんぞに助けてもらっちゃったりした。これはこれで恥ずかしい。


 「レスタードが、カオリの仲間だと思っちゃったの。だからカオリのこと相談しようと思って。そしたらいろいろ誤解が起きて、こうなっちゃって」


 「そうか」


 と、ギルバン。


 「危険な相手だったからな。一般市民が1人で乗り込むのは、まずかったようだ。ま、こういう仕事は、プロに任せるべきだな。今度、危ないことをするときには、最初に俺を呼んでくれよな」


 

 うぐぐ……



 プロ刑事であるところのレイラは、ますます真っ赤になる。



 ◇



 「で、これからどうするの?」


 レイラは立ち上がる。まだ身体は痛むが、もう大丈夫だ。


 ギルバンは、手錠をされ床に伸びているレスタードを見て言う。


 「こいつを警察に運ばなくちゃな。俺の探偵証を見ただろ? これでも宇宙警察公認の私立探偵なんでね。犯罪者を確保したら、届け出なくちゃならん。数列家協会にも報告する。こいつが盗んだ機密データの捜索は、カオリが元気になってから来てやるのか、誰か別の人間が来るのか、それは協会が決めるだろう」


 テキパキとギルバンは行動した。


 レスタードを担いで、レイラの乗ってきたエアカータクシーに積む。そして近くの星系警察署へ。ギルバンはエアバイクで、レイラはエアカーで。


 レスタードを警察に運び込むのも、ギルバンに任せた。


 レイラは、外のエアカーで待っていた。刑事としてこの事件に巻き込まれた事は、報告しない方がいいだろうと思ったのだ。レスタードに拘束脅迫された事は、別に届け出なくていいから、もう事件は片付いたんだしとギルバンには言い、ギルバンもわかったと言った。私立探偵たるもの、依頼された仕事を果たせれば、基本的にはそれで良いのだ。


 

 「さてと」


 あれこれの報告を済ませ、警察署から出てきたギルバンは、外で待つレイラのところに来ると、言った。


 「これからどうしようか、お嬢さん」



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