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下着モデル潜入捜査官レイラの事件簿  作者: 茜見零
事件簿No.9 リョウタの災難
102/180

第102話 カメラマンのスキャンダル



 「なんだろうね、これ」


 レイラは、問題の画像を見ている。


 ベッドにリョウタが寝ている。裸だ。上半身しか写っていない。目を閉じている。眠っているように見える。


 そして。


 リョウタを上から覗き込むようにしている、赤いドレスの女性。顔は見えない。背中を向けている。長く赤い髪。白い頸。女性は、ベッドに寝ているわけではない。ベッドに寝ているリョウタを見つめている。そんな構図だ。


 「これだけじゃ、別に何も、スキャンダルってわけじゃないね」


 しかし、添えてあった一文。


  「令嬢の身体を奪ったこと、再び近寄るなら、厳しく詮議する所存。もう当家とは、決して関わらぬように」


 なんだ、これは。


 そのまま素直に解釈すると、警告である。リョウタがどこかの令嬢と関係を持った。この赤い髪と赤いドレスの女性だろうか。そして、もう近寄るな、関わるな、そういうことである。


 「少なくとも、これなら事件性は全くないんだな」


 令嬢の身体を奪った。これは犯罪を匂わせているが、画像はどう見ても犯罪をしている状況ではない。ベッドで眠っているリョウタ。それを見つめる赤いドレスの令嬢。それだけだ。


 なぜ、この通信(メッセージ)を送りつけてきたのか?


 1番簡単な理解は、ゆすりだ。ファッション業界の有名人を狙ったスキャンダルを利用しての、ゆすり。本当に犯罪被害があり、それを告発したいというなら、こんな妙な形で通信(メッセージ)を送ってきたりはしないだろう。


 この通信(メッセージ)じゃ、なんのことかよくわからない。


 これはまず最初に、こちらの動揺を誘い情報を小出しにしながら、何か要求してくる、そういうことだろうか。これから、第2、第3の要求がある。ゆすりの線だとすると、そうなる。


 この通信(メッセージ)だけでは、もちろんゆすりだと断定できない。犯罪にもならない。意味がいまいち分かりにくい警告。ただ、それだけだ。


 「まずは事件性、無しか」


 宇宙警察のエリート刑事であるレイラは、判断する。


 これで終わりなのか? これが始まりなのか?


 同僚モデルのネクリは、


 「もう、リョウタ、女の子にすぐメロメロになって手を出すんだから。ほんとに病気ね。ちゃんと病気直さなきゃ、絶対ダメだよ」


 と、無邪気に言っている。


 そうなのか。


 レイラは考える。


 何か引っかかるのだ。そして。これは警察を乗り出す案件ではない、そう感じる。まだ直感にしか過ぎないけど。


 

 ◇



 リョウタの説明によると。


 休日に、リョウタは、森林の自然公園へ行った。


 リョウタは下着(アンダーウェア)モデルの撮影が仕事だが、いい画を撮るためには、常に世界の美しいものに触れてなければならない、人間だけでなく、この世のありとあらゆる美に触れなければならない、かねがね、そう考えていた。カメラマンの仕事には、本当にストイックで情熱的なのである。


 美しいものに触れるため、休日になると、愛用のカメラを抱えて、あちこちに出かけていっては画を撮っているのである。



 大自然の美しい風景を撮るために行った自然公園で。


 リョウタは、出会った。


 赤い髪、赤いドレスの令嬢。


 それは、これまで見た中で、1番美しい女性であったという。

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