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双棍のトラベラー  作者: コルミ
ダンジョンアタック
98/110

ブレス

 しかしこれはチャンスだ。ドラゴンの注意が完全にアイーシャに向いている。今ならダンジョンコアに接近できる。

 すぐにダンジョンコア目指し走り出すカルドラ。サニアがそれに気づきドラゴンの注意をさらに引くべく攻撃を加える。


「マルチソーサリー、『『『レーザ!』』』」

ビビビュッ!

ジジジュッ

「グゥゥ…!」


 レーザを受けた甲殻が少し焦げ、ドラゴンが不快感を露わにする。

 そしてドラゴンが纏っていた雰囲気が変わった。

 アイーシャとサニアを真正面に据えるように身体を向き直し、口を開け、口の前に魔力を集中させる。


「!!! あれは…!」


 サニアが急いでアイーシャに注意を促す。


「アイーシャさん!!! 全力で防壁を維持してください!!! "ドラゴンブレス"が来ます!!!」

「え??? もしかしてやばいやつですか???」


 ぽやっとした顔のアイーシャが尋ねる。その間もドラゴンの前には魔力が集中し、魔法陣のような模様がドラゴンの前で回転している。


「龍族の必殺技です!!! 私が使ったシャイニング・レイよりはるかに強力です!!!」

「えええええ!??? ががががんばりますぅ!!!」

「私も防御魔法を重ねます!!! マルチソーサリー、『『『ウォール!』』』『『『ウォール!』』』『『『ウォール!』』』『『『ウォール!』』』『『『ウォール!』』』」


 プロテクションの前に魔力の防壁が15枚展開された。

 ウォールはプロテクションとは違い展開時に込められた魔力量で強度が決まる。サニアは全力でウォールに魔力を込めた。これは今のサニアにできる最上級の防御だ。

 そしてその防壁群の真正面でドラゴンが凄まじい高密度の魔力を集中させている。


(カルさん…! 急いで…!)


 サニアが心の中で呟くと、その瞬間。


ドガアアアアアアアアアアアア!!!!!


 ドラゴンの前の魔法陣のような模様から凄まじい魔力の奔流が放たれる。


バリンバリンバリンバリンッ


 ウォールが次々に破壊されていく。


「くううううっ!」


 ウォールのおかげでブレスの直撃は避けているプロテクションだが、ウォールの端からすり抜けたブレスがプロテクションの端を削り取らんとする。その少しの接触だけでも凄まじい威力だった。


「アイーシャさんがんばって!!! マルチソーサリー、『『『ウォール!』』』『『『ウォール!』』』『『『ウォール!』』』」


 サニアも破壊された先から防壁を次々展開する。しかし展開すると同時にどんどん破壊されていく。


バアアアアアアアアア!!!!!

バリンバリンバリンバリンッ


 一向に止まる気配の無いドラゴンブレス。


「う、ウォール…! う…――」


ばたん


「サニアさん!?」


 サニアが倒れてしまった。通常ではありえない量の魔力をウォールに注ぎ込んで発動したため、魔力欠乏を引き起こしたのだ。


バアアアアアアアアア!!!!!

バリンバリンッ


 そして全てのウォールが破壊されプロテクションにドラゴンブレスが直撃する。


「ぐううううう、あああああああ!!!」


 全力でプロテクションに魔力を集中するアイーシャ。しかし注ぎ込んだ魔力が融けるように吹き飛ばされていく。


(耐える!!! 耐えてみせる!!!)


 アイーシャは自身の全てを掛け、ドラゴンとの力比べに挑む。




「…なんかやばそうだな」


 ダンジョンコアを目指し全力疾走中のカルドラが、魔力を集中させているドラゴンを見て呟く。

 回転する魔法陣のような模様に、サニアのシャイニング・レイが被って見える。

 そして予想通り…いや、それ以上の威力で魔力の奔流が放たれる。


(!!! あれはダメだ! 早くコアを破壊しないと!)


 ドガアアアアという魔力の放射音に紛れてバリンバリンと何かが割れる音が聞こえる。きっとサニアが何かやっているのだ。


(よし、着いた! 覚悟しろダンジョン!)


 ダンジョンコアの前まで辿り着いたカルドラが勢いよく剣を叩きつける。


バリィィィィ……ン ガラガラガラ…


 ダンジョンコアは一撃で破壊され、コアに伸びていた翡翠色や金色の線がブワッと光って引いていく。

 それと同時に周囲の空間が少しずつ歪み始める。ダンジョンが崩壊を始めたのだ。

 これでダンジョンで生まれダンジョン内に留まっている魔物は全て消滅し、少しすれば3人はダンジョンの外へ放り出されるはずだ。


(よし! これであのドラゴンも――)


 そう思いドラゴンを確認する。

 ドラゴンの尻尾や翼が黒い(きり)に分解され始めている。しかし魔力の放射が止まらない。


(…っ! 意地でも2人を道連れにするつもりか…!)


 すぐにドラゴンのところへ走り出すカルドラ。

 いつの間にかバリンバリンという何かが割れる音が止んでいる。

 サニアに何かあったのかと、不安がカルドラの中に広がる。

 必死に走りドラゴンの近くに辿り着く。その時…。


パリンッ


 ここでプロテクションにひびが入る。

 もはや猶予はない。カルドラは走りながら剣を引く。


「うおあああああああ!!!」

ガチィイン


 漆黒のロングソードでドラゴンの顎をかち上げる。

 放射されていた魔力がドラゴンの頭の向きに合わせて暴れ、周囲の壁をドガガガガガァと破壊していく。

 そしてついにドラゴンの四肢も黒い(きり)となり倒れ、そのまま静かに消滅していった。


「アイーシャ!!! サニア!!!」


 カルドラが2人の名を叫ぶ。

 ひびだらけのプロテクションの中で、アイーシャは両手を地面につき、ぜぇぜぇと激しく呼吸している。

 サニアはその隣で倒れていた。


「…っ!」


 急いで2人の許へ行こうと走り始めると、空間がぐにゃっと歪んでカルドラの視界は真っ暗になった。

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