表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
下着モデル潜入捜査官レイラの事件簿  作者: 茜見零
事件簿No.7 瀕死の下着モデル
67/180

第67話 謎の男



 レイラは、カオリの部屋を出た。


 ふう、と大きく息をする。


 なんだか。


 ものすごく疲れた。刑事として悪党と対峙するのとは違った、でもそれ以上の圧迫感を感じた。まるでカオリの部屋全体が、数列の呪縛で(とざ)されているかのような。


 ただ、同僚友人モデルのお見舞いに来ただけなんだけど。様子がおかし過ぎる。


 カオリ。熱にうなされているだけなのか? 数列だなんだ難しいことを考えすぎで。


 とにかく、今は触らせも近づかせもしない。


 医者を呼んできても、これじゃダメだろう。



 手に入れたキーワード。


 レスタード教授。


 突然出てきた名前。カオリは行かなくちゃ、会わなきゃと言っていた。


 誰なんだ? 数列家の仲間? そうらしいけど。それならちょうどいい。カオリの症状を説明して、どうしたらいいか相談してみよう。それが手っ取り早い。同じ数列家なら、対処法を知っているだろう。


 ベルモガル街1523。


 カオリははっきりと言っていた。熱にうなされた状態でも、しっかりと記憶してる。よほど重要な相手なんだろう。


 星都の郊外だ。すぐ行ける。


 よし。


 レイラは、寮のタワーを出る。



 ◇



 気づいた。


 黒のソフト帽に、トレンチコートの男。タワービルの入り口から少し離れたところにいる。さっきからずっと突っ立っていたのか。


 こっちを見ている。じっと。


 なんだ?


 タワーの入り口の真ん前に立っているわけじゃないから、門衛も追っ払うことができない。タワービルの外に待ち構えて、出入りの住民をジロジロ観察。露骨な迷惑行為をしてるわけじゃないけど、なんだか気になる。


 しかし。

 

 優先順位。今はカオリだ。


 レイラは、携帯端末(パッド)を取り出し、エアカータクシーを呼ぼうとする。だが呼べなかった。パネルを操作する間もなく、


 「ん?」


 気配。いや、もう足音だ。


 振り返る。


 ずっとタワービルの入り口の外に立っていた男。


 近づいてくる。


 レイラめがけてまっすぐに。


 

 ◇



 「こんにちは、お嬢さん」


 トレンチコートの襟を立て、ソフト帽を目深に被った男。背はかなり高い。長身のレイラより、頭1つ上。


 生き生きした青い瞳。好奇心いっぱいの視線でレイラを見つめている。豊かな黒髪がソフト帽からこぼれ、さらさらと揺れている。よく見ると、まだ若い。レイラと同じくらいの年頃か。


 「なに?」


 レイラは、素っ気なく、


 「私、今急いでいるんです。あなたは誰かに道を聞くために、ずっとここで立っていたんですか? それなら門衛の人に訊くといいでしょう。このビルの門衛の人は、とても親切ですよ。さあ、私に用はないはずですよね。それじゃ」


 そういうと、露骨に男を無視して、また携帯端末(パッド)に向き合う。


 男は悪戯(からか)うような口調で、


 「失礼、お嬢さん。あなたに聞きたいのは、道じゃない。あなたが出てきた場所についてです」


 「私が出てきた場所?」


 レイラは顔を上げる。面倒な奴だな。相手にする必要なんてないんだけど。


 「そこのタワービルよ。私が出てきたの見てきたでしょ」


 「502号室から来ましたね?」


 レイラは携帯端末(パッド)を落としそうになった。顔色が変わったのが自分でもわかった。しまった。とり乱しちゃった。


 タワービルの502号室。


 まさしくカオリの部屋だ。


 確かにそこから出てきた。で、どうやって知ったの?


 男はニヤニヤとしている。この状況を楽しんでいるかのようだ。レイラの動揺を見抜いている。



 なんなのこいつは!


 レイラの苛々が募る。


 まったく!


 数列ってのに関わると、次々と予測不能なことが起きちゃうんだから!


 普通の世界を歪めてしまう。


 それが数列なのか。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ