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双棍のトラベラー  作者: コルミ
未知の世界は意外と近い
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ソラと登山

「はぁ……はぁ……、あぁ! 何だってんだこのダンジョンは!」

「おぅ、おかえり。無事で何よりだよ。中の様子はどうだ?」


 1人の兵士が1度目のダンジョンアタックから帰還し、坑道内のダンジョン前に設営されたキャンプで待機していた兵士が迎え入れる。

 ダンジョンが発見されたこの場所はとても広い空間になっていて、テントをいくつか設置した上で人が何人も待機できる。キャンプを設営するには持って来いの場所だった。

 坑道からここに繋がってはいるが明らかに広すぎるため、おそらく鉱夫が掘った空間ではなく、自然に形成された天然の広間を鉱夫が掘り当てたのだろう。


「どうもこうもあるか! 入った最初のエリアがだだっ広い空間で、どこからともなく次から次へとネズミが走ってくるんだ! おかげで全く先に進めん! 少人数で入ったらあっという間に纏わり付かれてすぐ死ぬぞ!」

「そりゃあやべぇな…。コア破壊までかなり時間が掛かりそうか…」


 戻った兵士は冒険者の魔術士との複合パーティーでダンジョンに入っていた。

 話の通り入った瞬間からネズミの魔物との戦闘が始まり、魔術士の魔法を軸に戦ったが全く魔物の数が減らず、魔術士の魔力が少なくなったタイミングで撤退してきたのだ。


「まぁ今はゆっくり休め。少ししたら坑道内を巡回してるパーティーが戻ってくるはずだ。たぶん次はお前が巡回だぞ」

「おい! 順番おかしくねぇか!? お前は!?」


 キャンプをダンジョンの入り口に設営したことで坑道に魔物が供給されることが無くなった。現在坑道内を走り回っている大量の魔物たちを掃除するため、坑道の外に待機しているパーティーとキャンプに待機しているパーティーで順番に坑道内を巡回しているのだ。

 そのうち坑道内の魔物は一掃され、問題はダンジョンだけになるはずだ。


「おれはこれからダンジョンアタックだよ。死なないように祈っててくれ」

「……くそっ。魔術士が肝だ。絶対に守れ。……死ぬなよ」

「おう。じゃ、行ってくる」


 兵士の向かう先にはアタックの第2陣のパーティーが待っており、彼もそこに加わり皆でダンジョンへ入って行った。




 兵士と冒険者によるダンジョンアタックが行なわれる中、カルドラはのんびり鉱山を登っていた。

 普段鉱夫たちが山の至る所を歩き回っているらしく、まるで登山道のような道が形成されている。その道を辿り、ソラと悠々と登山を楽しむ。


「いや~最高だなソラ。目的も無くただただ登山に興じるのも良いもんだ」

「ピ~」


 歩いていると時々ソラが進行方向を修正するように髪を引っ張る。やはりどこかへ連れて行きたいようだ。しかし特別急いでいるわけでもないらしく、ソラもカルドラと一緒に登山を満喫している。


(ソラはどこへ案内してくれてるんだろうな…。そういえば町に着いた時もソラは山を見てたっけ。ドラゴンにしかわからない何かがあるのかね…)


 いろいろ考えながらソラに促されるまま歩くカルドラ。

 すると周りの木々が徐々に無くなっていき、山の地肌が露出するようになってきた。現地点の標高はそこまで高くないが、その様相はまるで高山だ。


「へぇ…。村に来てた商人のおっちゃんが言ってたやつかな。たしか森林限界だっけ」


 しかしカルドラにはその手の知識は無い。森林限界はもっと高い標高での現象である。ここは低すぎる。


「ピ!」

パタパタパタ

「あ! ソラ!」


 ソラが突然飛び、カルドラが走るくらいのペースで先導し始める。


(目的地が近いのか…)


 ソラを追いかけ斜面を登るカルドラ。

 しばらく追いかけると、斜面の途中に窪地のような場所が現れ、ソラはそこへ入って行く。

 カルドラもソラに続き窪地へ入る。

 その時。


ぞわぁ

「!!!!!」


 何とも言えない違和感が全身を駆け巡った。何か、見えない壁のようなものをすり抜けたような、そんな違和感だ。


(な…なんだったんだ…。それに…、空気が変わった…)


 さっきまでの清々しい山の空気ではない。重々しい重圧が周囲に満ちている。

 立ち止まるカルドラを、ソラは少し先で滞空して待っている。


(ソラ…。その先に…いったい何があるっていうんだ…)


 意を決してソラについて行くカルドラ。しかしさっきまでのように走るわけにはいかない。この空間は異常だ。いくらソラが平然としていようと油断するわけにはいかない。本能がそう叫んでいる。

 そして少し歩くと、また新たな違和感を覚える。


(……この窪地、こんなに広くなかったはずだ…)


 見渡す窪地の面積が外から見た時より明らかに広くなっている。理解が追い付かない。


(どうなってる…。魔法か何かか…?)


 混乱する頭をどうにか落ち着かせながらソラの後を追う。

 そしてついに窪地の中心辺りに到達し、ソラがカルドラの頭の上に戻ってきた。


「…? ソラ、ここに連れてきたかったのか?」

「ピ」


 短い肯定の返事が返ってくる。

 周囲を見渡してみる。特に変わったところは無いように思える。


(……。わからん。でもわざわざ登山してまで連れてきたんだ。何かあるはず…)


 そう思いさらに慎重に周囲を見渡す。

 その時…。


(・・・・・、・・・・・・・)

ズキィィン

「!!!????? ぐあ!?」


 突然強烈な"思念"のようなものがカルドラに叩きつけられた。

 あまりの思念の強さに頭が割れそうに痛む。目を瞑り両手で頭を押さえる。


「ピ! ピー!」

(・・? ・・、・・・・。………………?)

「ぐぅ…! ……はぁっ………はぁっ………弱くなった…?」


 ソラが何かを訴えたように聞こえた。そして思念が弱くなった。


「いったい…何が…」


 そして目を開ける。するとそこには信じられない光景が広がっていた。


「なっ!!!??? な…な…っ!!!???」


 眼前には、巨大な"ドラゴン"が寝そべっていた。

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