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下着モデル潜入捜査官レイラの事件簿  作者: 茜見零
事件簿No.9 リョウタの災難
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第107話 森の小屋



 「飛ばすよ! しっかりつかまっててね」


 レイラは、エアバイクを発進。後部席のカオリは、しっかりとレイラの腰にしがみついている。



 ビュンビュンと、



 樹々の間を、エアバイクは疾走していく。


 たちまち、警報器(サイレン)が鳴る。


 「ここは私有地です。部外者の方は、直ちにお戻り下さい」


 人工音声の警告が響く。


 もちろん無視して、エアバイクを飛ばす。


 「そろそろ、来るな」


 レイラは、バイクの探知機(レーダー)を確認。


 赤い点々が映っている。この方面のロボット番人、ロボット番犬だ。みんな、こっちめがけて集まってくる。


 捕まったら、つまみ出されちゃう。


 「そうはいくもんか」


 レイラ、エアバイクのアクセルを目一杯踏む。


 最高速度。


 しがみつくカオリ、ブルブル震えている。


 「もう、カオリ」


 レイラは、笑顔で振り向く。


 「知ってるでしょ。このバイク。重力クッション防御(ガード)がついてるから。落っこちないし、事故にならないよ。そんなにガタガタしないで」


 「で、でも怖いです!」


 蒼白のカオリ。


 夢見心地の数列家も、こういうのには弱いんだ。


 森の深い奥へ。地面についた足跡を逆に辿りながら、エアバイクは、飛ぶ。番人ロボット番犬ロボットを、振り切りながら。



 ◇



 急に、森が開けた。


 背の高いの樹々の間に、草地があった。陽の光が、燦々と降り注いでいる。


 「ここかな」


 レイラは、エアバイクを停める。

 

 見える。目の前。


 小さな小屋があった。リョウタから、見た光景を詳しく聞き出しておいた。


 白い壁にオレンジ色の屋根。おもちゃ箱の中のお(うち)みたい。そして、樹々の向こうに美しい城館(シャトー)の尖塔が見える。


 ドンピシャだ。


 地面の足跡は、こっちのほうに続いていた。


 間違いないだろう。


 レイラとカオリ、バイクを降りる。


 静かな空間だ。


 もう警報器(サイレン)も聞こえず、番人番犬も追いかけてこない。


 個人所有地には入ってこない、そういうルールなのだろうか。もちろんここの所有主には、通報が行っているはずだ。


 2人は小屋に近づく。


 窓があるが、内側から、カーテンがしっかりと閉まっている。


 入り口の扉、呼び鈴を押してみるが反応は無い。トントン叩いても、何も返ってこない。一応ドアノブを回してみるが、開かない。


 森の中の、静かな空間の、可愛いな小屋。


 「向こうに見える城館(シャトー)が本邸で、これは別館かな。見た感じだと、森番か狩人の小屋って感じだね。ほんと、御伽話の世界そのまんま。城館(シャトー)も、すごく立派だし、ここの所有主の人は、お金持ちなんだね」


 「所有主が、わかりました」


 カオリが、携帯端末(パッド)で位置座標をチェックし、ここの情報を精査(サーチ)している。


 「ゼラント侯爵。星庁に登録している所有主は、そういう名前になっています」


 「侯爵?」


 「はい。大昔に栄えた古い家柄ですね」


 人類は、宇宙世紀(コスモロス)に入って宇宙各地の星々に移住し、国家を建設し、興亡を繰り返してきた。このシン・トーキョー星も、古くは王政の時代だったことがある。現在は王政も貴族制も法制度上消滅したが、名前だけは残っているのだ。


 「ふーん、ここの持ち主、古い貴族の家なんだ」


 レイラが、つぶやいた時、


 「あっ!」


 カオリが叫ぶ。レイラも、目を見張った。


 いた。いや、現れた、と言うべきなのか。


 気づいたときには、視界に入っていたのだ。


 女性。


 長い赤い髪と、赤いドレスの美女。


 2人から少し離れたところで。


 婉然と、微笑んでいる。



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