表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
下着モデル潜入捜査官レイラの事件簿  作者: 茜見零
事件簿No.3 黄金のカツレツ事件
28/106

第28話 危険な見立て



 「うーん」


 レイラは、両腕を頭の後ろで組み、考え込む。


 情報は拾えるだけ拾った。


 わかったこと。


 うちの事務所の評判は、いたって良い。事件など起こらない。起きていない。


 この前、ラシエの件があったけど。あれも確かに事件に発展すると言えばしたかもしれない。でも大事にはならなくてすんだ。


 リョウタに、怪しい噂は無い。ネクリによれば、リョウタは、女の子に声をかけずにいられない病気とのことだが、そんなに無茶なことはしていないということになる。ルイーザのガードが、しっかりしているというべきなのか。


 声をかけて、引っ掛けてものにしたモデルとこじれていざこざになるくらいか。それもそこまでの大事件には発展していない。


 しかし。リョウタから引き出した話。そこからの見立て。


 新人モデルのナミエは、リョウタに誘われ、危険薬物の〝カツレツ〟を飲まされた。メロメロになって〝溶けた〟


 これが事実なら、もう完全な犯罪だ。


 だが。あれこれ調べた情報(データ)とは、だいぶ開きがある。


 この見立ては違うのか?


 わからない。今の段階では。


 しかし、せっかく手がかりがつながったのだ。追わなければいけない。


 見立てが正しいとすると、どうなるか。


 これまで問題起こしてなかったリョウタ。どこかで、おそらくパーティーか何かで、誰かから〝カツレツ〟について教えられ、服用した。今でも、細々と〝カツレツ〟の流通ルートはあるのだ。業界は広い。怪しい輩も多数蠢いている。それまで問題を起こしてなかった人物でも、魔の誘惑に嵌まることは、あるのだ。〝カツレツ〟を知ったリョウタ。自分で気にいって使うようになった。これはごく最近のことだろう。


 リョウタが違法薬物(ドラッグ)を服用使用し始めたの自体、最近のことだろう。ずっと常用していれば、必ず表面化するものだ。


 そして、〝カツレツ〟漬けになったリョウタは。


 今度は、女の子に使うことを考えた。女の子に対する欲望を、危険薬物が肥大化させ、今までいない行動をすることになった。


 標的(ターゲット)に選ばれたのが、新人ナミエ。


 リョウタは、ナミエを誘いだし、2人きりで、〝カツレツ〟を使用した。


 そしてどうなったんだろう。


 危険薬物だ。事故が起きたのか。ナミエの身になにかが起こった。


 ナミエは。


 死亡した?


 レイラは、最悪の事態を想像する。もちろん失踪事件だ。死亡の可能性も、最初から考慮している。


 一流ファッション事務所のカメラマンとモデルが、違法薬物(ドラッグ)を使って死亡事故を起こした。大事件、大スキャンダルだ。


 で、隠した?


 そうすると、さらに大きな犯罪になる。


 リョウタはそこまでするか?


 リョウタだけではない。


 ナミエ失踪について、事務所全体で隠している。これはどういうことか。


 ドンやルイーザも、関わっているのか?


 一緒に違法薬物(ドラッグ)を服用したナミエが死亡して動転したリョウタは、ルイーザに相談した。事務所の取り仕切りをしているのは、ルイーザだ。そして、ルイーザは隠蔽に協力した? この件が表面化すれば、事務所の名は、一挙に地に堕ちることとなる。提携企業も、手を引くだろう。この業界、イメージが全てなのだ。事務所の破滅を避けるために、モデルの死を隠した?


 聡明でしっかり者のルイーザがそんなことをするとは、とても思えない。


 だが。


 地位と富、名声の全てがかかっているのだ。人の死という錘が、天秤の向こう側へ落ちてしまうこともあるかもしれない。


 レイラにとって、あらゆる意味で信じたくない見立て、推理であった。


 事務所の人たち、どう見ても悪人には見えない。


 しかし自分は刑事なのだ。見たくない真相であっても、突き止めなければならない。


 一見、犯罪と無縁そうに見える人でも、とにかく疑ってかかる。それが基本なのだ。


 この線、食いついてみよう。



 リョウタから、通信(メッセージ)が来た。


 『レイラちゃん、明後日空いてる? 僕のとっておきの〝黄金(きん)のカツレツ〟をご馳走するよ』


 来た。


 よし、行こう。


 行けばわかる。完全に決着がつく。


 行くしかない。それが潜入捜査だ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ