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双棍のトラベラー  作者: コルミ
ダンジョンアタック
92/101

サンショウウオ

 しばらくそのまま歩き続け、このダンジョンの1階層目は円周5~6キロにも及ぶ広大なドーム状の空間だとわかった。

 キャンプが設営されている広間からここまで下りてきた距離より、この空間の天井の高さの方が高いため明らかにおかしいが、ダンジョンの中というのは空間が歪んでいるためそういうことは往々に起こるものだ。

 3人はサニアのアイスウォール(マーカー)を頼りに2週目に入り、その途中で地面に開いた次の階層への道を発見。なんとか次の階層へと足を進めることができた。


「サニア。ここまでかなり魔法使ってるけど、魔力量は大丈夫か?」


 階層を下りつつサニアに確認する。どこかのタイミングで撤退することになったとしても、サニアの魔法無しで1階層目を突破するのはかなり難しい。魔力量は十分に余裕を持たせなければならない。


「消費した魔力の総量はたしかにかなり多いですけど、時間経過で回復もしてます。まだまだ余裕ですよ♪」


 サニアは笑顔で答える。


「よし、じゃあこのまま進もう」


 そして3人は2階層目へと足を踏み入れる。

 そこはまた広大な空間が広がっていた。


「またですか…。広い階層が連続しているとなると、もしかすると階層の数自体は少ないかもしれないですね」

「それだと助かるんだが――」


 話していると周囲から魔物の群れが押し寄せてくる。今度はヘビやらイタチやらコウモリやら、様々な種類が入り混じっている。

 そしてその中に、明らかに小動物ではないサイズの魔物が混じっているのが見えた。


「…! アイーシャさん! プロテクションを!」

「了解です! プロテクション!」


 すぐさまプロテクションを展開するアイーシャ。ドーム状の防壁が3人を包み込む。


「サイクロン!」


 カンッと地面に大杖を突きサニアも魔法陣を展開。周囲に暴風が吹き荒れる。


ゴオオオオオオ

ズババババババッ

「「「「ギィィィキィィィ」」」」


 小動物サイズの魔物は空気の刃に切り刻まれどんどん数を減らしていく。

 しかしその暴風を突っ切って防壁へ体当たりする魔物が現れる。


ドンッ ドンッ

「………!」


 声は出せないようで、大きな口を開けて威嚇しながら懸命に防壁へ体当たりを繰り返す。

 それはクオーツサラマンダーの魔物だった。


「…………なんかかわいいな」


 カルドラが感想を零す。

 周囲の暴風が止み、小さな魔石がばらばらと降り注ぐ中、クオーツサラマンダーの魔物は尚も懸命に防壁に体当たりする。


ドンッ ドンッ

「………!」


 つぶらな瞳で大きな口を開けて、一生懸命体をくねらせる。

 全長は3メートルほどだろうか、それが5匹。

 魔物なので他の生き物に見境なく襲い掛かる凶暴な存在なのだが、サンショウウオの魔物となると途端に迫力が無くなるのは何故なのだろうか。


「カルさん…、観察はそのあたりに…。私もやりますので。ちょっと気が引けますけど…」

「わかった…。行ってくる…」


 カルドラに早く処理するように促すサニアだったが、彼女も止めを刺すのが心苦しいようだ。

 前の依頼で散々苦労させられたクオーツサラマンダー。不思議と愛着のようなものが生まれていたらしい。

 覚悟を決め、ポケット(収納魔法)から漆黒のロングソードを取り出し5層開放状態で身体強化を発動。防壁の外へと飛び出す。


「!」


 クオーツサラマンダーがカルドラに反応し、ウォーター・レイで攻撃してくる。

 しかしカルドラは余裕を持って回避し、クオーツサラマンダーの首へ剣を振り下ろす。


「!!!」


 クオーツサラマンダーは首を護ろうとウォーターウォールを展開するが…。


ばしゃズバァ!

「!!!!!」


 重量のあるタングスライト合金の剣が水の防壁を難なく突破しその首を切り落とした。

 カルドラはすぐに2匹目へ向かう。

 次の個体はカルドラの下からウォーター・レイを放つが、彼はその攻撃を前に経験済みなのであっさり回避。あっという間に首を切り落とす。

 そして3匹目へ…。


「エアロブレード!」


 一方サニアは風魔法で一番切断力のあるエアロブレードでクオーツサラマンダーの首を狙う。


ズバァ!

「!!!???」


 防御を視覚に頼っているクオーツサラマンダーは空気の刃であるエアロブレードを視認できずあっさり首を落とされる。

 同じように2匹目へ魔法を放つ。


「エアロブレード!」


ズバァ!

「!!???」


 2匹目もあっさり首を落とされた。

 そしてサニアが3匹目に視線を向けると、カルドラが丁度首を切り落としたところだった。

 程なくして5匹のクオーツサラマンダーの魔物は排除されたのだった。

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