テイスト・ヴォイジャー
はぁ…とため息をつき、神官に1つ提案を出してみる。
「ついてくるか?」
「……ほえ?」
間抜けな返事が返ってくるが構わず説明する。
「おれの旅についてくるか、と聞いてる。おれの旅の目的は世界の景色を見て回ること。あんたはおいしいものが食べられればしあわせ。つまり世界を回りながら景色と食べ物を堪能できる。追放されて目的地もないなら打ってつけだと思わないか?」
少しの間ぽけ~っと固まっていたが、みるみる目が輝き出し、希望に満ち溢れた顔ではしゃぎ出す。
「良いですね良いですね! 最高じゃないですか!!! 私、景色見るのも大好きなんです! さらに地域の特産物を堪能できるなんて…! ぜったいついていきます! 今更ダメって言ってもついて行っちゃいますからね!?」
まるで子どものようなはしゃぎ様に微笑ましい気分になるカルドラ。
「ははは! 大はしゃぎだな! じゃ、パーティー名でも考えるか。んー何が良いかな…」
むぅ…と考えていると神官が、はい!と手を上げる。
「"世界を回っておいしいものを食べるパーティー"なんてどうでしょう!?」
「まんまじゃねぇか!」
「良いじゃないですか!」
ド直球な名前を主張する神官。顔が大真面目だ、折れそうにない。
(くっ! せめてもの抵抗を…!)
「"世界を回っておいしいものを食べるパーティー:テイスト・ヴォイジャー"でどうだ! 味を旅する者って良いと思わないか!?」
「最高です! それでいきましょう!」
そうして、なんとか最低限の体裁を保ったパーティー名に決定した。
「ふふふ~♪ 楽しみですね~♪ どんな旅になるんでしょうかぁ♪」
ニコニコしながら期待に胸を膨らませる神官。
(楽しそうにしちゃってまぁ。本当に子どもみたいだな)
心の中でやれやれと思いながらも、まぁこういうのも悪く無いか、と微笑みながら神官を眺める。
「あ、そういえば貴方の名前まだ聞いてませんよ? これから一緒に旅するんですから教えてください!」
急に思い出した神官が聞いてくる。そういえば自己紹介を完全に忘れていた。
「おれはカルドラ。今更だけどよろしく」
「私はアイーシャです! カルドラさん、よろしくお願いします!」
本当に今更だが自己紹介をし合う2人。そして少しだけ訂正する。
「おれのことは"カル"でいいよ。皆そう呼んでた」
「了解しました! カルさん、これからよろしくお願いしますね!」
こうして、"世界を回っておいしいものを食べるパーティー:テイスト・ヴォイジャー"というとても長い名前のパーティーが結成された。
そしてその後、2人は運ばれてきた料理をおいしく完食し、次の町へ旅立っていくのであった。




