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下着モデル潜入捜査官レイラの事件簿  作者: 茜見零
事件簿No.7 瀕死の下着モデル
78/181

第78話 ヒーロー参上!



 今、まさに自分の頭上に振り下ろされようという革棍棒。


 もうダメだ。レイラは、目をつむる。


 その時。


 

 ガシャン!



 音がした。ガラスが割れる音。


 レスタード、音のする方を振りむく。


 

 ビュウウ、



 閃光が走った。レイラがよく知っている光の(すじ)


 光線銃(ブラスター)だ。


 撃ち込まれた光線銃(ブラスター)光線(ビーム)が、レスタードの革棍棒を吹っ飛ばした。


 それと同時に。


 窓から男が飛び込んできた。


 ものすごい身のこなしだ。レイラは息を呑む。素早く、無駄がない。


 迷いのない一直線の動きで、レスタードへ突進(ダッシュ)。教授はすっかり固まっている。大きく目を見開き、身動きひとつ出来ない。


 飛び込んできた男。黒のソフト帽にトレンチコート。片手に光線銃(ブラスター)。そして、もう一方の手で持っているものを、レスタードの胸に慣れた手つきで押し当てる。



 ブルルっと体を震わせる数列家の教授。



 そのまま白目を剥いて、崩れ落ちる。


 飛び込んできた男は、無駄のない動作で倒れるレスタードを支え、床に寝かせると、心臓の鼓動をチェックする。


 電撃ショック系の武器で、レスタードを眠らせたんだ。


 レイラには、わかった。


 それにしても、ものすごく鮮やかな手際だな。


 逮捕確保術のプロであるレイラも舌を巻く動きだった。


 宇宙警察でも、こんな動きができるのは、よほど訓練を積んだ特殊部隊の人間だけである。


 床のレスタードの状況をチェックし、手錠を嵌めると、男は立ち上がり、レイラの方を向く。


 「あ」


 レイラ、唖然となる。


 黒のソフト帽とトレンチコートの男。


 ここに来る前に出会った、ギルバンだ。



 ◇



 ギルバン!



 なんで?


なんであの男がここに?


 さすがのレイラも混乱する。


 どういうことなの?


 まさかずっと、下着モデルの寮から、私をストーキングしてきたってこと?


 いや、そんなことあるはずない。尾行には注意していた。刑事の習性である。絶対に誰も()けてこなかった。それは間違いない。


 ギルバンは、光線銃(ブラスター)拳銃嚢(ホルスター)に収める。


 そして、コートの内ポケットから強化ナイフを取り出した。


 身をすくめるレイラ。


 しかし、ギルバンは、これまた慣れた手つきで、レイラの拘束具をスパッと切った。ガシャンと床に滑り落ちる拘束具。


 急に体が自由になったレイラ。


 椅子の上でグダっとなる。そのまま、ずり落ちそうになるのを、なんとか必死にこらえる。


 「大丈夫か」


 ギルバンが、レイラの肩を支える。がっちりとした強い手だ。


 「あり……がと」


 レイラはやっと言った。


 急に助かって。安堵で緊張の糸が切れ、めまいがした。身体と頭の痛みがまた気になりだす。クラクラする。


 しばらくギルバンに支えてもらっていた。



 ◇



 「ありがとう。もう、大丈夫」


 レイラはふうっと息をつくと、しっかりと言った。


 「無事みたいだな」


 と、ギルバン。落ち着いた表情をしている。ずっとだ。こんなこと何でもないという顔。


 「あの」


 レイラはしっかりとギルバンの瞳を見て、


 「どうしてここに来たの? なぜ、わかったの?」


 「ん?」


 ギルバンは、ニヤリとする。


 「それはもちろん、姫を助けに」


 「え?」


 レイラは赤くなる。


 「もう、ふざけないで」


 ギルバンは、あっはっは、と笑う。


 「僕はこのレスタードを確保するためにきたんだ。依頼されたんだよ。数列家協会にね」


 「確保? それって」


 レイラはまじまじとギルバンを見つめて、


 「あなた、いったい何者なの?」


 「探偵さ」


 ギルバンは、カードを取り出した。


 探偵証だ。間違いない。宇宙警察が認可した証明書だ。


 この男、ギルバンの正体は。


 宇宙警察公認の私立探偵。

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