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下着モデル潜入捜査官レイラの事件簿  作者: 茜見零
事件簿No.10 盗まれたショーツ
115/189

第115話 事件



 レイラはベージュのフワフワの下着(アンダーウェア)でいろいろ撮影した。リョウタの指示で、物憂げな瞳の大きな白毛の猿と一緒にカメラに収まったりもした。下着(アンダーウェア)って猿との相性のチェックも必要なの? レイラは考えるが、わからない。それに、この猿、レイラの下着姿に、なんの感慨も抱いてないようなんだけど。



 かなりの時間がかかった、試着撮影。


 やっと終了となる。


 クレオラント社の開発部、宣伝部、その他、各種部門の社員、モデルたち、事務所のスタッフ、みなでレポートをし、検討する。


 開発部責任者の女性社員は、満足げであった。


 「今日は、いい仕事ができました。これで我が社はまた自信を持って商品を開発し皆様にお届けすることができます。それでは、ドン・ハルキサワ事務所の皆様、お仕事はこれまでです。お食事を用意してあります。ごゆっくりお寛ぎになっていって下さい」


 わーっ、と、モデルたちから、声が上がる。


 「ここで出る食事って、本当においしいのよ!」


 レイラは、初参加だったが、先輩モデルたちは、何度もクレオラント社の試着体験(モニタリング)に参加しているのだ。


 浮き立つモデルたち、試着していた下着(アンダーウェア)を脱ぎ、クリーニング用の大きな籠に入れていく。


 「これ、本当にいい」


 ネクリは自分の身につけていた下着(アンダーウェア)を、愛おしそうに見つめている。


 「正式に販売されたら、絶対買っちゃう」


 「そうだね」


 と、レイラ。


 薄くて儚げな透かし織(レース)に見えて、しっかり強靭な素材。宝石に見えて、実は柔らかい肌感覚の布地。


 「いいね。私も買っちゃおうかな」


 と、レイラもネクリの手の下着(アンダーウェア)を見つめる。


 「さ、レイラ、行こ、ご馳走だって」


 ネクリ、クリーニング籠に、下着(アンダーウェア)を投げる。


 「うん」


 レイラも行こうとするが、ふと、後ろの視線が気になった。


 ガラス戸は開いている。外の庭園の鳥獣。


 こっちを見ている。


 そうだ。最後に一緒に撮影した白毛の大猿。ちょっと挨拶していこう。


 意外と動物が好きなレイラ。


 一旦庭園に出て、物憂げな瞳のままの大猿を見つけて、じゃあね、と言って、スタジオに戻る。モデルたちは、もう誰もスタジオにいない。


 レイラも、慌てて後を追う。



 ◇



 社員食堂では。豪華な料理が待っていた。さすが一流企業だ。仕事も終わった。みんな、大皿料理に飛びつく。ダイエット中の子もいたが、この日のご馳走のために、丸2日食事を抜いてきた、という子もいた。


 「あんまりがっつきすぎて、お腹壊さないでね。企業の人に笑われるよ」


 ルイーザの声もどこへやら。みんな、ご馳走を堪能する。


 レイラはネクリと並んでせっせと食べる。


 ふと、オレンジの香りがした。


 「あれ、オレンジもあるのかな? お皿には見えないけど」

 

 「あ、それ」


 と、ネクリ。ケーキを頬張りながら、


 「きっと私の香水だよ。今日、新しいのにしたの。ちょっとオレンジの香りもするの」


 「そっか」


 レイラ、ネクリの髪の匂いを嗅ぐ。

 

 なるほど。確かにオレンジ香りだ。



 食事を終え、みんな満足。


 その時。


 開発責任者の女性社員が、食堂に入ってきた。


 「皆様、申し訳ありません」


 険しい顔をしている。


 なんだろう、と顔を見合わせるモデルたち。


 「確認しなければいけないことが、できました」


 確認? なんだ? みんな不審な顔。


 女性社員は続ける。


 「先ほど皆様に試着していただいた下着(アンダーウェア)のショーツが1枚、見当たらないのです。当社のまだ未公表の新素材が使われているショーツです。探すのにご協力お願いします。透かし織(レース)に宝石を散りばめた模様のショーツです」


 それって、とレイラ。


 ネクリの履いてたショーツ?


 ネクリは。


 キョトンとなっている。



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