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下着モデル潜入捜査官レイラの事件簿  作者: 茜見零
事件簿No.3 黄金のカツレツ事件
29/111

第29話 カツレツのパーティーへ



 リョウタのお誘いに、返信する。


 『お誘いありがとうございます! 明後日は空いてます! 是非お伺いさせてもらいます! もう、大感激です!』


 業界の大物に誘われて有頂天の新人モデルの女の子の通信(メッセージ)。これでいいのだろうか、レイラは考えながら、慎重に入力する。


 通信(メッセージ)。すぐ帰ってきた。


 『じゃあ、レイラちゃん、明後日、僕の家でね。もう、本当に取っておき、身も心を(とろ)かしちゃうから。期待しててよ。必ずぶっ飛ぶから』


 レイラは、リョウタの通信(メッセージ)文をじっと見つめる。


 これはもう。


 キマリだな。


 見立て、推理は正しかったのか。


 最悪だが。


 それにしても、1人のモデルの死の後に、またすぐ別のモデルを誘う? それならそれで、あまりにも異常すぎる。リョウタは、見た目以上に完全にぶっ壊れているということだろう。


 一旦、狂乱の坂を転がったら、どこまでも落ちていく。ぶつかって、止まるまで。


 ここで、止めなければいけない。


 そうしなければ、これからも犠牲者が出つづけるだろう。


 レイラは、ナミエの母親を想う。最悪の暗い結末。知るのはのは辛いことだろう。レイラも辛い、が、自分は刑事なのだ。犯罪を防ぐ。悪党を取り押さえる。何がなんでも。


 それしかできることがない。


 ナミエが生存してる可能性。あるといえば、あるかもしれない。薬物漬けになって、リョウタの手にずっと? 可能性は低い。でも、なんであれ、生きているならば、そのほうがいい。


 レイラは、祈るしかなかった。


 

 レイラ、リョウタの家でのパーティーへ行く準備をする。


 冷静沈着な、1人の刑事になっている。


 悪党を追い詰める手順。一切の妥協も、手抜かりも許されない。ちょっとした油断から、得られるはずだった良い結果が手をすり抜け、落としてしまうこともあるのだ。


 万端の準備。


 何を持っていこうか。


 乗り込む先は、薬物常用錯乱者の家だ。いるのは1人だけだろう。悪の組織のアジトに乗り込むのではない。


 リョウタ1人なら、問題ない。


 (ガン)は、いらないだろう。


 しかし。


 わずかな可能性であっても、危険は考慮しなければならない。リョウタと違法薬物(ドラッグ)つながりのある連中。ひょっとしたら、他の人間が事件に絡んでることもあり得る。プロの犯罪者が待ち構えているかもしれない。


 武器、護身具は、欲しいな。


 何がいいかな。


 個人の家でも、(かね)のある大物は、警備(セキュリティ)会社と契約しているのが普通である。


 (ガン)は、検知器(センサー)に引っかかる。どのみち持っていけない。ナイフなど、鋭利な刃物も。


 一般の警備(セキュリティ)検知器(センサー)をすり抜ける武器、護身具。


 レイラが慎重に選んだのは。


 硬化プラスティック製のスティック。小さく折りたたんでおける。こっそり持ち込むのにちょうどよい。


 そして、電撃機能付き携帯端末(パッド)。通常の電子機器と同じ電気出力だが、先端集中電撃で、かなりの威力が出せる。これなら万一検知器(センサー)に引っかかったとしても、女の子の基本の護身具ですと言い訳できる。


 こんなものでいいかな。


 レイラは、体術格闘術の修練も積んでいる。鍛えあげられた自分の身体に、ちょっとした武器があれば、それで大丈夫だ。


 そして。


 宇宙警察の違法薬物(ドラッグ)対策課が使う、小さなスティック型薬物検知器。僅な薬物でも成分解析判定ができる。これで、〝黄金(きん)のカツレツ〟を突き止めるのだ。


 よし。


 準備完了。


 もちろん、何よりも重要なのは、武器ではなく、

 

 疑われないこと。


 無警戒の標的(ターゲット)にそっと近づき、嵌めて、確実に仕留める。


 それが潜入捜査だ。



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