ブリザード
「エアロブレード!」
ズバァ
「ギャウウゥ!」
カルドラがギリギリの戦いを続ける中、サニアは群がった魔物の最後の1匹に止めを刺す。
アイーシャがそれを見届け、カルドラが降りた穴を覗こうとすると。
「アイスウォール」
ズン…と、サニアが大きな氷の板で穴を塞いでしまった。
「ちょっ! サニアさんなにやってるんですか!?」
アイーシャはこの穴から飛び降りてカルドラのところへ行こうとしていたのだ。
そんな彼女にサニアが釘を刺す。
「アイーシャさん。この高さから落ちたら死にますよ。カルさんがどうやって着地したかは知りませんが、私たちじゃ無理です」
「あ…、確かに…」
アイーシャがぽやっとした顔で呟く。そんな彼女に苦笑いしつつ、サニアが続ける。
「それにこの穴から魔物が落ちたらカルさんの邪魔になります。だから塞いでおきましょう。さ、早く別の道を探しましょう!」
そう言って走り出すサニア。
「あ! 待ってくださいよー!」
アイーシャも後を追う。
そして少し走ったところでアイーシャが「あっ」と零し、質問をする。
「サニアさん。あの穴から遠距離攻撃で援護できたんじゃないですか?」
アイーシャの言葉にサニアは首を横に振る。
「カルさんが1人で穴に飛び込んだのは、あのドラゴンを私たちから引き離すためです。あそこから攻撃したらドラゴンの注意が私たちに向いて穴に突撃してくるでしょう。最初の攻撃で地面にひびが入っていました。そこに追撃を貰ったらあの穴周辺は崩落して、私たちは落下死です」
「ひぇぇぇ…、そうだったんですね…」
地面のひびに全く気が付いていなかったアイーシャが青ざめ声を漏らす。
そんな彼女にサニアが続ける。
「アイーシャさん。これから私はちょっと力技で魔物を突破しようと思ってます。アイーシャさんにも少し影響があるかもしれません。今のうちに謝っておきます。ごめんなさい」
「……え??? な、なにするつもりですか…?」
サニアの宣言と謝罪にちょっと怖くなるアイーシャ。
「フローズン・フィールドの上位魔法、ブリザードを使います。半径200メートル内を冷気の嵐で凍結させ、魔物の動きを止めます。凍えないように歯を食いしばってください」
「えぇ!? がが、がんばります!」
アイーシャが魔法の規模に驚愕しつつ返事をすると、さっそく魔物が現れた。走っていたので遭遇が早かった。
宣言通り、すぐにサニアが魔法の準備に入る。
「アイーシャさん! 私の隣に! 絶対に離れないでください!」
「わっ! わっ! はい来ました!」
アイーシャが急いでサニアの腕にしがみつく。
「ブリザード!!!」
サニアがカンッ!と大杖を地面に突くと、そこを中心に魔法陣が展開し2人を包み込み、魔法陣の外ではゴオオオオオオ!と凄まじい冷気の暴風が吹き荒れる。そしてその暴風の中には小さな氷の粒子が混じっており、その粒子に触れたものがどんどん氷漬けになっていく。
「ひゃああああ! きゃあああ!」
吹き荒れる冷気と、魔物が次々と氷像になっていく光景を見た衝撃でアイーシャが悲鳴を上げる。
そして冷気の嵐が収まると、そこには無数の氷像が残されていた。
「さ! 道を探しましょう! 滑らないように気を付けてください!」
サニアはそう言ってさっさと走っていく。
「ままま、待ってください! 感情が追い付きません!!!」
アイーシャは必死にサニアについていく。




