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下着モデル潜入捜査官レイラの事件簿  作者: 茜見零
事件簿No.6 下着モデル密室消失事件
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第52話 刑事と一般人の捜査



 「これは、事件よ!」


 レイラは叫ぶ。支配人ルームの前の廊下。一流高級ホテルの分厚い絨毯の上で。


 「事件とは決まっていません」


 カオリは落ち着いている。


 「どういう理由か、支配人がエストさんを連れて行った。急に休暇を取ったという事は、支配人さんにとっても思いがけない出来事だったのでしょう。でも、ホテルの中ですから。無理矢理エストさんが拐われたとか、そういうことではないと思います」


 「うん……そうだけど」


 レイラは必死に考える。


 確かに、まだ事件……犯罪だと言う段階ではない。


 あの支配人のカジヒラ。エストの失踪とは無関係の第三者だと思って信用したんだけど、エストを隠すために嘘をついた。ということは無関係でなく、何か関係あるんだ。


 事件じゃない。下着モデルの少女と高級ホテルの支配人が、一緒にどこかへ行った。今わかっているのは、ほぼそれだけ。


 「でも、エストと一切連絡がつかないっておかしくない?」


 「おかしいですね」


 カオリは冷静。


 「よほどの事情があるのでしょう」


 「その事情ってのが、急にお腹が痛くなったとか、モデルの仕事が嫌になったとか、そういうのかもしれない。でもそれ以外の可能性だってあるじゃない? 連絡したいけど、できなくなってるとか? そう思わない?」


 「可能性でいえば、何でもありますね」


 「カオリ、あなた、エストのこと心配じゃないの?


 「心配です」


 「うん、じゃあ、探そう」


 レイラはきっぱりと言って、支配人ルームの扉を見据える。


 ここがまずは捜索の入り口。


 ドアノブを手で回してみる。開かない。当然だ。鍵がかかっているのだ。


 うーんと、レイラは考え込む。


 気づくと、カオリが微妙な視線でレイラを見ている。


 「なに?」


 「危ないですよ」


 「危ないって? どういうこと?」


 「扉を壊そうと考えていますね?」


 「そんなことしないわよっ!」


 レイラが服の下に隠している警察の秘密道具を使えば、何とか扉を破れないでも無い。


 でも。


 さすがにそれをやれば警報器(センサー)が発動し、大騒動となる。


 「外から回る」


 「外?」


 「うん。このホテル、飾りだけど、窓側にバルコニーがある。それを伝っていく」


 「そんな冒険するんですか?」


 さすがのカオリも、目を丸くする。


 レイラは、ふ、と笑い。


 「私には何でもないのよ。目の前で女の子が消えて、どうにかなっちゃうかもしれない。それを考えたら、何てことない。カオリ、あなたは部屋に戻って待ってて。協力してくれてありがとう。あなたのおかげで、手がかりがつかめた」


 「私も行きます」


 カオリがきっぱりと言った。今度はレイラがキョトンと。急に何を言ってるんだ。この子は。


 「え? どうして?」


 「なんだかレイラさんが心配なんです」


 夢見心地の瞳。


 レイラ、ガクっとなる。


 宇宙警察の刑事の私が、一般人に捜査の心配をされちゃっている!



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