第48話 女社長の醜聞
また、下着モデルが消えた。
忽然と消失。存在自体がいきなり消えた
絶対にありえない。しかし、レイラは、この目で見たのだ。
「何だったんだろう。どうしたんだろう。どこへ行ったんだろう」
わけのわからない怪現象。パーティー会場に戻ったレイラ。宇宙警察の敏腕刑事もお手上げであった。
会場では、華やかなパーティーが続いていた。
エストは、それほど大きな声を出したわけではなかった。
聞こえたのは、ミレイヌと、周囲にいたドン・ハルキサワ事務所のモデルたちだけだったようだ。会場に集まった大勢のパーティー客たち。何が起きたのか、知らない。
あの後。ルイーザが、すみません、うちのモデルが迷惑をかけて、と謝り、ミレイヌも、すぐにいつもの優雅な表情に戻り、いえいえ、全く気にしていませんと微笑んで、去っていった。
その場はそれでおさまったとのことだった。
何が何やらよくわからないが。
ルイーザは、騒ぎにならないよう、慎重に配慮した。モデルたちは、何が起きたのかよく分からないから、無責任なおしゃべりをしないように、聞いた事は、口外しないようにと釘を刺された。
会場から駆け出し、姿を消したエスト。
事務所のスタッフがあちこち探した。ドン・ハルキサワ事務所の控え室にも、いない。エストの携帯端末に通信を入れても、返事は来ない。
やがて、パーティーが終わった。
ドン・ハルキサワ事務所一行も、控え室に、入る。
みんな、あちこちで固まって、ヒソヒソと話をしている。
急に姿を消したエストのことを心配している。
それと同時に。
エストの言葉。みんな、はっきりと聞いている。
「自分が捨てた子が目の前に現れたのって、どんな気持ち?」
確かそう言った。
言葉をそのまま解釈すると。誰がどう考えても、エストは、ミレイヌの娘。昔、捨てた娘。それが、今日パーティー会場で再会した、そういうことになる。
本当なのだろうか。
にわかには、信じがたい。
でも。事実だとすると。
これは結構な醜聞ではないのか?
今をときめく女社長ミレイヌ。女性起業家の星である。
隠し子がいた。それも、子供を棄てた過去。
ファッションメディア業界の風雲児ミレイヌは女性向きの情報配信が専門だ。この業界、イメージが重要である。ミレイヌに、女性たちにとって受け入れがたい醜聞が発覚したら。
一気に名声は地に堕ち、せっかく成功したファッション情報配信局も、危うくなる。
真相はわからない。余計なことは喋らないように。
モデルたちを、重苦しい空気が覆っていた。




