表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
下着モデル潜入捜査官レイラの事件簿  作者: 茜見零
事件簿No.11 裏戸のスキッド
121/195

第121話 紫の瞳の少女



 大繁栄星シン・トーキョー。宇宙でも有数の人口を、抱えている。


 レイラは、星の名前と同じ星都シン・トーキョーの郊外の高級住宅街を、歩いていた。


 今日は仕事が入っていない。


 いつも行ったことのない星都の区域(エリア)をのんびり歩き、手頃な喫茶店(カフェ)にでも入って、のんびりしようと思ったのだ。


 潜入捜査というのは、心身の負担が大きく、疲れるのである。



 閑静な高級住宅街。


 立派な家が立ち並んでいる。


 趣向を凝らした門に柵、塀があり、木立に囲まれている。


 なんだか心が和む。


 レイラの潜入したファッション業界、下着モデル業界、そこは生き馬の目を抜く世界。常に最先端、新しさを追い求め、競争の渦に飛び込んでいかなければならない。怒涛の世界。


 その逆、静かで落ち着き洗練された空間に来ると、ほっとする。



 ひときわ立派な屋敷の前で。


 レイラは立ち止まり、見上げる。


 「すごいお屋敷だな」


 古風(レトロ)な仕様。重厚で宏壮な邸宅、いや、城館(シャトー)といった方がいいか。



 レイラ、しばし佇む。

 

 こういうところには、どんな人が住んでいるんだろう。お金持ちには違いないんだろうけど。別世界。そう感じる。


 屋敷の門が開いた。正面の立派な門でなく、横の通用口。


 中から慌ただしく飛び出して来たのは、少女だった。


 レイラと年格好も、背格好も、同じくらい。紫のドレスに、白い帽子の少女。


 

 ◇



 「ミル!」


 屋敷から飛び出してきた少女は、いきなりレイラに抱きついてきた。



 「あ、あの」


 突然抱きつかれたレイラは、慌てる。


 「なに? なんなの?」


 「離さない。絶対!」


 少女は、必死にレイラにしがみついてくる。甘いに匂いがした。高級な香水。


 「だから、誰?」


 と、レイラ、面食らう。


 抱きついてきた少女。顔に全く見覚えは無い。でも、向こうは真剣だ。必死だ。ふざけているようには見えない。いったい何なんだ?


 「ミル」


 少女は、涙ぐんでいる。


 「帰って来てくれたのね。会いに来てくれたのね。ずっと待ってた。また会えると思ってた。信じてたよ!」


 うーん、これは、とレイラ。


 勘違い。そうらしい。そうでなければ。何かのドッキリか?


 「あの」


 はっきりと、言った。


 「なに? 私、あなたのことを、知らないんだけど。ミルって誰? 人違いじゃない?」


 抱きついてきた少女は、まじまじとレイラを見つめる。


 「ミル、ねえ、ミルでしょ?」


 困ったな。レイラは、きっぱりと、


 「もう。本当に私は、ミルじゃない。どうやら人違いみたいだね」


 抱きついてきた紫の瞳の少女。レイラと同じ藍色の髪を、1つ編にして下げている。


 少女は、レイラの手をぎゅっと握ったまま、少しだけ体を離すと、


 「いいえ、間違いなく」


 きっぱりと、言った。


 「あなたは、私のミル」


 その瞳は、真剣だった。


 勘違い人違いは続行中だ。なんだか、面倒なことになりそうだ。


 レイラの刑事の勘が、告げる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ