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下着モデル潜入捜査官レイラの事件簿  作者: 茜見零
事件簿No.9 リョウタの災難
109/183

第109話 小屋の中で



 光線銃(ブラスター)を向けられて。


 レイラは慌てて両手を上げた。


 鳥打帽の女性は、


 「このエリアの管理センターから、通報がありました。不審者が侵入したと。それで見に来て見れば。あなたたち、エアバイクを乗り回してここまで暴走してきたんですね。どういうつもりですか? ここは私有地です。うちのお嬢様に、何をするつもりなのです?」


 と、鋭い眼を向けてくる。


 レイラは、うちのお嬢様? あのアンドロイドのこと? と、思ったが、とにかく撃たれちゃまずいと


 「あの、私たち、怪しい者じゃありません。職場の人がこの森で不思議なことに出会ったというのを聞いて、確かめに来たんです」


 「不思議なこと?」


 鳥打帽の女性は、なおも光線銃(ブラスター)を構えたまま。


 レイラは、同僚のリョウタが自然公園で美女に遭遇し、気がつくと森の中の小屋に連れ込まれていたことについて、話す。


 「本当にものすごく、美しい女性だった、そう言ってたんです。この人のことです」


 レイラ、両手を上げたまま、アンドロイド美女に目線を。ともかく、〝お嬢様〟らしい。


 じっとレイラとカオリを見つめていた鳥打帽の女性は、


 「そうですか」


 と、光線銃(ブラスター)を下ろした。


 「この前来た青年の話を聞いたんですね。確かに気になる、そうですね。あなたたち、悪い人でもないようです。お嬢様に会いに来た。それでは少し話をして進ぜましょう」


 女性はアンドロイド美女に向かって、


 「さあ、お嬢様、中へどうぞ」


 小屋の扉を開け、恭しく案内する。


 アンドロイド美女は、微笑を浮かべたまま、小屋へ入って行く。


 優雅で、軽やかな足取り、物腰だ。


 でも。なめらかな動きだが、確かに、人間(ヒューマン)とは少し違う。レイラは感じた。言われてみれば確かにアンドロイドだ。それに、やっぱり表情も、そんなに種類はないんだろうか。言葉もしゃべれないのかな。


 「さあ、あなたたちも、入りなさい」


 美女を中へ入れると、鳥打帽の女性はレイラとカオリを招く。表情はすっかり柔らかくなっていた。光線銃(ブラスター)は、もう腰の拳銃嚢(ホルスター)にしまっている。


 レイラとカオリ、お互い一度見つめ合った後、素直に小屋に招かれることにする。



 ◇



 小屋の中。明るく、清潔な部屋だった。窓のカーテンを開けると、明るい陽の光がいっぱいに溢れる。


 奥にベッドがある。リョウタがあそこに寝かされていたのだろう。(テーブル)と椅子も、ある。


 「さ、お座りください。私はドーラ、ここの今の主です」


 レイラとカオリ、言われるまま、椅子に座る。皆で(テーブル)を囲む。


 アンドロイド美女は、すぐに、別室に引っ込んだ。結局、一言も喋らなかった。


 「お気づきでしょう? うちのお嬢様がアンドロイドだということは」


 と、ドーラ。レイラとカオリ、頷く。


 「はい。びっくりしました。最初、人間だと見間違えてしまいました。こんな美しい女性を見たのは、初めてです」


 レイラの素直な感想に、ドーラは、くっくっ、と笑う。


 「そうですね。出会った人をびっくりさせてしまう。だから、普段はここから出ないようにしているのですが。お嬢様は、遠い昔のここの(あるじ)であった、ゼラント侯爵家の令嬢の似姿そのものなのです」


 大昔の、侯爵令嬢の似姿のアンドロイド。


 どういうことなんだろう。


 深い森の奥の静かな小屋の中で。

 

 ドーラは、レイラとカオリに、アンドロイド美女の由来を語り始める。



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