第38話 刑事 VS 数列家
私を確保する? だって?
レイラ、身構える。
ドン・ハルキサワのファッション事務所の資材室で。
対峙するレイラとカオリ。
2人の下着モデル少女。宇宙警察刑事と数列家。
レイラには、カオリが冗談を言っているようには見えなかった。
でも、確保って。どうやって?
カオリ、小柄で、とにかく線が細い。ほっそりしている。病的に見える白い膚。絶対に体術や格闘術は無理だ。
長身で鍛え抜いたレイラに、かなうはずはない。力ずくで確保は不可能だ。
そもそも、それに。
なんで私が確保されなきゃいけないの?
絶対できないはずの数列式を解読をしたから? それでなんで確保する必要があるの? 確保して、どうするの?
なんであれ、ここは。
誤解を解くべきだ。こっちは別に、数列の世界なんてわからないし、関心もないんだから。ただ、失踪したモデルの子を探して、潜入捜査をしているだけで。
レイラ、口を開こうとするが、
カオリは、自分のブルーのブラジャーの下に、指を入れる。
なんだ? この子、何を始める?
レイラ、警戒最大限体制。刑事の勘が、危険を告げている。
この子も、ブラジャーの下に何か仕込んでいるの?
秘密兵器か?
カオリは、ブラジャーの内側から、小さなものを取り出した。
なんだろう。
このファッション事務所も、警備チェックがある。武器凶器危険物は、持ち込み不可能なはずだ。
カオリは、取り出したものをしっかりと握る。あれは、なんだ? 手のひらサイズの杖に見える。
「数列よ、森羅万象を、星の行方来た道を、開示したまえ。数列よ。振動を合わせよ。人の心に。身体に。数列の踊り!」
と、唱えた。何の呪文だろうか。数列の呪文てあるのか?
たちまち。
宙に、数字や記号が、踊りだしてきた。0と1だけではない、いろいろな数字に、記号。踊り、飛び跳ね、ぐるぐる回る。
立体映像だ。
カオリが握っているのは、立体映像の投映器。杖型の。
なんだ。
昼間見せてくれたのも、これか。
レイラの前で、踊り、跳ね、回る数字と記号。レイラの知らない記号もある。
で。
これが何だと言うんだろう。
また、私に数字と記号を見せた。これはこれまでのより、もっと難問なの? これを解析解読してみろっていうの?
そもそも解読なんてできないから。完全な誤解なんだから。
もう、終りにしよう。
やっぱりひたすら勘違いしてるだけなんだ、カオリは。付き合っている状況でもない。
「カオリ」
レイラは、声をかけようとした。
だが。
出ない。声を出したつもりが、出ない。
「え?」
鳥肌が立った。ゾワっと。
これまで刑事として幾度も修羅場をくぐってきたレイラである。大抵のことには、動じないのだが。
「なに、なんなの?」
気がつくと。
体が動かない。痺れたように。声も出せない。




