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下着モデル潜入捜査官レイラの事件簿  作者: 茜見零
事件簿No.6 下着モデル密室消失事件
55/180

第55話 追跡



 レイラとカオリがホテルの裏口を張り込みしてまもなく。


 ミレイヌが出てきた。


 1人だ。フード付きのコートを着ているが、レイラは手にした暗視鏡(スコープ)ではっきりと顔を確認することができた。


 ミレイヌ。ファッションメディア界の風雲児。若き女社長。こっちを見てはいない。思い詰めた顔をしている。


 ホテルの敷地を抜けると、ミレイヌは携帯端末(パッド)で無人エアカータクシーを呼び、発車させる。


 レイラもミレイヌが車を使うことに備え、無人エアカータクシーを待機させてあった。早速乗り込んで追跡する。


 

 「アタリでしたね」


 カオリがいう。レイラも、


 「うん。あなたの推理通りだったね。ドンピシャ的中」


 カジヒラとエストが一緒に消え、ミレイヌも密かにホテルを抜け出しどこかへ。これは絶対に何かある。関係があるはずだ。


 カオリは、レイラの暗視鏡(スコープ)をしげしげと見つめる。刑事の秘密道具の1つだ。


 「レイラさん、いつもそういうの持っているんですか?」


 「う、うん」


 レイラはごまかす。


 「ほら、夜に道に迷っちゃったりとか、そういうことってあるじゃない? そういう時、これ、すごく役に立つのよ。あはは」



 ◇



 エアカーでの追跡。


 距離をとっている。星都から、郊外へ走る。


 「気づかれないかな」


 レイラはヒヤヒヤ。


 まわりにエアカーは走っていない。ただ、くっついて走っているだけでは、追跡に気づかれてしまう。


 もうちょっと距離を取ろう。


 レイラは、少しエアカーのスピードを落とす。



 もうすっかり郊外だ。


 森の中の道に入ったところで。


 いきなり、前方のエアカーが消えた。


 「あ、しまった」


 急に脇道に入ったのだ。


 追跡はとっくに気づかれていたようだ。


 レイラ。探知機(センサー)で周囲を探るが、ミレイヌのエアカーはスピードを上げ遠ざかったようだ。探査(サーチ)できる近くでは見つからない。


 「うわー、しまった。何やってんだ私」


 森の中で、エアカーを停め、レイラは叫ぶ。脇道がいくつもある。ミレイヌがどこへ行ったか、わからない。こういうことなら、ホテルを出る時、無理してでもミレイヌに接近して発信機でも取り付ければよかった。


 「どうしよう」


 「落ち着いてください」


 と、カオリ。


 「さっき支配人ルームの中を撮影(スキャン)しましたよね。そこに鍵があるかもしれません」


 レイラ、撮影(スキャン)した画像を携帯端末(パッド)で検索にかけてみる。


 「あ、これひょっとして」


 支配人ルームの机の前の壁に、大きな写真が飾ってあった。美しい湖畔にある別荘の写真だった。


 その風景が検索に引っかかった。位置座標。ちょうど、ミレイヌのエアカーが向かっていた先だ。


 「カジヒラの別荘かな。どうやら目的地、間違いない」


 湖畔の別荘の位置座標を頼りに、エアカーを飛ばす。



 ◇



 まもなく到着した。


 星都の郊外の森と湖に囲まれた、別荘地。


 夜なので、真っ暗だ。わずかに街灯の照明(ライト)があるだけ。


 しかし、位置座標で、目的の別荘はわかった。


 その手前の湖畔に。


 「エアカーが停めてある」


 車両番号。チェックすると、先程のミレイヌのエアカーだ。


 「やったね。行くよ」


 レイラとカオリ、エアカーを停め、降りる。携行照明(ライト)を手にしているが、まだ灯はつけない。


 追跡捜査中なのだ。


 「暗いから気をつけて歩いてね」


 レイラ、カオリの手を引く。別荘の街灯。あれを目印にして歩けばいい。


 念のため、ミレイヌのエアカーをチェック。誰もいない。とっくに降りて、もう別荘に入っているのだろう。


 まずは外側から別荘の様子を伺おう。

 

 慎重に進むレイラ。


 おや?


 気づいた。


 湖畔で。


 誰かが携行照明(ライト)を手に動いている。


 近づくと、向こうもこちらを認めた。


 背が高い男。


 ホテル支配人のカジヒラだ。



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